工作物とは?【定義】【擁壁や塀でも確認申請が必要なのか?】

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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結論(まずはここだけ)

工作物とは「建築物以外の人工物」のこと。原則、建築基準法は適用されないが、煙突・広告塔・擁壁・遊戯施設など所定の規模・構造のものは「準用工作物」(法88条1項)または「指定工作物」(法88条2項)として一部規制の準用を受け、確認申請が必要になる。擁壁は高さ2m超、塀は建築物付属になった時点で確認申請対象。

この記事でわかること

  • 工作物の定義と、建築物との関係性(建築物も元は工作物)
  • 工作物が原則建築基準法の適用を受けない理由と、例外的に準用される仕組み
  • 「準用工作物」と「指定工作物」の違い(受ける規制の差)
  • 準用対象となる工作物の種類と規模要件(煙突・広告塔・擁壁・遊戯施設等)一覧
  • 擁壁・塀それぞれの確認申請要否の判断基準
そぞろ

工作物は、建築物では無いので、建築基準法の適用を真っ向からは受けません。
ちょっと変化球で工作物でも建築基準法が適用されます。だから、複雑なんです。
この記事を読めば、工作物の定義、法文の読み方、規制内容などまるっとわかります!

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工作物の定義とは?

工作物とは、土地に接着させて設置した建築物以外の人工物

とにかく、建築物以外というのがポイントです!

工作物の定義は建築基準法にはありません。しかし、建築物の定義は建築基準法にあります。

建築物とは?
  1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
  2. 建築物に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備

建築物の定義の中にも、工作物がある!

そうです!つまり、建築物と工作物の関係性は…

要するに、建築物も元は工作物です。その中でも所定の条件に該当したものが建築物になるわけです。では、具体的にどのようなものが工作物になるのでしょうか?

工作物の具体例

・道路
・鉄道
・ゴルフコースなど平面的なもの
・電柱
・看板
・擁壁
・鉄柱

上記以外にも、人工的に作られたものであれば、工作物となります。

工作物と建築物の違い

工作物は『原則として』建築基準法の適用を受けない

建築物は建築基準法の適用を受けます。しかし、工作物は原則として建築基準法の適用を受けません。

ただし、例外として、所定の規模・構造の工作物には、一部の建築基準法の準用がされます。

(準用とは、本来の対象ではないけれども似ている対象に法文を当てはめることをいいます。)

工作物は、建築基準法以外の法律によって規制が設けられていることがあります。しかし、全てではありません。だったら、なんでも好きに建てられてしまいますよね。

しかし、一部の工作物は一部の建築基準法の規制を受けるんです。

代表的なものだと、確認申請(建築基準法第6条)が準用されます!
だから、工作物でも確認申請が必要になるんです。

なぜか、工作物は『確認申請の有無』ばかり気にされてしまいます。しかし、実際は他の規制の準用もされます。そこはしっかり理解しておきましょう。

建築基準法が『準用』される工作物とは?

まず、準用される工作物には種類が2つあります。

それは、『準用工作物(法第88条第1項)』と『指定工作物(法第88条第2項)』です。

2つに違いは、準用される規定が異なります。

例えば、準用工作物は『法第20条』の構造耐力の規定を受けますが、指定工作物は、『法第20条』の構造耐力の規定を受けません。このように、準用される規制に若干違いがあります。

準用される工作物は以下のようになります。

▼建築基準法の準用を受ける工作物

適用区域法文用途規模工事種別
全国
(都市計画区域内外を問わず)
準用工作物
法88条1項
令138条
第1項※4
煙突※1(一号)高さ6mを超える築造
RC柱、鉄柱、木柱等※2(二号)高さ15mを超える
広告塔、広告板、装飾塔、記念塔等(三号)高さ4mを超える
高架水槽、サイロ、物見塔等(四号)高さ8mを超える
擁壁※3(五号)高さ2mを超える
令138条
第2項
観光用施設に設ける昇降機など(一号)
(観光用エレベーター、観光用エスカレーター)※5
築造、大規模の修繕、大規模の模様替え
高架の遊戯施設(二号)
(コースター、ウォーターシュートなど)
原動機付回転遊戯施設(三号)
(メリーゴーランド、観覧車、飛行塔など)
指定工作物
法88条2項
令138条
第3項
用途規則(法48条)を受ける工作物である製造施設、貯蔵施設、遊戯施設、自動車車庫、及び処理施設位置の制限(法51条)を受ける汚物処理場、ごみ焼却場等
※1:支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。(令138条1項一号)
※2:旗ざおを除く。(令138条1項第二号)
※3:宅地造成等規制法、開発許可等を受けた擁壁は、確認申請等の準用はされない(法88条3項)
※4:鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものその他他の法令の規定により法及びこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定するものを除く。(令138条1項本文)
※5:一般交通の用に供するものを除く。(令138条2項一号)

ちなみに、準用工作物も、指定工作物も確認申請(建築基準法第6条)の準用がされるので
表に当てはまった工作物は、確認申請が必要です!

