建築基準法

建築基準法とは?|指定確認検査機関出身が簡単にわかりやすく解説

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建築基準法ってどんな法律?

建築基準法にはどんな規制があるの?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

建築基準法とは、人々の生命・健康・財産が守られ、安全に快適に暮らせるよう、建物や土地に対して定められたルール

建築基準法には、大きく分けて4つの規制がある

  1. 制度規定(確認申請や完了検査などの建築基準法を厳守するための規定)
  2. 単体規定(構造耐力や避難規定など、建物自体の安全性の規定)
  3. 集団規定(接道義務や高さ制限など、都市としての安全性の規定)
  4. その他雑則・罰則工作物や増築・用途変更などに関する規定)
私は指定確認検査機関で、建築基準法の審査業務をしていました。

今回の記事では、建築基準法とはどんな法律なのか、わかりやすく解説します!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

建築基準法とは

建築基準法とは、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低の基準を定めた法律

建築基準法は、建築物を作る上での最低の基準です。

建築物の安全を確保することにより、国民の生命・健康・財産の保護を図り、公共の福祉を増進させることを目的としています。

簡単に言うと、建築基準法は、建築物を使う国民のための法律です!全ての建築物が『最低限満たさなくてはならない建築物の性能』についての定められています

建築基準法の内容は、難解です。建築物を作るプロである建築士も、建築基準法に精通しているとは言えません。そこで、建築基準法では、具体的に建築物の制限を定めた『実体規定』だけでなく、建築物の適法性を担保するための『制度規定』もあるのが大きな特徴です。

今回の記事では、これらの規制の主な内容を確認していきます。

建築基準法で押さえておきたい基本用語

建築基準法の規制を確認する上で、以下の用語を理解しておきましょう。

建築物(法2条一号)

建築基準法は、『建築物』に対しての規制です。つまり、建築物に該当しなければ、原則として、建築基準法の適用を受けません。

建築物とは?

  1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  2. 建築物に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備
参考 建築物とは?建築基準法上の定義【建築物に該当しない例も紹介】

 

特殊建築物(法2条二号)

特殊建築物とは、『不特定かつ多数の者が利用する用途の建築物』や『火災の危険性等が高い建築物』のこと。特殊建築物に該当した場合、他の用途に比べて、建築基準法の適用が厳しくなります。

特殊建築物は主として以下に定める用途です。よく計画される『一戸建て住宅』や『事務所』は、特殊建築物ではありません。

特殊建築物とは?

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途

参考 特殊建築物とは?用語の定義について【建築基準法第2条第二号】

 

建築(法2条十三号)

建築基準法では、『建築』というワードがよく出てきます。これは、意外なのですが、4つの建築行為として定義されています。

建築とは?

  1. 新築
  2. 増築
  3. 改築
  4. 移転
参考 建築(新築、増築、改築、移築)の定義とは?【法第6条第1項十三号】

 

大規模の修繕・大規模の模様替(法2条十四号、十五号)

建築以外の行為として、大規模の修繕・模様替という行為もあります。主として、確認申請の有無の項目で登場する用語です。

大規模の修繕とは?

一の主要構造部の過半を『同じ材料』で以前と同じように復旧する事

大規模の模様替とは?

一の主要構造部の過半を『新しい材料』でつくり替える事

参考 大規模の修繕と大規模の模様替とは?【建築基準法の定義と違い】

 

主要構造部(法2条五号)

一つ前の大規模の修繕・大規模の模様替で登場する用語です。他にも、様々な規制で主要構造部という定義が登場するので、しっかりと把握しておきましょう。

主要構造部とは?

  1. 床(最下階の床を除く)
  2. はり
  3. 屋根
  4. 階段
参考 主要構造部とは?用語の定義について【建築基準法第2条第1項第五号】

 

都市計画区域・準都市計画区域(法2条二十号)

都市計画区域・準都市計画区域は、都道府県知事により指定されます。これらの区域に該当した場合、後ほどご紹介する集団規定を受けます。また、確認申請の有無にも関係してきます。建築基準法において重要な区域です。

都市計画区域とは?

