建築基準法

【最新法令】昇降機は確認申請不要?必要になるケース・必要書類・資格

昇降機でも確認申請って必要なの?

住宅に昇降機を追加したいんだけど、その場合でも確認申請は不要?

確認申請とする場合、用意すべき必要書類は?

昇降機の設計者は、建築士じゃないとダメなの?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

原則として、昇降機は確認申請が必要(ただし、一部例外もあり)

住戸内の昇降機・小規模な建築物については、原則として、確認申請は不要令和7年4月1日の追加内容

昇降機の確認申請で必要な書類は以下の通り

  • 確認申請書(昇降機)(第8号様式)
  • 委任状
  • 付近見取図
  • 配置図
  • 各階平面図
  • エレベーターの設計図書

昇降機の設計者は、建築士でなくてもOK

昇降機の確認申請については、実は令和7年4月1日に法改正されました!

今回の記事では、法改正の内容を踏まえ、昇降機の確認申請についてわかりやすく解説します!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

NEW!2025年4月の法改正の内容

2025年4月の法改正により、下記の後付けの昇降機について、確認申請が不要となった

籠が住戸内のみを昇降するもの

下記すべての条件を満たす建築物に設けるもの

  • 階数が2以下
  • 延べ面積が500㎡以下(特殊建築物の用途は200㎡以下)
  • 高さ16m以下

改正前、旧四号建築物に後付けで昇降機を設ける場合、確認申請が不要でした。しかし、既にご存知の方が多いかと思いますが、四号建築物は三号建築物に名称変更。伴って、大幅に規模が縮小され、屋の200㎡以下になりました。詳しくは、下記の記事で解説しています。

つまり、法改正によって、平屋200㎡以外の建築物は、後付けの昇降機の確認申請が必要になるということです。

平屋(1階建て)に昇降機なんかいらないから…れからはすべての建築物に昇降機が必要になるってこと!?
原則としてはそうなりますが…さすがに厳しすぎるので、冒頭にご紹介した2つの緩和が追加されました!

法改正によって、住戸内の昇降機と、2階建て500㎡以内の小規模な建築物に対しては、後付けの昇降機の確認申請が不要となりました。

緩和が利用できる、2階建て500㎡以内って…ほぼ、昔の四号建築物の規模なので、法改正されたけど、あまり変わらない!』ということで整理して良さそうです!

そして、住戸内の昇降機に対して、確認申請が不要になったのは嬉しい内容です。今後は、住戸内に設ける昇降機を後付けする場合には、確認申請が不要になります。

ちなみに、確認申請が不要になるのは『後付けの昇降機』ってところがポイントです。新築の場合、原則として、建築物と一緒に昇降機の確認申請が必要になります!この内容については、この後の記事内で詳しく解説します!

昇降機で確認申請が必要になるケースとは?

昇降機の確認申請が必要になるかは、以下の通り

原則 例外(後述)
建築物の建築と同時に設置する昇降機 ○(必要) ○(必要)
ただし、単独申請は不可
上記以外の昇降機
(昇降機単独の設置等)
×(不要)
ただし、特定行政庁によっては法12条5項の報告が求められる
基本は、昇降機の確認申請は、必要になるってことだね!
そうです!でも、例外もあるので、そちらも把握しておきましょう!

昇降機の確認申請が不要になる『例外』

籠が住戸内のみの昇降機

下記すべての条件を満たす小規模な建築物に設ける昇降機

  • 階数が2以下
  • 延べ面積が500㎡以下(特殊建築物の用途は200㎡以下)
  • 高さ16m以下

下記のすべての条件を満たす昇降機(所定の条件を満たす小荷物昇降機

  • かごの水平投影面積が1㎡以下
  • 天井の高さが1.2m以下
  • 物を運搬する昇降機
  • 昇降路の全ての出し入れ口の下端が 当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50㎝以上高いもの
あれ?でも、例外の昇降機に該当しても、表を見ると、昇降機の確認申請が不要なのって、『右下のケース』だけ?これってどんな場合なの?
いい質問ですね!簡単に言うと、例外に該当した『後付け』で設ける昇降機に限り、確認申請が不要になります!

つまり、建築物と一緒に昇降機を計画する場合は、例外に該当していても、確認申請が必要になります!

昇降機の申請が不要なパターン

建築物の工事完了建築物の検査済証取得後付けで『例外』に該当する昇降機の設置

もう一つの特徴としては、例外の昇降機を設置する場合は、昇降機の単独申請は出来ず、建築物の一緒に併願申請として出す必要があります。わざわざ昇降機の単独申請が必要になるケースは少ないかもしれないですが、念の為に覚えておきましょう。

昇降機の確認申請で『必要な書類』は?

昇降機の確認申請で『必要な書類』

確認申請書(昇降機)(第8号様式)

委任状

付近見取図

配置図

各階平面図

エレベーターの設計図書

  • エレベーターの仕様書
  • エレベーターの構造詳細図
  • エレベーターのかご、昇降 路及び機械室の断面図
  • エレベーター強度検証法に より検証した際の計算書
  • エレベーターの荷重を算定 した際の計算書
  • エレベーターの使用材料表
こちらは、規則に定められている一般的な図書です!

型式認定などを取得しているものを使う場合は、図書を一部省略することも可能です。こちらは、昇降機のメーカーさんが詳しいかと思いますので、個別で確認するようにしてください。

昇降機は設計者は『建築士』ではないといけないのか

昇降機の設計者は、建築士以外でもOK

理由は、建築士法です。建築士法により、所定以上の建築物を設計・工事監理する場合は、建築士の資格が必要と定められています。

建築士法3条

左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

昇降機は、建築物ではないので、これに該当しないということです!

建築基準法で『昇降機の確認申請』を確認する

最後に、昇降機の確認申請についての法文である、建築基準法87条の4建築基準法施行令146条1項を確認してみましょう!

建築基準法87条の4

政令で指定する昇降機その他の建築設備を第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物に設ける場合においては、同項(第八十七条第一項において準用する場合を含む。)の規定による確認又は第十八条第二項(第八十七条第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要する場合を除き、第六条(第三項、第五項及び第六項を除く。)、第六条の二(第三項を除く。)、第六条の四(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条から第七条の四まで、第七条の五(第六条の四第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条の六、第十八条(第五項から第十四項まで及び第四十一項を除く。)及び第八十九条から第九十条の三までの規定を準用する。この場合において、第六条第四項中「同項第一号又は第二号に係るものにあつてはその受理した日から三十五日以内に、同項第三号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に」とあるのは、「その受理した日から七日以内に」と読み替えるものとする。

建築基準法施行令146条1項

法第八十七条の四(法第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一 エレベーター(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三 法第十二条第三項の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎し尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
2 第七章の八の規定は、前項各号に掲げる建築設備について準用する。

まとめ

✔️昇降機は、原則として確認申請が必要。ただし、下記の例外の昇降機を後付け昇降機を設置する場合は、確認申請は不要となる

籠が住戸内のみの昇降機

下記すべての条件を満たす小規模な建築物に設ける昇降機

  • 階数が2以下
  • 延べ面積が500㎡以下(特殊建築物の用途は200㎡以下)
  • 高さ16m以下

下記のすべての条件を満たす昇降機(所定の条件を満たす小荷物昇降機

  • かごの水平投影面積が1㎡以下
  • 天井の高さが1.2m以下
  • 物を運搬する昇降機
  • 昇降路の全ての出し入れ口の下端が 当該出し入れ口が設けられる室の床面よりも50㎝以上高いもの

✔️昇降機の設計は、建築士以外が行うことも可能

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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