準耐火建築物とは、簡単に言うと高い防火性能を持つ建築物の事です。ただし、『準』という言葉が頭に付く通り、『耐火建築物』よりかは、防火性能的には劣ります。
また、準耐火建築物は、イ準耐火建築物とロ準耐火建築物の2つ分かれているという特徴があります。似ているようで、この2つはまったく意味合いが異なります。
今回は、準耐火建築物の要件や条文、そしてイ準耐火建築物とロ準耐火建築物の違いについても解説していきたいと思います。
まずは法文を確認する
建築基準法第2条第1項第九の三号 準耐火建築物 耐火建築物以外の建築物で、イ又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。
イ 主要構造部を準耐火構造としたもの
ロ イに掲げる建築物以外の建築物であつて、イに掲げるものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの
準耐火建築物と言ったら、2点セット
準耐火建築物と言ったら、2つの基準に適合している建築物の事です。
①と②どちらも満たして、初めて準耐火建築物して成立します。
法文の考え方

イ準耐火とロ準耐火の違いは?
大きな違いをとしては『主要構造部に要求があるかどうか?』というところです。
さて、ここで確認していただきたいのですが、イ準耐火は主要構造部を準耐火構造となっていますが、ロ準耐火は主要構造部の話は出てきていませんよね?(令108条の3にも記載が無し)
つまり、イ準耐火は主要構造部を適合させなければなりませんが、ロ準耐火は主要構造部でなくとも、外壁や屋根など一部の部材だけ適合させればいいという事です。
実は、劇的に変わってしまう法文があります。それは、竪穴区画。
実は、施行令第112条第一九号の竪穴区画、イ準耐火はかかるけど、ロ準耐火はかからないというものになります。
それは、主要構造部に要求があるかどうか?というのが非常に重要です。
このあたりは別の記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください。
準耐火建築物にしなければならない建築物かどうか確認するには?
建築基準法上だと、基本的には3つの条文を確認するようにしてください。
- 規模によって耐火建築物要求がある『法第21条』
- 用途によって耐火建築物要求がある『法第27条』
- 地域によって耐火建築物要求がある『法第61条』
基本的にはこの3つですが、他にも『地方公共団体の条例』などでも、要求がある事もあるので、そちらも注意したいですね。