一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要があるものとして、都道府県により指定された区域

凖都市計画区域とは?

都市計画区域外の区域のうち、そのまま土地利用を整序し、または環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発および保全に支障が生じるおそれがあると認められるものとして、都道府県により指定された区域

 

建築基準法の法規制とは?

建築基準法の法規制は大きく分けて4つ

  1. 制度規定
  2. 単体規定(実体規定)
  3. 集団規定(実体規定)
  4. その他雑則・罰則

大まかに規制内容をご説明します。

まず、制度規定について。正直、建築基準法は難解です。よって、国家資格を与えられた建築士(一級・二級・木造)であっても、建築基準法が完璧、というわけではありません。よって、『建築物を建てる前に図面の確認』や『建築物を建てた後に現場の確認』を第3者(特定行政庁や指定確認検査機関)から受ける必要があります。いわゆる、確認申請や完了検査と呼ばれるものです。これらの手続きについて、建築基準法で定められています。

次に、単体規定について。単体規定は、実体規定なので具体的に建築物が適合させるべき基準が定められています。実体規定の中でも、構造計算や避難規定など、建築物自体の安全性を高めるためにが適合させなくてはならない規定を、『単体規定』と呼んでいます。後にご紹介する集団規定との違いは、全国すべての建築物が適用を受ける規制、ということです。

では、集団規定についても解説します。こちらも実体規定ですが、建築物自体ではなく、都市全体の安全性を高めるための規定です。建築物が密集していると、火災が広がりやすかったり、避難が困難になることは簡単に想像が出来ます。したがって、集団規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用されます。建築物が密集していない区域では、都市としての危険性が少ないからです。

単体規定と集団規定の違いについては、以下の記事を参考にしてください。

参考 単体規定と集団規定の違い。理解する為、法令集をぶった切れ!

最後に、その他雑則・罰則についてです。建築物は、新築するばかりではありません。既存の建築物に増築したり、建築物の用途を変更することもあります。これらのイレギュラーな規定が、雑則に記載されています。また、建築基準法を違反した場合、当然ですが罰則があります。これらについても法に記載されています。

法文の記載箇所としては、以下の通りです。法令集をお持ちの方は、ぜひ確認してみてください。

規定 法文
制度規定 法6条〜法18条の3
単体規定(実体規定) 法19条〜法41条
集団規定(実体規定) 法41条の2〜法68条の9
その他雑則・罰則 法84条〜107条

 

制度規定について|『確認申請』と『完了検査』

確認申請と完了検査のポイントは『どの建築物が手続きが必要になるか』です

確認申請と完了検査は、すべての建築物の対して必要なわけではありません。どの建築物が必要になるのかを把握することが大切です。

『確認申請』が必要な建築物とは?

確認申請とは、工事を着工する前に特定行政庁又は指定確認検査機関から図面のチェックを受けること(法6条)

確認申請が必要な建築物は、以下の表の通り

区域 法第6条区分 用途・構造 規模 工事種別
建築※1 大規模の修繕・模様替 用途変更※3
全国 一号 特殊建築物※2 床面積200㎡超
二号 木造建築物 以下いずれかに該当

  • 階数3以上
  • 延べ面積500㎡超
  • 高さ13m超
  • 軒高9m超
✖️
三号 木造以外 以下いずれかに該当

  • 階数2階以上
  • 延べ面積200㎡超
✖️
  • 都市計画区域
  • 準都市計画区域
  • 準景観地区内
  • 知事指定区域
四号 上記3つ以外 ✖️ ✖️
●は確認申請が必要、✖️は確認申請不要
※1 建築とは新築、増築、改築、移転のこと。又防火地域、及び準防火地域外の10㎡以内の増築、改築、移転は不要(新築は必要)
※2 別表第1に記載ある用途
※3 類似の用途を除く
こんなに複雑なの!?覚えられないよ…
そうですよね!楽になる考える方法をお伝えします!

