採光義務とは?法28条の採光規定についてわかりやすく解説

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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結論(まずはここだけ)

法28条の採光義務に該当する居室は、代替措置を使って「窓を完全に無くすこと」ができない厳しい規定。だからこそ、自分の設計する用途が法28条の対象になるのか、正確に見極める必要がある。原則の計算方法から、例外である「用途上やむを得ない居室」の除外規定までしっかり押さえておくのが、設計をスムーズに進める鍵。

この記事でわかること

  • 法28条の採光義務の対象となる用途と、必要な窓の大きさの計算方法
  • 「診察室にも採光窓が必要」という勘違いが起こる理由と、現在の正しい扱い
  • 法28条と他の採光規定(法35条など)の決定的な違い
そぞろ

採光の規定は建築基準法に3つ存在します。この中でも、法28条は緩和が無いので厄介な規定です…
今回はわかりやすく解説していきます!

採光義務(法28条)

住宅や学校、病院などの居室において、衛生環境(明るさ・防湿)確保のために床面積の1/5〜1/10以上の有効な窓を設ける義務のこと。

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採光義務とは?

所定の用途の居室には、採光上有効な開口部を設けなければならない

採光規定は、居室内の明るさや防湿の確保等の観点から設けられている規定です。室内の明るさや防湿等の衛生的な環境を確保する為、原則として「自然光」が必要となります。だからこそ、居室に所定以上の大きさの開口部が必要です。

必要となる開口部の大きさは、居室の広さ及び建築物の用途によって異なります。

具体的には、以下の式が成り立っていればOKです。

居室の床面積 × 割合 < 窓の開口面積 × 採光補正係数

建築物居室の種類居室の床面積に乗じる割合
住宅居室×1/7
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)
寄宿舎寝室×1/7
下宿宿泊室×1/7
児童福祉施設等寝室×1/7
保育、訓練×1/7
談話、娯楽×1/10
病院、診療所病室×1/7
談話、娯楽×1/10
幼稚園、小学校、中学校、
義務教育学校、高等学校、
中等教育学校、
幼保連携型認定こども園
教室×1/5
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)
上記の学校以外の学校(大学、専修学校等)教室×1/10
保育所、幼保連携型認定こども園保育室×1/5
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)

青マーカーしている通り、所定の照明設備を設けることで、乗じる係数の低減が可能です。この緩和の内容については、下記の記事で詳しく解説しています。

また、採光補正係数等の求め方については以下の記事を確認してみてください。

例えば、上の表に該当しない事務所の居室とかだった場合どうするの?

その場合、採光義務(法28条)に該当しないので、検討しなくてもOKです![

ただし、法28条に該当しない事務所の居室等であっても、後ほどご紹介するその他の採光規定の検討は必要なのでご注意ください。

病院・診察所の診察室は法28条に該当するか?

病院・診療所の『診察室』は、採光義務の対象になる?

診察室は現行の採光義務(法28条)には該当しません
ただし、法改正する前は診察室は採光義務(法28条)の規制の対象でした!だから、勘違いしている方が多いのです…!

平成12年までの法28条では、診察室は採光義務(法28条)の対象となっていました。しかし、改正後は対象から外れています。

したがって、現行法では診察室は採光義務(法28条)には該当しません。

他の採光規定との違い

建築基準法には採光に関わる規制が3つあるが、採光義務(法28条)に関しては緩和がないという(開口部を無くせない)という違いがある

建築基準法には、採光に関する規定として、法28条・法35条・法35条の3の3つの規制があります。

それぞれの規制については以下の記事で確認してください。

法28条と他の採光に関する規定(法35条・法35条の3)では、大きな違いがあります。それは、他の採光に関する規定は、窓がない居室を作ることは出来ますが、法28条に関しては窓を無くすことは出来ないということです。

他の採光に関する規定(法35条・法35条の3)は、非常用照明を設置したり、区画をすることで、窓を無くすことが出来ます。しかし、法28条に関しては、窓を無くすことは出来ず、必ず窓を設け、自然採光を確保する必要があります

採光義務(法28条)にも、必要となる開口部の面積を低減する緩和はあります。しかし、あくまで低減するだけで、窓を無くすことは出来ないということです。

ただし、用途上やむを得ない居室は除く

採光義務(法28条)は、他の採光に関する規制のように代替措置もなく、なかなか厄介な規制です。しかし、法28条に該当する居室であっても、用途上やむを得ない居室については、その対象から除かれます。(法28条1項ただし書き)

用途上やむを得ない居室ってどんな室?

それは、住指発153号が参考になりますよ!

