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竪穴区画とは?|緩和は?建築基準法を根拠にわかりやすく解説

本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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竪穴区画とは、階段・吹抜け・昇降路などの竪穴部分とその他の部分を区画し、煙の上階への拡散を防ぐ防火区画(令112条11〜15項)。主要構造部を準耐火・耐火構造にした建築物で、地階または3階以上に居室がある場合に必要。ロ準耐火建築物は対象外。
この記事でわかること
- 竪穴区画が必要になる建築物の3つの区分
- 竪穴部分の具体的な範囲(メゾネット住戸・屋外階段も含む)
- 区画方法(壁・床・防火設備の種別)
- ロ準耐火・任意準耐火の扱い
- 緩和の使い方(避難階直上下・200㎡以内住宅・長屋共同住宅)
そぞろ竪穴区画は、小規模な建築物でも必要になるので、防火区画の中でも、関わる方が多い規定です。
法文を読みこなすのは難しいので、記事の中でわかりやすく解説していきます!
『竪穴区画』とは
竪穴区画とは、4つある防火区画の1つ
建築基準法施行令112条により、建築基準法には防火区画が定められています。防火区画には4種類存在していて、
です。

この中に、竪穴区画があります。竪穴区画は、簡単に言うと火災発生時に煙を広げないための規制です。煙は、水平方向の移動はゆっくりですが、鉛直方向の移動は早いです。よって、階段室などの他の階と繋がっている空間(竪穴部分)では、あっという間に煙が広がってしまいます。
そこで、『竪穴部分』と『その他の部分』を区画して、煙をその階に留めるようにしています。これが竪穴区画です。
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Q.竪穴区画が必要となる『竪穴部分』とは?
- 区画が必要となる『竪穴部分』ってどんな部分?
-
竪穴部分は、『他の階と繋がっている空間』のこと。具体的には、建築基準法施行令112条11項に記載されています。
竪穴部分とは?
- 吹抜きとなっている部分
- 階段の部分
- 昇降機の昇降路の部分
- 長屋又は共同住宅の住戸でその階数が2以上であるもの
- ダクトスペースの部分その他これらに類する部分
見落としがちなのが『長屋又は共同住宅の住戸でその階数が2以上であるもの』です。これは要するにメゾネット住戸のことです。メゾネット住戸も竪穴部分として、区画が必要なので、注意が必要です。ただし、住戸自体は竪穴区画が必要ですが、メゾネット住戸内の階段については、竪穴区画の緩和があります。こちらについては、緩和の部分で図解にて詳しく説明します。
竪穴区画が『必要になる建築物』とは?
竪穴区画が必要になる建築物は、大きく分けて3つの区分がある
それぞれの区分に応じて、区画の方法が異なります。まとめると、以下のようになります。
| 区画が必要になる建築物 | 区画する部分 | 区画方法 | |||
| 壁の構造 | 床の構造 | 防火設備の種別 | |||
| ① | 以下の建築物で、地階又は三階以上の階に居室を有するもの 主要構造部を準耐火構造(または、耐火構造)とした建築物 令136の2-1-ロの基準適合建築物 令136の2-2-ロの基準適合建築物 | 『竪穴部分』と『その他の部分』 | 準耐火構造 | 準耐火構造 | 防火設備※1 |
| ② | ①以外の建築物で 病院・診療所・児童福祉施設等で階数3かつ延べ面積<200㎡ | 間仕切壁 | ー | 防火設備 ※1※2 | |
| ③ | ①以外の建築物で 共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3かつ延べ面積<200㎡ | 間仕切壁 | ー | 戸(ふすま・障子等は不可)※1 | |
| ※1…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造 ①常時閉鎖式 ②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの ※2…居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物の竪穴部分については、10分間防火設備にしても良い | |||||
ほとんどの建築物は、①の『主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にした場合』に該当し、竪穴区画が必要になります。ただし、主要構造部がその他であっても、②③であれば竪穴区画が必要になりますので、こちらも忘れないでおきたいですね。
配管の貫通について
防火区画に配管等を貫通する場合は、所定の措置をしなくてはならない
防火区画には、原則として、配管等を貫通させない方が良いです。しかし、やむを得ず貫通が必要な場合もあるかと思います。
その場合、所定の措置をしなくてはなりません。(建築基準法施行令112条20項、21項)
- 貫通する給水管・配電管等の措置
-
以下2つ全てに適合させること
①管と防火区画との隙間をモルタル等の不燃材料で埋めること
②以下3つのいずれか1つに適合させること
・貫通する部分からそれぞれ両端1m以内の距離にある管を不燃材料で造ること
・管の外径が、用途、材質その他の事項に応じて告示1422号が定める数値未満であること
・国土交通省の認定を受けたもの
- 貫通する換気、暖房、冷房の風道等の措置
-
特定防火設備であって、大臣が定めた構造又は大臣の認定したものであること
スパンドレルについて
竪穴区画を計画する場合、スパンドレルの計画が必要です
スパンドレルとは、建築物の内部からではなく、外部からの回り込みによる延焼を防止するための規定です。
竪穴区画とぶつかる外壁は、そこを含む90㎝以上の外壁を準耐火構造とするか、50㎝以上突出した庇を準耐火構造とし、開口部があった場合は防火設備としなくてはなりません。