確認申請は、正直、ほとんどの建築物に必要になるので、確認申請が不要な建築物を整理しておいた方が、簡単です!

確認申請が必要な建築物は、必要なもの、という整理でいくと複雑に見えてしまいます。むしろ、不要なものを整理した方がわかりやすいです。

確認申請が不要な建築物は、以下に解説しているので、確認してみてください。

参考 確認申請が不要になる6つの建築物【わかりやすく徹底解説】

 

『完了検査』が必要な建築物とは?

完了検査とは、工事完了時、特定行政庁又は指定確認検査機関から現場の検査を受けること(法7条)

完了検査が必要な建築物は、『確認申請』を受けた建築物

なお、完了検査の申請は、確認申請の申請先と別のところでも法的に支障ありません。

例外として、用途変更に関しては検査ではなく『届出』でOKとされています。詳しくは以下の記事で解説しているので確認してみてください。

完了検査については、下記に記事で解説しています。

参考 完了検査とは?|だれが、何日以内に行う?受けない場合、罰則は?

 

『中間検査』が必要な建築物とは?

中間検査とは、工事途中に、特定行政庁又は指定確認検査機関から現場の検査を受けること(法7条の3)

中間検査は以下2つのいずれかに該当した場合に必要

  • 階数が3以上である共用住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事(3階建ての鉄筋コンクリート造の共同住宅)
  • 上記以外で、特定行政庁が指定する工程

完了検査では隠れてしまって確認できない、主に構造躯体などの検査を行います。

中間検査は、確認申請を受けた建築物の中でも、所定の条件を満たした場合に必要です。つまり、すべての建築物に必要というわけではないということです。

 

単体規定について

単体規定は、すべての建築物が守らなければならない規制。基本的に、規模が大きい建築物の方が、受ける規制が厳しい

単体規定は、建築物単体の安全性を高める規定です。代表的な規制を、いくつかご紹介したいと思います。規制の詳細な内容を知りたい場合は、個別の記事のリンクを貼っておきますので、ぜひ確認してみてください。

敷地に関する規定

以下4つすべてに適合させること(法19条)

  1. 敷地は道路の境より高くし、建築物の地盤面は周囲より高くすること
  2. 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみ等で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合、盛土・地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じること
  3. 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出・処理するために下水管・下水溝又はためます等を設けること
  4. 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じること

建築基準法では、建築物だけでなく、建築物を建てる敷地についても所定以上の基準に適合させる必要があります。内容としては、至ってシンプルなものです。しかし、シンプルであるが故に、実務での扱いがわかりにくい厄介な規制とも言えます。

参考 敷地の安全性の規制とは?【建築基準法第19条について】

 

構造耐力に関する規制

建築物は、その規模に応じて、所定以上の構造耐力に関する検討をすること(法20条)

地震や台風だけでなく、日常の建築物の使用において、建築物が倒壊しないように所定以上の強度等が必要です。その検討は、規模などに応じて異なります

参考 建築基準法法第20条とは?構造計算などの基準の確認方法

 

階段に関する規制

建築物の階段は、用途や規模に応じて以下の寸法としなくてはならない(令23条〜令27条)

階段の種類 階段および
踊場の幅
(㎝)
蹴上
(㎝)
踏 面
(㎝)
踊 場
位 置(㎝)
1
小学校の児童用 140以上 16以下 26以上 高さ3m以内ごと※
2
中学校、高等学校、中等教育学校の生徒用 140以上 18以下 26以上
劇場、映画館、公会堂、集会場等の客用
物販店舗(物品加工修理業を含む。) で床面積の合計が1500㎡を超えるものの客用
3
直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階用のもの 120以上 20以下 24以上 高さ4m以内ごと※
居室の床面積の合計が100㎡を超える地階、地下工作物内のもの
4
1~3以外および住宅以外の階段 75以上 22以下 21以上
5
住宅(共同住宅の共用階段を除く。) 75以上 23以下 15以上
6
屋外階段 直通階段(令第120条、第121条) 階段の幅
のみ90以
踊場の幅、けあげ、踏面、踊場の位置はそれぞれ1~5の数値による。
(4、5の場合は屋外階段でも75cm以上で可)
その他の階段 階段の幅
のみ60以

