建築基準法

建築物とは?建築基準法上の定義・物置やカーポートの扱いを簡単に解説

建築物とは?

建築物の建築基準法の定義とは?

物置・カーポート(車庫)は建築物に該当する?

建築物と工作物の違いは?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

建築物とは、建築基準法の規制を受ける人工物のこと(もし、建築物に該当しないなら、原則として、建築基準法の適用を受けない

建築基準法により、建築物の定義は下記のいずれかに該当する建築物のこと

  1. 屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  2. 建築物に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備

物置とカーポートは、原則として、建築物に該当する(ただし、小規模な物置に限り、建築物に該当しない可能性がある)

工作物とは、土地に接着させて設置した建築物以外の人工物のこと(建築物との違いについては、記事内で図解でわかりやすく解説)

建築基準法において、建築物かどうか?というのは非常に大切です。それは、建築物に該当すれば建築基準法の規制を受けますが、逆に建築物に該当しなければ、建築基準法の規制は受けないからです。

今回の記事では、わかりやすく完結に建築物について解説していきます!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

『建築物』とは?

建築物とは、建築基準法の適用を受ける人工物のこと

当たり前ですが、建築基準法というのは、原則として、建築物に対して規制を行っています。したがって、建築物に該当しなければ、そもそも建築基準法の適用を受けないということです。

ただし、建築物ではない『工作物』に対しては、一部規制の準用がされることがあります…!でも、あくまで一部の準用なので、やはり建築基準法は建築物のための規制ということには間違いありません!

工作物については、下記の記事で詳しく解説しています。

建築物の『建築基準法上の定義』とは?

建築基準法上の建築物に該当するもの5つ

  1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  2. 建築物に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備

建築基準法2条一号により、『建築物の定義』というのものが明確に定められています。それを整理すると、上記の5つのものになります。

では、それぞれの内容を確認してみましょう!

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの

以下の要件全てに該当する時

  • 土地に定着する事
  • 工作物である事
  • 屋根がある事
  • 柱または壁のいずれかがある事
土地に定着するとは?
建築基準法上、土地に定着するとは随時かつ任意に移動できるとは認められないものという意味です。

附属する門若しくは塀

建築物に付属する門若しくは塀は建築物扱い
(建築物に付属しない単独の門若しくは塀は建築物では無い)

更地に塀や門の設置があるのみでは、建築物扱いになりません。あくまで、建築物の付属としてのみ、建築物扱いになります。

観覧のための工作物

屋根や柱壁が無くとも、観覧の為の工作物は建築物扱い

具体的な例を挙げると、野球場、乗馬場等の観覧席などが考えられます。一般的には建築物に該当する例は先ほどご紹介した、屋根や柱壁を有する建築物です。しかし、観覧の為の工作物は屋根や柱が無くとも、建築基準法の規制を受ける事になります。

地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設

地下施設の『事務所』や『店舗』は建築物扱い
(『地下道』や『地下広場』は建築物扱いでは無い)

しかし、鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。

『地下道』や『地下広場』などで有れば、建築物ではありません。しかし、そういった施設には『事務所』や『店舗』などの計画が付き物だと思います。その店舗や事務所の利用者の安全性の確保の為、地下部分については建築物として取り扱うべきという事で追加しているものです。

どうして鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設は除かれているの?
それらの施設は、建築基準法では無く、鉄道等の関係法で利用者の安全性の確認などがされているから、建築基準法の対象である建築物の定義から外れているんです。

しかし、ここで注意していただきたいのは、構内の一般の駅舎、待合室などは通常通りの建築物です。線路敷地というのは、構内までは含んでいないので注意が必要です。

建築設備

こちらについてはどんな建築設備なのか、法文に明示があります。(法2条第三号)

以下のもの該当する建築設備は、建築物扱いです。

建築設備とは?

建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針

『物置・カーポート(車庫)』は建築物に該当する?

物置・カーポート(車庫)は、建築物に該当する

ただし、小規模な物置については、建築物に該当しない可能性がある

じゃあ、ホームセンターに売っているような既製品の物置を設置する場合でも、建築基準法を守らないといけないの?
その通りです!忘れがちですが、確認申請などもしっかりと提出しなければなりません!

よく、10㎡以内の建築物であれば、既製品であれば、建築基準法の適用は受けない。確認申請などもいらないという勘違いをうけがちですが、これは大きな間違いです。物置やカーポートであっても、屋根・柱を有するため、建築物の定義にあてはまります。だから、建築基準法の適用を受けることとなります。

ただし、小規模な倉庫に限り、例外として、建築物にならないという扱いもあります!

土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含)のうち、奥行きが1m以内のもの又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない。

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2017年度版 より

ただし、こちらはあくまで取り扱い。法律で定められていることではないので、念のために、地域によって扱いを確認する必要があります。

これらの内容については、詳しくは下記の記事で解説しています。

建築物の『工作物の違い』とは?

工作物とは、土地に接着させて設置した建築物以外の人工物

とにかく、建築物以外というのがポイントです!

工作物の定義は建築基準法にはありません。しかし、建築物の定義は建築基準法にあります。再度、建築物の定義を確認してみましょう。

建築基準法上の建築物に該当するもの5つ

  1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  2. 建築物に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備
建築物の定義の中にも、工作物がある!
そうです!つまり、建築物と工作物の関係性は…
要するに、建築物も元は工作物です。その中でも所定の条件に該当したものが建築物になり、建築基準法の適用を受けることとなるのです。

工作物については、下記の記事で詳しく解説しています。

法文で確認する【建築基準法2条一号】

界壁は、『建築基準法2条一号』に記載されています。

建築基準法2条一号

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

まとめ

✔️建築物とは、建築基準法の適用を受ける人工物のこと

✔️建築物の定義は、下記のいずれかに該当するもののこと

  • 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  • 建築物に附属する門若しくは塀
  • 観覧のための工作物
  • 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  • 建築設備

✔️物置やカーポート(車庫)であっても、建築物扱いとなり、建築基準法の適用を受ける

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このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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