参考:著書『増補改訂版 用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規/そぞろ』

スパンドレルは忘れがちなので、注意しましょう。
Q.『任意』で主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にした場合、竪穴区画必要?
- 任意で主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にした場合でも、竪穴区画は必要か?
-
必要です。
この疑問を持つ方は、面積区画の勉強をされている方に多いです。面積区画は『①何の規制によって』『②主要構造部を耐火構造or準耐火建築物にしたか』の2つが重要となります。任意で主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にした場合、それ以外の場合で規制が変わってくるのです。詳しくは、以下の記事で解説しています。

しかし、竪穴区画の場合はそのようなややこしいことは無く、任意かどうかは関係無く、主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にしたら竪穴区画が必要です。
書籍の方でも、その旨が以下のように記載されているので、合わせて確認ください。
自主的に主要構造部を準耐火構造とした建築物又は令第136条の2第二号ロに掲げる建築物(準延焼防止建築物)とした場合も同様に取り扱うこととする。
『建築物の防火避難規定の解説/ぎょうせい』より引用

Q.『居室』が無い建築物に竪穴区画必要?
- もし、3階以上・地階に居室が無い場合なら、竪穴区画は不要になる?
-
不要です。
あくまで、3階以上・地階に居室がある場合に必要になる規制なので、無いのであれば当然、竪穴区画をする必要はありません。
3階部分を倉庫として利用している建築物などは、居室が無いので、竪穴区画がされていないことがあります。
Q.『ロ準耐火』の建築物に竪穴区画必要?
- ロ準耐火建築物なら、竪穴区画は不要って話を聞いたんだけど、本当かな?
-
不要です。なぜなら、主要構造部を準耐火構造にしているわけでは無いからです。
竪穴区画が必要になる建築物は、あくまで『主要構造部を耐火構造又は準耐火構造にした場合』です。ややこしいですが、ロ準耐火建築物の場合は、この条件に該当しません。したがって、竪穴区画は不要となります。
Q.屋外階段でも、竪穴区画をしなくてはならないのか?
- 屋外階段でも竪穴区画は必要か?
-
屋外階段であっても、竪穴部分に該当するので、竪穴区画は必要です
法文を確認すると、『竪穴部分(階段)』と『その他の部分』を区画すること、しか書かれていません。屋外階段だから除かれるような記載にはなっていないので、竪穴区画は必要になります。
実際、この屋外階段の竪穴区画しないまま確認済証を交付した指定確認確認検査機関が、国土交通省から指摘を受け、業務停止されています。国としても、必要という見解ということです。屋外階段であっても竪穴区画が必要なことは覚えておきましょう。
竪穴区画の『緩和』とは?
竪穴区画で使える緩和
以下に該当する竪穴部分は、竪穴区画不要
- 避難階からその直上階・直下階に通ずる竪穴部分(仕上げを不燃材料とし、下地を不燃材料で造った場合に限る)(令112条9項一号)
- 階数が3以下かつ延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅の竪穴部分(令112条9項二号)
- 階数が3以下かつ床面積の合計が200㎡以内の長屋・共同住宅の竪穴部分(令112条9項二号)
以下に該当する竪穴部分は、一の竪穴区画とみなして適用される
- 竪穴部分と他の竪穴部分が隣接している場合、同一の竪穴区画とみなすことが出来る(仕上げを準不燃材料とし、下地を準不燃材料で造った場合に限る)(令112条14項一号)
- 竪穴部分と他の竪穴部分が用途上区画することが出来ない場合、同一の竪穴区画とみなすことが出来る(令112条14項二号)
竪穴区画の緩和は、大きく分けて2つあります。
一つは、単純に、竪穴区画が不要になるものです。もう一つは、同一の竪穴区画をしてみなされる緩和です。
竪穴区画が不要になる緩和は、よく使われるので、詳しく解説していきます。
避難階からその直上階・直下階に通ずる竪穴部分
下記2つをどちらも満たした場合、竪穴区画は不要となる
①避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる竪穴部分であること
②壁及び天井の室内に面する部分の仕上下地を不燃材料にすること(内装制限)
避難階からその直上階・直下階に通ずる竪穴部分は、竪穴区画をする必要がありません。あくまでも、避難階とその直上階・直下階の2層の竪穴部分に限るというのがポイントです。避難階の定義については以下の記事を確認してください。

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ただし!緩和の条件はこれ以外にもあるので、木造建築物などには使いにくい緩和になっています!

他の条件ってなに?どうして木造建築物では使えないの?

