確認申請とは…
行政庁又は指定確認審査機関に事前チェックを受けるもの 工事を着工する前に、建築基準法その他関係法令に適合しているのかどうか
建築基準法第6条で決まっている大事な手続きです。そんな確認申請ですが、全ての工事内容に必要な訳ではなく、一部建物では確認申請が不要な場合もあります。
今回は確認申請が必要な建物についてまとめました。
確認申請が必要になるケースは3つある
実は、確認申請が必要になるケースは大きく分けて3つあります。
確認申請が必要になるケース
- 建築物
- 工作物
- 昇降機
それぞれ、見てみましょう。
①確認申請が必要な建築物の工事内容一覧
建築基準法第6条第1項より、建築物が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。
区域 | 法第6条区分 | 用途・構造 | 規模 | 工事種別 | ||
建築※1 | 大規模修繕
模様替 |
用途変更※3 | ||||
全国 | 第一号 | 特殊建築物※2 | 床面積200㎡超 | ● | ● | ● |
第二号 | 木造建築物 | 階数3以上or
延べ面積500㎡超or 高さ13m超or 軒高9m超 |
● | ● | ✖️ | |
第三号 | 木造以外 | 階数2階以上or
延べ面積200㎡超 |
● | ● | ✖️ | |
都市計画区域
準都市計画区域 準景観地区内 知事指定区域 |
第四号 | 第一、二、三号以外 | ● | ✖️ | ✖️ |
●は確認申請が必要、✖️は確認申請不要
※1 建築とは新築、増築、改築、移転のこと。又防火地域、及び準防火地域外の10㎡以内の増築、改築、移転は不要(新築は必要)
※2 別表第1に記載ある用途
※3 類似の用途を除く
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの
二 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500平方メートル、高さが13メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200平方メートルを超えるもの
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
この表の中で分かりづらい用語2点を念のため補足します。
建築物の定義とは?
確認申請の有無について確認するときに『建築物』に該当するかどうかというのは非常に大事な事です。
なぜなら、建築物に該当しなければ、そもそも確認申請が不要になるからです。
建築物の定義は、建築基準法第2条第1項第一号に記載があります。
①土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)
②1.に附属する門若しくは塀
③観覧のための工作物
④地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
⑤建築設備
(用語の定義)
第2条第1項第一号 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類するこ 施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
詳しくは以下の記事で解説しています。
新築、増築、改築、移転の違いは?
※1に記載がありますが、『防火地域、及び準防火地域外の10㎡以内の増築、改築、移転は確認申請が不用』とあります。
だから、この新築、増築、改築、移転の違いも確認申請の有無に大きく関わります。
新築 | 更地の敷地に建築物を建てること |
増築 | 同一敷地内で建築物の床面積が増加すること |
改築 | 建築物の全部又は一部を取り壊した後、従前の建築物の用途、構造、規模に大きな変更がないこと |
移転 | 原則として同一敷地内で建築物を移転すること |
詳しくは以下の記事で解説しています。
②確認申請が必要な工作物一覧
建築基準法第88条第1項より、建築基準法施行令第138条第1項の指定された工作物が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。
以下のいずれかに該当する場合
①6mを超える煙突(ストーブは除く)
②15mを超える柱等(旗竿は除く)
③4mを超える広告塔等
④8mを超える高架水槽等
⑤2mを超える擁壁(宅地造成規制法、都市計画法などの規定による許可対象除く)
⑥乗用エレベーター又はエスカレーターで観光用のもの
(工作物の指定)
第138条 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第88条第1項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものその他他の法令の規定により法及びこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定するものを除く。)とする。
一 高さが6メートルを超える煙突(支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。)
二 高さが15メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く。)
三 高さが4メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四 高さが8メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五 高さが2メートルを超える擁壁
2 昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物で法第88条第1項の規定により政令で指定するものは、次の各号に掲げるものとする。
一 乗用エレベーター又はエスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く。)
二 ウオーターシユート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設
三 メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの
③確認申請が必要な昇降機一覧
建築基準法第87条の2より、建築基準法施行令第146条の指定された昇降機が以下の工事内容に該当すると確認申請が必要です。
①法第6条第一号〜第三号の建築物の昇降機
②法第6条第一号〜第三号の建築物の小荷物専用昇降機(告示に定めるものを除く)
③特定行政庁が指定する建築設備
(確認等を要する建築設備)
第146条 法第87条の4(法第88条第1項及び第2項において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一 エレベーター及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三 法第12条第3項の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎し尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
確認申請について、慎重に取り扱って欲しい事
確認申請必要かどうかは指定確認検査機関ではなく行政庁に確認を
正直、指定確認検査機関で確認申請不要と言われてもあまり意味がありません。
確認申請が必要にも関わらず確認申請を取得しなかった場合に行われるのは違反指導です。
違反指導の権限は指定確認検査機関にはありません。
これって確認申請いるのかな?と迷った時は行政庁に必ず相談をお願いします。
確認申請が不要だからといって法適合させなくていいわけではないので慎重に検討を
今回の記事を確認されて、確認申請無くてラッキー!と思っている方もいらっしゃると思います。
確かに確認申請は必要ありません。
でも、法適合をさせなくていいという事はありません。
あくまで確認申請が無いだけで、設計者は法適合を確認して計画を進める必要があります。
言い方を変えると、もし計画を進めて法適合していていなかった場合の責任は設計者になってしまいます。
確認申請が不要でも油断せず、法適合を確認して進める必要がありそうですね。
まとめ:確認申請が必要になるのは、建築物、工作物、昇降機がある
繰り返しになりますが、確認申請が必要になるケースは『建築物、工作物、昇降機』この3つがあります。
まとめた表を参考に、よく確認をお願いします。
又、確認申請には『特例』というものがあります。実際に確認申請に大きく関わってくる内容になるので、以下の記事で確認をしてみてください。