 

建築基準法では、利用者の安全のために、階段に関する規制を設けています。あくまで、最低限の基準なので、建築物の用途等によっては、バリアフリー法などで強化されていることもあります。

参考 【階段の寸法】建築基準法で規制される幅員、蹴上、踏面について

 

居室の窓に関する規制

住宅の居室には、原則として、無窓居室としてはならない。もし、無窓居室になった場合は、追加で規制が適用される(法28条、法35条、法35条の3)

検討が必要になる居室 無窓居室になる条件 無窓居室になった場合の規制内容
採光義務(法28条) 住宅・学校・病院・診療所・寄宿舎の居室 採光上有効な開口部>居室面積/5・7・10 必ず適合が必要
避難規定全般(法35条) 全ての居室 採光上有効な開口部>居室面積/20

排煙上有効な開口部>居室面積/50

直通階段の設置
屋外階段
手すり高さ
敷地内通路
非常用の照明装置
廊下の幅
2以上の直通階段
排煙設備
不燃区画(法35条の3) 全ての居室 以下2ついずれの開口部も無い居室
・採光上有効な開口部>居室面積/20
・直接外気に接する避難上有効な開口部
居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない
換気設備
(法28条2項)
全ての居室 換気上有効な開口部>居室面積/20 令20条の2に定める換気設備が必要
内装制限(法35条の3) 全ての居室 床面積が50㎡を超える居室で、排煙上有効な開口部>居室面積/50 内装制限

 

複雑そうなことが書いてありますが、内容としては簡単です。居室には、基本的に窓が必要です。窓を設けない場合は、追加で規制等を受けることになります。どんな窓が必要なのか、どんな追加の規制があるのか、ということがややこしいだけです。詳しくは、以下の記事を確認してみてください。

参考 採光には規制が3つもある。採光無窓=非常用照明の考えは危険!

【無窓居室】採光、換気、排煙、無窓になった場合どうなるか

 

防火に関する規制

以下に該当する場合、建築物を耐火建築物や準耐火建築物としなくてはならない

  1. 所定以上の規模の木造建築物(法21条)
  2. 所定以上の規模の特殊建築物(法27条)
  3. 防火地域・準防火地域内に建てられる所定以上の建築物(法61条)

木造建築物、特殊建築物、防火地域・準防火地域内に建てられる建築物は、所定以上の規模になった場合、耐火建築物準耐火建築物としなくてはなりません。

その所定の規模については、規制によって異なり、ここでまとめると膨大な量になるので、下記のリンク先で確認をしてみてください。

参考 【法21条】大規模木造の主要構造部の規制について

【法27条】耐火建築物等とすべき特殊建築物の解説

【法61条】防火地域・準防火地域の建築制限

 

区画に関する規定

建築物は、以下の防火区画をしなくてはならない

  1. 面積区画(令112条1項〜6項)
  2. 高層区画(令112条7項〜10項)
  3. 竪穴区画(令112条11項〜15項)
  4. 異種用途区画(令112条18項)

建築物は、火災の延焼を防ぐために、建築物の内部で区画をしなくてはなりません。これを防火区画と呼んでいます。その区画は、大きく分けて4つあり、必要になる条件にも違いがあります。詳細な内容については、以下の記事で確認してください。

参考 防火区画とは?建築基準法の規定をわかりやすく解説

 

避難に関する規制

建築物は、在館者を安全に避難できるように、以下の基準に適合させなくてはならない

  1. 廊下の幅(令119条)
  2. 直通階段の設置(令120条)
  3. 2以上の直通階段(令121条)
  4. 避難階段の設置(令122条)
  5. 屋外への出口(令125条)
  6. 屋上広場等(令126条)
  7. 排煙設備の設置(令126条の2)
  8. 非常用の照明装置の設置(令126条の4)
  9. 非常用の進入口の設置(令126条の6)
  10. 敷地内通路(令128条、令128条の2)