準用される規制について

準用される規制については、法第88条を確認すればわかります。

準用工作物法88条第1項
指定工作物法88条第2項

準用される規制については、以下をクリックして法文を確認してください!(まとめていると時間が足りないので、割愛します…)

法88条を確認する

煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(以下この項において「昇降機等」という。)については、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、昇降機等については第一項第一号又は第二号の建築物に係る部分、その他のものについては同項第三号の建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項を除く。)、第六条の四(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条から第七条の四まで、第七条の五(第六条の四第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第八条から第十一条まで、第十二条第五項(第三号を除く。)及び第六項から第九項まで、第十三条、第十五条の二、第十八条(第五項から第十四項まで及び第三十八項から第四十項までを除く。)、第二十条、第二十八条の二(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第三十二条、第三十三条、第三十四条第一項、第三十六条(避雷設備及び昇降機に係る部分に限る。)、第三十七条、第三十八条、第四十条、第三章の二(第六十八条の二十第二項については、同項に規定する建築物以外の認証型式部材等に係る部分に限る。)、第八十六条の七第一項(第二十八条の二(同条第一号及び第二号に掲げる基準に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、第八十六条の七第二項(第二十条に係る部分に限る。)、第八十六条の七第三項(第三十二条、第三十四条第一項、第三十六条(昇降機に係る部分に限る。)及び第三十七条に係る部分に限る。)、前条、次条並びに第九十条の規定を、昇降機等については、第七条の六、第十二条第一項から第四項まで、第十二条の二、第十二条の三及び第十八条第三十八項から第四十項までの規定を準用する。この場合において、第二十条第一項中「次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、当該各号に定める基準」とあるのは、「政令で定める技術的基準」と読み替えるものとする。
2 製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについては、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、第一項第一号又は第二号の建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項を除く。)、第七条、第七条の二、第七条の六から第九条の三まで、第十一条、第十二条第五項(第三号を除く。)及び第六項から第九項まで、第十三条、第十五条の二、第十八条(第五項から第十四項まで及び第二十八項から第三十七項までを除く。)、第四十八条から第五十一条まで、第六十条の二第三項、第六十条の二の二第四項、第六十条の三第三項、第六十八条の二第一項及び第五項、第六十八条の三第六項から第九項まで、第八十六条の七第一項(第四十八条第一項から第十四項まで及び第五十一条に係る部分に限る。)、第八十七条第二項(第四十八条第一項から第十四項まで、第四十九条から第五十一条まで、第六十条の二第三項、第六十条の二の二第四項、第六十条の三第三項並びに第六十八条の二第一項及び第五項に係る部分に限る。)、第八十七条第三項(第四十八条第一項から第十四項まで、第四十九条から第五十一条まで及び第六十八条の二第一項に係る部分に限る。)、前条、次条、第九十一条、第九十二条の二並びに第九十三条の二の規定を準用する。この場合において、第六条第二項及び別表第二中「床面積の合計」とあるのは「築造面積」と、第六十八条の二第一項中「敷地、構造、建築設備又は用途」とあるのは「用途」と読み替えるものとする。
3 第三条、第八条から第十一条まで、第十二条(第五項第三号を除く。)、第十二条の二、第十二条の三、第十三条、第十五条の二並びに第十八条第一項及び第四十一項の規定は、第六十四条に規定する工作物について準用する。
4 第一項中第六条から第七条の五まで、第十八条(第一項及び第四十一項を除く。)及び次条に係る部分は、宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第十二条第一項、第十六条第一項、第三十条第一項若しくは第三十五条第一項、都市計画法第二十九条第一項若しくは第二項若しくは第三十五条の二第一項本文、特定都市河川浸水被害対策法(平成十五年法律第七十七号)第五十七条第一項若しくは第六十二条第一項又は津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第七十三条第一項若しくは第七十八条第一項の規定による許可を受けなければならない場合の擁壁については、適用しない。

『擁壁』と『塀』は確認申請が必要か?

擁壁は、高さが2mを超えたら工作物として確認申請が必要

は、建物に付属するものとなったら建築物として確認申請が必要

建築基準法第2条の建築物の定義により、建築物に附属する門若しくは塀は『建築物になります。

したがって、建築物に付属する塀は、建築物として確認申請が必要になります。

例えば、準防火地域内で、建築物が建っている敷地に塀を増築する場合、確認申請が必要になったりします

詳しくは、以下の記事を参考にしてください

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まとめ

  • 工作物=建築物以外の人工物、建築基準法の定義には無い(建築物の定義の中に登場するのみ)
  • 原則、工作物は建築基準法の適用外。ただし所定要件で「準用」される
  • 準用工作物(法88条1項)と指定工作物(法88条2項)は受ける規制が異なる(構造耐力=法20条の有無等)
  • 煙突6m超・広告塔4m超・擁壁2m超・高架水槽8m超など、規模要件を超えると確認申請必要
  • 塀は建築物に付属した時点で「建築物」扱いとなり確認申請対象

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。