その条件とは、竪穴部分の仕上げを不燃材料とし、下地を不燃材料としなければならないことです!
見落とされがちなのですが、内装制限とその『下地』についての制限があります。木造建築物の場合、下地を不燃材料にすることが原則として出来ないので、使いにくい緩和になっています。
そしてその内装制限の範囲についても、 建築物の防火避難規定の解説に定められていますので、確認しましょう。
内装制限の範囲は、単に吹抜け部分のみでは不十分であるので、吹抜けと一体になっている空間すべてを内装制限の対象とする。なお、下地、仕上げを不燃材料で行うべき範囲は当該吹抜けを含めて、準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備若しくは両面20分の防火設備で区画された部分のすべてのものとする
『建築物の防火避難規定の解説/ぎょうせい』より引用

内容を要約すると、
内装制限の範囲は、竪穴部分だけでは不十分なので、竪穴部分と一体になっている空間すべてを対象とする。一体にしたくない部分については、準耐火構造の壁・床と防火設備で区画をしなければはらない。

区画をしないと、建築物全体で内装制限に適合させる必要があるということです…!この緩和を使う場合には、特に内装制限の範囲に注意しましょう!
階数が3以下かつ延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅の竪穴部分
階数が3以下かつ延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅は、竪穴区画は不要となる
例え、住宅であっても、主要構造部が準耐火構造で、3階部分に居室がある場合は、竪穴区画が必要になります。しかし、3階以下かつ200㎡以内の一戸建て住宅に限り、竪穴区画は不要となります。

逆に言えば、延べ面積が200㎡を超える場合や、階数が4階以上の場合は例え一戸建て住宅であっても竪穴区画が必要ということです!

一戸建て住宅に竪穴区画!?そんなことできないよ…なんとかする方法はある?

一応、ありますよ!それは、主要構造部を準耐火構造にせずに、『令136条の2第二号ロ』に適合させることです!
そもそも、一戸建て住宅をわざわざ主要構造部を準耐火構造にする理由は、法61条(防火地域・準防火地域内の建築物)の適用を受けるからです。だったら、他の方法で法61条に適合させてしまえばいいのです。その方法が、『令136条の2第二号ロ』に適合させることです。開口部制限など複雑な話がありますが、こんな方法があるということを覚えておきましょう。法61条については下記の記事を参考にしてください。

階数が3以下かつ床面積の合計が200㎡以内の長屋・共同住宅の竪穴部分
階数が3以下かつ延べ面積200㎡以内の長屋・共同住宅の住戸内の竪穴部分は、竪穴区画は不要となる
一戸建て住宅だけでなく、長屋・共同住宅も竪穴区画の緩和があります。共同住宅は、住戸内に階段がある、いわゆるメゾネット住戸が対象です。

注意したいのが…、長屋・共同住宅の緩和はあくまで『住戸内』に関する緩和です。つまり、共同住宅の場合は、共用階段には竪穴区画の緩和はありませんので、勘違いしないようにしましょう。

参考:著書『増補改訂版 用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規/そぞろ』

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まとめ
- 竪穴区画は煙の上階拡散を防ぐ防火区画
- 主要構造部を準耐火・耐火構造にした建築物で、地階または3階以上に居室がある場合に必要
- ロ準耐火建築物は対象外
- 屋外階段でも竪穴区画は必要
- 緩和は3種類(避難階直上下・200㎡以内一戸建て・200㎡以内長屋共同住宅)
- 避難階直上下の緩和は下地を不燃材料にする必要があるため木造では使いにくい
根拠法文
記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。
令112条11項から15項
根拠法文を確認する(クリックで展開)
11 主要構造部を準耐火構造とした建築物(特定主要構造部を耐火構造とした建築物を含む。)又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は三階以上の階に居室を有するものの竪たて穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪たて穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第十三項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪たて穴部分については、この限りでない。
一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなつている部分、階段の部分その他これらに類する部分で、国土交通大臣が定める基準に従い、その壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ることその他これに準ずる措置が講じられたもの
二 階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が三以下で、かつ、床面積の合計が二百平方メートル以内であるものにおける吹抜きとなつている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分
12 三階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。次項において同じ。)又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。同項において同じ。)の用途に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)の竪たて穴部分については、当該竪たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物の竪たて穴部分については、当該防火設備に代えて、十分間防火設備(第百九条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後十分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。第十九項及び第百二十一条第四項第一号において同じ。)で区画することができる。
13 三階を法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(第十一項に規定する建築物を除く。)の竪たて穴部分については、当該竪たて穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。
14 竪たて穴部分及びこれに接する他の竪たて穴部分(いずれも第一項第一号に該当する建築物の部分又は階段室の部分等であるものに限る。)が次に掲げる基準に適合する場合においては、これらの竪たて穴部分を一の竪たて穴部分とみなして、前三項の規定を適用する。
一 国土交通大臣が定める基準に従い、当該竪たて穴部分及び他の竪たて穴部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でし、かつ、その下地を準不燃材料で造ることその他これに準ずる措置が講じられたものであること。
二 当該竪たて穴部分と当該他の竪たて穴部分とが用途上区画することができないものであること。
15 第十二項及び第十三項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物として、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるものの竪たて穴部分については、適用しない。