避難規定と呼ばれる規定で、所定以上の建築物に適用を受ける規制です。集団規定で最も複雑な規定ですが、実は、木造2階建ての住宅など、小規模な建築物については適用を受けません。

参考 避難規定とは?|対象となる建築物は?建築基準法を根拠に解説

 

集団規定について

集団規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用される規制。制限内容は、建築物を計画する場所によって異なる

集団規定は、都市全体の安全性を高めるための規定です。よって、建築地の『用途地域』や『都市計画区域で定められてた数値』が重要になります。これらの違いによって、建てられる建築物の用途や規模が制限されるのが大きな特徴です。

接道規制(道路に関する制限)

建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない(法43条)

建築物が道路に接していないと、万が一火災などが発生した場合に、緊急車両が敷地内に入ることが出来ません。だから、建築物の敷地は、道路に接道している必要があります。

これを満足していない敷地には、建築物を建てることができないので、集団規定の中でも重要な規制です。

参考 接道義務とは?【なぜ必要?例外はある?わかりやすく解説】

 

用途規制(用途地域に関する制限)

用途地域によって、建てられる建築物の用途に制限がある(法48条)

私たちは、建築物を様々な用途に用いています。しかし、これらの用途は、無差別に計画してしまうと、お互いに良くない影響を与えてしまうこともあります。例えば、住宅が中心となっている第一種低層住居専用地域内に、騒音が大きな工場を計画すると、住環境に良くないことは簡単に想像できます。

だから、用途地域を定めることで、そこに計画できる用途を限定しているのです。主な規制内容は、別表第2に記載されています。くわしい解説記事を後日出す予定です。

 

形態規制(容積率・建蔽率などに関する制限)

容積率と建蔽率は、都市計画法等で定められた数値以下としなければならない(法52条・法53条)

  • 容積率=延べ面積/敷地面積
  • 建蔽率=建築面積/敷地面積

敷地目一杯に建築物を計画してしまうと、隣地と密集してしまうことで、火災の延焼のリスクが上がります。これらの理由により、建築物の敷地には、建築物を建てることができる規模が決まっています。

容積率・建蔽率については、くわしい解説記事を後日出す予定です。

 

高さ制限(道路斜線・北側斜線・隣地斜線・日影規制に関する規制)

以下の検討式で算定した高さを超えて、建築物を計画することはできない(法56条・法56条の2)

  1. 道路斜線
  2. 北側斜線
  3. 隣地斜線
  4. 日影規制

建築物の高さは、道路の幅員や用途地域によって、規制されています。

高さに関する制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、絶対高さ制限、日影規制の5種類があり、このうち最も厳しいものに準じます。

これは、前面道路や隣地の日照、採光、通風を確保するために、境界線から一定の勾配内に建物の高さを制限するものです。くわしい解説記事を後日出す予定です。

 

まとめ

✔️建築基準法とは、建築物の最低の基準を定めた法律

✔️建築基準法に定められる規制は大きく4つ

✔️制度規定(法6条〜法18条の3)

  • 確認申請
  • 完了検査
  • 中間検査

✔️単体規定(法19条〜法41条)

  • 敷地に関する規定
  • 構造耐力に関する規定
  • 階段に関する規定
  • 居室の窓に関する規定
  • 防火に関する規定
  • 区画に関する規定
  • 避難に関する規定

✔️集団規定(法41条の2〜法68条の9)

  • 接道規制(道路に関する制限)
  • 用途規制(用途地域に関する制限)
  • 形態規制(容積率・建蔽率などに関する制限)
  • 高さ制限(道路斜線・北側斜線・隣地斜線・日影規制に関する規制)

✔️その他雑則・罰則(法84条〜107条)

  • 工作物に関する規定
  • 昇降機に関する規定
  • 既存建築物の増築に関する規定
  • 用途変更に関する規定
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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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