以下をクリックして確認してみてください。

根拠法文を確認する(クリックで展開)

採光のための開口部を設けることを要しない居室について

近年、建築物の機能の高度化及び多様化、照明設備及び換気設備の機能の向上、国民の住生活様式の多様化等により、居室の利用形態が多様化しており、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号。以下「法」という。)第二八条第一項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室」の解釈について、地方により統一を欠く向きもあるので、その統一を図るため、今後は左記により取り扱われたい。

1 温湿度調整を必要とする作業を行う作業室

次に掲げる居室は、法第二八条第一項ただし書に規定する「温湿度調整を必要とする作業を行う作業室」に該当するものとする。

(1) 大学、病院等の実験室、研究室、調剤室等温湿度調整を必要とする実験、研究、調剤等を行う居室(小学校、中学校又は高等学校の生徒用の実験室を除く。)

(2) 手術室

(3) エックス線撮影室等精密機器による検査、治療等を行う居室

(4) 厳密な温湿度調整を要する治療室、新生児室等

2 その他用途上やむを得ない居室

次に掲げる居室は、法第二八条第一項ただし書に規定する「用途上やむを得ない居室」に該当するものとする。

(1) 開口部を設けることが用途上望ましくない居室

1) 大音量の発生その他音響上の理由から防音措置を講ずることが望ましい居室

ア 住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)

イ 放送室(スタジオ、機械室、前室等で構成されるものをいう。)

ウ 聴覚検査室等外部からの震動・騒音が診察、検査等の障害となる居室

2) 暗室、プラネタリウム等現像、映写等を行うため自然光を防ぐ必要のある居室(小学校、中学校又は高等学校の視聴覚教室を除く。)

3) 大学、病院等の実験室、研究室、消毒室、クリーンルーム等放射性物質等の危険物を取り扱うため、又は遺伝子操作実験、病原菌の取扱い、滅菌作業、清浄な環境の下での検査、治療等を行う上で細菌若しくはほこりの侵入を防ぐため、開口部の面積を必要最小限とすることが望ましい居室

4) 自然光が診察、検査等の障害となる居室

ア 眼科の診察室、検査室等自然光が障害となる機器を使用する居室

イ 歯科又は耳鼻咽喉科の診察室、検査室等人工照明により診察、検査等を行う居室

(2) 未成年者、罹病者、妊産婦、障害者、高齢者等以外の者が専ら利用する居室で法第二八条第一項の規定の適用を受けない建築物の居室に類する用途に供するもの

1) 事務室(オフィス・オートメーション室を含む。)、会議室、応接室、職員室、校長室、院長室、看護婦詰所(いわゆるナース・ステーション)等事務所における事務室その他執務を行う居室に類する用途に供する居室

2) 調理室、印刷室等飲食店等の厨房、事務所等の印刷室その他作業を行う居室に類する用途に供する居室(住宅の調理室で食事室と兼用されるものを除く。)

3) 舞台及び固定された客席を有し、かつ、不特定多数の者が利用する用途に供する講堂等劇場、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等に類する用途に供する居室

4) 管理事務室、守衛室、受付室、宿直室、当直室等事務所等の管理室に類する用途に供する居室

5) 売店等物品販売業を営む店舗の売場に類する用途に供する居室

例えば、住宅の居室であっても、『住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)』であれば、採光義務(法28条)の居室からは除かれることとなります。

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まとめ

採光義務の基本:所定の用途の居室には、自然光を取り入れるための窓が必須。

計算式:「居室の床面積 × 割合 < 窓の開口面積 × 採光補正係数」で検討する。

診察室の注意点:平成12年の法改正で対象外に。現在は法28条の検討は不要(勘違いに注意!)。

他規定との違い:法28条は照明等の緩和はあっても、窓自体を「ゼロ」にはできない。

例外規定:防音室など「用途上やむを得ない居室」に該当すれば、対象から除外できる。

根拠法文

記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。

法28条

根拠法文を確認する(クリックで展開)

住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/5から1/10までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない。ただし、地階若しくは地下工作物内に設ける居室その他これらに類する居室又は温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室については、この限りでない。

令19条

根拠法文を確認する(クリックで展開)

第28条第1項(法第87条第3項において準用する場合を含む。以下この条及び次条において同じ。)の政令で定める建築物は、児童福祉施設(幼保連携型認定こども園を除く。)、助産所、身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設を除く。)、保護施設(医療保護施設を除く。)、婦人保護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム又は障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設(以下「児童福祉施設等」という。)とする。

2 法第28条第1項の政令で定める居室は、次に掲げるものとする。

一 保育所及び幼保連携型認定こども園の保育室

二 診療所の病室

三 児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。)

四 児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目的のために使用されるもの

五 病院、診療所及び児童福祉施設等の居室のうち入院患者又は入所する者の談話、娯楽その他これらに類する目的のために使用されるもの

3 法第28条第1項の政令で定める割合は、次の表の上欄に掲げる居室の種類の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる割合とする。ただし、同表の(一)の項から(六)の項までの上欄に掲げる居室のうち、国土交通大臣が定める基準に従い、照明設備の設置、有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置が講じられているものにあつては、それぞれ同表の下欄に掲げる割合から1/10までの範囲内において国土交通大臣が別に定める割合とする。

居室の種類割合
(一)幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校又は幼保連携型認定こども園の教室1/5
(二)前項第一号に掲げる居室
(三)住宅の居住のための居室1/7
(四)病院又は診療所の病室
(五)寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室
(六)前項第三号及び第四号に掲げる居室
(七)(一)の項に掲げる学校以外の学校の教室1/10
(八)前項第五号に掲げる居室

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この記事を書いた人

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