建築基準法

防火設備とは?建築基準法上の定義について

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防火設備ってなに?

防火設備は建築基準法のどこに記載されているの?

防火設備にはどんな種類があるの?

防火設備はどんな場所に使うの?

今回の記事ではこんな疑問に法的根拠を元に答えます。

ざっくりまとめると、

防火設備とは、遮炎性能を有する建具のこと

防火設備の定義は『建築基準法2条九号の二ロ』に記載されている

防火設備と言っても、多くの種類が存在する

防火設備は、耐火建築物や、防火地域等の延焼のおそれのある部分の開口部に求められる

防火設備は、建築基準法でよく出てくる重要なキーワードです。

今回の記事では、わかりやすく解説していきます!(sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

まず、知ってほしい防火設備の種類

防火設備と言っても、『耐えられる時間』と『両面か片面か』の違いで複数の種類がある

実は防火設備には種類があります。これらを一覧にすると、以下の通りです。(もっと種類があるのですが、メインで使われているのは以下のものです。)

耐えられる時間 両面or片面
特定防火設備 60分 両面
防火設備 両面 20分 両面
片面 片面
10分防火設備 10分 両面

一般的には、防火設備とは『両面』の防火設備のことです。最近は、片面の防火設備は実務で使われることは少なくなってきました。

しかし、いまだに建築士試験では、片面の防火設備に関する出題がされるので、しっかり押さえておきましょう。

ところで、両面と片面の違いってなに?
それは、『屋内と屋外の両方』の火災に耐えられるか。それとも、『屋内の片面』の火災に耐えられるかの違いです。

ほとんど規制において、両面の防火設備が要求されますが、一部の規制では片面の防火設備でもOKとされています。

ということで、ここからは防火設備(両面・片面)について確認していきましょう!

『防火設備(両面)』を法文から確認する

防火設備(両面)は『建築基準法2条九号の二ロ』に定義される

では、実際に法文で確認してみましょう!

建築基準法条九号の二ロ

その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

防火設備は遮炎性能を有する防火戸、ドレンチャーその他火災を遮る設備です。(令109条より)遮炎性能の定義については、『建築基準法施行令第109条の2』に記載されているので、確認してみましょう

建築基準法施行令第109条の2

法第2条第九号の二ロの政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであることとする。

これらの内容からまとめると…

防火設備(両面)の定義とは?

防火設備とは、遮炎性能(防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないもの)を有する開口部のこと

これが、両面の防火設備の記載です!これから解説する片面との違いに注目してみてください!

『防火設備(片面)』を法文から確認する

防火設備(片面)は『建築基準法施行令110条の3』に定義される

では、実際に法文で確認してみましょう!

建築基準法施行令第110条の3

防火設備の遮炎性能に関する法第27条第1項の政令で定める技術的基準は、防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものであることとする。

これらの内容からまとめると…

防火設備(片面)の定義とは?

防火設備とは、遮炎性能(防火設備に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないもの)を有する開口部のこと

片面の場合は、(屋内に面するものに限る。という記載が追加されています。これで判別するようにしましょう!

防火設備はどこに使われる?

防火設備は、主として延焼のおそれのある部分に必要

防火設備は、延焼のおそれのある部分に求められることが多いです。しかし、全ての建築物に必要になるわけではありません。

延焼のおそれのある部分に防火設備が求められる主なケースは以下の通りです。

  • 防火地域・準防火地域内の建築物の延焼のおそれのある部分
  • 耐火建築物・準耐火建築物の延焼のおそれのある部分

その他、防火区画(高層区画・竪穴区画)の開口部にも必要になることがあります。

『防火設備』は具体的にどんな開口部?

防火設備には、『告示で定めたもの』又は『認定を受けたもの』の2つがある

それぞれの根拠法文などは以下の通りです。

告示で定めたもの 認定を受けたもの
防火設備(両面) 告示1360号 EB-○○○○
防火設備(片面) 告示196号 EC-○○○○
防火設備は、告示で定めたものが使われることはほとんどなくて

認定品が使われることが多いです!

まとめ

✔️防火設備には、両面と片面耐えられるものの2つがある。

✔️防火設備は、主として延焼のおそれのある部分に必要になる

✔️防火設備(両面)には、『告示で定めたもの』又は『認定を受けたもの』の2つがある

  • 告示で定めたものは『告示1360号』に定められるもの
  • 認定を受けたものは『EB-○○○○の番号が付けられたもの

✔️防火設備(片面)には、『告示で定めたもの』又は『認定を受けたもの』の2つがある

  • 告示で定めたものは『告示196号』に定められるもの
  • 認定を受けたものは『EC-○○○○の番号が付けられたもの
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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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