建築基準法

確認申請が必要な建物とは?工作物、昇降機も必要【法第6条】

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確認申請ってなに?

確認申請はどんな建築物が必要なの?

工作物・昇降機も確認申請は必要なの?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

確認申請とは、工事を着工する前に、建築基準法その他関係法令に適合しているのかどうか事前チェックを受けるもの

確認申請が必要な建築物は、地域や建築物の規模・用途により決まる

工作物や昇降機も、条件を満たした場合は確認申請が必要となる

確認申請は、建築基準法の中でも読みにくい法文です!今回は、表などを用いてわかりやすく解説していきます!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

確認申請とは?

確認申請とは

工事着手する前に、指定確認検査機関もしくは特定行政庁に必要書類を添えて申請し、建築基準法や条例に適合しているか確認を受けること

確認申請は、法6条に規定される手続きのことで、工事を着手する前に第3者から法令のチェックを受けます。

着工の定義については、下記の記事を確認してください。

指定確認検査機関・特定行政庁は建築法規のプロです。

違反した建築物の図面で工事を着工することを阻止する目的があります!

ただし、確認申請にはそれなりの費用や日数が必要です。したがって、計画している建築物に確認申請が必要になるかどうかは慎重に判断する必要があります。必要な建築物について確認していきましょう。

確認申請が必要になるケースは3つある

実は、確認申請が必要になるケースは大きく分けて3つあります。

確認申請が必要になるケース

  1. 建築物
  2. 工作物
  3. 昇降機

それぞれ、見てみましょう。

①確認申請が必要な建築物の工事内容一覧

建築基準法第6条第1項より、建築物が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。

区域 法第6条区分 用途・構造 規模 工事種別
建築※1 大規模の修繕・模様替 用途変更※3
全国 一号 特殊建築物※2 床面積200㎡超
二号 木造建築物 以下いずれかに該当

  • 階数3以上
  • 延べ面積500㎡超
  • 高さ13m超
  • 軒高9m超
✖️
三号 木造以外 以下いずれかに該当

  • 階数2階以上
  • 延べ面積200㎡超
✖️
  • 都市計画区域
  • 準都市計画区域
  • 準景観地区内
  • 知事指定区域
四号 上記3つ以外 ✖️ ✖️
●は確認申請が必要、✖️は確認申請不要
※1 建築とは新築、増築、改築、移転のこと。又防火地域、及び準防火地域外の10㎡以内の増築、改築、移転は不要(新築は必要)
※2 別表第1に記載ある用途
※3 類似の用途を除く
クリックで建築基準法6条1項を確認

建築基準法第6条1項

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

確認申請は、ほとんどの建築物に必要です。むしろ、不要な建築物を探した方がいいくらいです!以下の記事で詳細に解説していますので、確認してみてください。

この表のわかりくい部分を補足していきます。

建築物の定義とは?

確認申請の有無について確認するときに『建築物』に該当するかどうかというのは非常に大事な事です。

なぜなら、建築物に該当しなければ、そもそも確認申請が不要になるからです。

建築物の定義は、建築基準法第2条第1項第一号に記載があります。

建築基準法上の建築物に該当するもの5つ

  1. 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)
  2. 1.に附属する門若しくは塀
  3. 観覧のための工作物
  4. 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
  5. 建築設備

新築、増築、改築、移転の違いは?

※1に記載がありますが、『防火地域、及び準防火地域外の10㎡以内の増築、改築、移転は確認申請が不要とあります。

だから、この新築、増築、改築、移転の違いも確認申請の有無に大きく関わります。

新築 更地の敷地に建築物を建てること
増築 同一敷地内で建築物の床面積が増加すること
改築 建築物の全部又は一部を取り壊した後、従前の建築物の用途、構造、規模に大きな変更がないこと
移転 原則として同一敷地内で建築物を移転すること

詳しくは以下の記事で解説しています。

②確認申請が必要な工作物一覧

建築基準法第88条第1項より、建築基準法施行令138条1項の指定された工作物が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。

確認申請が必要が工作物一覧

以下のいずれかに該当する場合

  1. 6mを超える煙突(ストーブは除く)
  2. 15mを超える柱等(旗竿は除く)
  3. 4mを超える広告塔等
  4. 8mを超える高架水槽等
  5. 2mを超える擁壁(宅地造成規制法、都市計画法などの規定による許可対象除く)
  6. 乗用エレベーター又はエスカレーターで観光用のもの

工作物については、以下の記事で詳しく解説しています。

クリックで建築基準法施行令第138条第1項・2項を確認

建築基準法施行令138条1項・2項

煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものその他他の法令の規定により法及びこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定するものを除く。)とする。

一 高さが六メートルを超える煙突(支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。)
二 高さが十五メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く。)
三 高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四 高さが八メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五 高さが二メートルを超える擁壁
2 昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項の規定により政令で指定するものは、次の各号に掲げるものとする。
一 乗用エレベーター又はエスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く。)
二 ウオーターシユート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設
三 メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの

③確認申請が必要な昇降機一覧

建築基準法第87条の2より、建築基準法施行令第146の指定された昇降機が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。

確認申請が必要が昇降機一覧

以下のいずれかに該当する場合

  1. 法第6条第一号〜第三号の建築物の昇降機
  2. 法第6条第一号〜第三号の建築物の小荷物専用昇降機(告示に定めるものを除く)
  3. 特定行政庁が指定する建築設備
じゃあさ、四号建築物の昇降機は、確認申請はいらないってこと?
厳密には、四号建築物の昇降機は、単独の確認申請を出すことは出来ません。しかし、昇降機を出すなら、四号建築物の建築物の確認申請と一緒に申請する必要があります!

昇降機の確認申請については、詳しくは以下の記事にまとめてありますので、ご確認ください。

クリックで建築基準法施行令第146条を確認

建築基準法施行令第146条

法第八十七条の四(法第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。

一 エレベーター及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する建築設備(尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
2 第七章の八の規定は、前項各号に掲げる建築設備について準用する。

確認申請について、慎重に取り扱って欲しい事

確認申請必要かどうかは指定確認検査機関ではなく行政庁に確認を

確認申請が必要かどうかは、『特定行政庁』に確認を

指定確認検査機関で確認申請不要と言われてもあまり意味がありません…

確認申請が必要にも関わらず確認申請を取得しなかった場合に行われるのは違反指導です。

違反指導の権限指定確認検査機関にはありません。

指定確認検査機関が確認申請不要と回答しても、行政庁が必要と判断したら違反指導の対象です。これって確認申請いるのかな?と迷った時は行政庁に必ず相談をお願いします。

確認申請が不要だからといって法適合させなくていいわけではないので慎重に検討を

確認申請が不要でも、建築基準法には適合させなくてはならない

今回の記事を確認されて、確認申請無くてラッキー!と思っている方もいらっしゃると思います。

確かに確認申請は必要ありません。でも、法適合をさせなくていいという事はありません。

あくまで確認申請が無いだけで、設計者は法適合を確認して計画を進める必要があります。

言い方を変えると、もし計画を進めて法適合していていなかった場合の責任は設計者になってしまいます。確認申請が不要でも油断せず、法適合を確認して進める必要がありそうですね。

まとめ:確認申請が必要になるのは、建築物、工作物、昇降機がある

✔️確認申請が必要になるケースは主に3つ

✔️建築物の場合、法6条に記載されている工事

✔️工作物の場合、令138条1項に記載されている工事

✔️昇降機の場合、令146条に記載されている工事

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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