居室とは?|建築基準法上の『定義』と『規制内容』について

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

居室かどうかの判断基準は「室名」ではなく「継続的に使用するかどうか(使い方)」。継続利用すると判断されれば居室扱いになり、採光・換気・排煙といった「無窓検討」や「避難規定」など、建築基準法上の厳しい規制が一気にかかってくる。

この記事でわかること

  • 居室と非居室の明確な違いと定義
  • 使い方で判断が分かれる室(更衣室など)の考え方
  • 迷いやすい室(住宅の台所や浴室)の具体的な判断基準
  • 居室扱いになった場合に追加される厳しい法規制(採光・換気・排煙・避難)
そぞろ

採建築基準法は居室か非居室かによって大きく規制内容が異なります!
しっかり確認するようにしましょう!

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『居室』とは?

居室とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

建築基準法では、以上のように居室の定義が示されています。しかし、建築基準法には『非居室』の定義はありません。違いを簡潔にまとめると、

居室居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
非居室居室以外の室(継続的に使用しない室)

簡単に言うと
継続利用する室は『居室』
それ以外の室は『非居室』

居室の具体例とは?

居室とは、下記のような室のこと

  • 住宅のリビング、ダイニング、寝室、書斎、応接室
  • 事務所の事務室、会議室、守衛室
  • 病院の病室、待合室、診察室
  • 飲食店の客席、厨房
  • 物販店舗の売り場、休憩室
  • 工場の作業場
  • ホテルのロビー
  • 病院等の待合室、X線室、暗室(小規模なものを除く)
  • 公衆浴場

基本的に、継続利用と判断できる室ばかりですね!

非居室の具体例とは?

非居室とは、下記のような室のこと

  • 納戸
  • トイレ
  • 浴室
  • 廊下
  • 倉庫
  • 更衣室
  • 機械室
  • 車庫
  • 玄関ホール

一方、非居室は継続利用が無さそうな室が並びましたね!

居室か非居室かは室名だけでは決められない

居室か非居室かの判断は使い方による。したがって、室名では決められない
継続利用があるかどうか、個別判断をする必要がある

例えば、『更衣室』や『浴室』は使い方によっては居室扱いになります。それは、継続利用があるかどうか設計者が判断する事が多いです。

継続利用するかどうか、どのように判断するか、まだぴんと来ない方も多いはず。

例として、『更衣室という室名が居室かどうか』を考えてみましょう。


小さな工場に併設されている更衣室で、利用時間は着替えのみで短いので、非居室と考える

これだったら『非居室』でも良さそうですよね。

なぜなら、法文上の『継続的に利用する室』とは言えないからです。


スポーツクラブに併設されている更衣室で、常時不特定の人が着替えているけど室名が『更衣室』だから非居室として考える

これだったらどうですか?

常時人が出入りをして、『継続的に利用する室』に合致してしまうので、『居室』として扱った方が良さそうですよね。

このように、使い方によって居室なのか非居室なのかというのは分かれるので、『この室名なら非居室だな!』という事にはなりません。あくまでも利用方法で『継続的に利用するかどうか』で判断すべきです。

居室かどうか迷う室の判断

さて、『継続的に利用するかどうか』を少し迷う室について考えてみましょう。

住宅の台所

住宅の台所は基本的には『非居室』として扱われます。ただし、広さ4.5帖以上の台所は居室として取り扱いをすべき

どうしてそんな具体的な数値で言ってるの?根拠はあるの?

建築基準法ではありませんが、根拠があります。

根拠は『S59の全国建築行政連絡会議の取扱い』より

住宅の台所においては次に該当するものは、居室として扱わないことができる

①調理のみに使用し、食事等の用を供しない(形態的に十分それが予測される。)

②床面積が小さく(おおむね3〜4.5帖程度)、他の部分と間仕切等で明確に区画されていること

『S59の全国建築行政連絡会議の取扱い』より

よって、4.5帖を超える台所は基本的には居室として取り扱った方が良さそうです。

浴室

まず、何の用途の浴室なのか?というのが大事です。

一般的に住宅の浴室は『非居室』として取り扱っても問題ありません。

他に考えられる浴室で、病院の浴室は『居室』になる事が多いです。病院だと、患者さんが順番に利用する事もあるので『継続的な利用』となったり寝たきりの方が浴室を利用する場合など、やはり健常者よりは長時間の利用が想定されるので『居室』として扱うべきとされる場合もあります。

このあたりは、利用方法を元に申請先に事前に確認をした方がいいと思います。

居室になると、建築基準法上どんな規制がかかるか?

居室になった場合、『無窓検討(採光・換気・排煙)』と『避難規定』の規制内容が追加になる

建築基準法では、非居室よりも居室の方が圧倒的に規制が厳しいです。全ては紹介できませんが、大まかな内容を紹介します。

無窓検討(採光・換気・排煙)が必要になる

居室には、原則として、窓が必要になる

居室には、採光、換気、排煙で有効となる窓が必要です。窓を作らずに居室を設ける事はかなり難しいです。

詳しくは、当サイトで詳しく解説しているので、確認してみてください。

避難規定の規制内容が追加になる

居室が増えると、避難規定が厳しくなる

これは想像がしやすいと思いますが、居室があるという事は、人が多くいる可能性があります。だから、非居室よりも、居室の方が圧倒的に規制が厳しいです。

避難規定とは、建築基準法第35条の事です。施行令で言うと、建築基準法施行令第116条の2〜128条の3の事です。

当サイトでも一部規定を解説しているので是非合わせて確認してみてください。

節概要政令
第1節総則・令116条の2(窓その他の開口部を有しない居室等)
第2節廊下、避難階段及び出入口・令117条(適用の範囲)
・令118条(客席からの出口の戸)
・令119条(廊下の幅)
・令120条(直通階段の設置)
・令121条(2以上の直通階段を設ける場合)
・令121条の2(屋外階段の構造)
・令122条(避難階段の設置)
・令123条(避難階段及び特別避難階段の構造)
・令123条の2(共同住宅の住戸の床面積の算定等)
・令124条(物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅)
・令125条(屋外への出口)
・令125条の2(屋外への出口等の施錠装置の構造等)
・令126条(屋上広場等)
第3節排煙設備・令126条の2(排煙設備の設置が必要な建築物)
・第126条の3(排煙設備の構造)
第4節非常用の照明装置・令126条の4(非常用照明装置の設置が必要な建築物)
・令126条の5(非常用照明装置の構造)
第5節非常用の進入口・令126条の6(非常用進入口の設置が必要な建築物)
・令126条の7(非常用進入口の構造)
第6節敷地内の避難上及び消火上必要な通路等・令127条(適用の範囲)
・令128条(敷地内の通路)
・令128条の2(大規模な木造等の建築物の敷地内における通路)
・令128条の3(地下街)
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まとめ

  • 居室か非居室かは「室名」ではなく「継続利用の有無(実際の使い方)」で決まる
  • 住宅の台所は4.5帖を超えるとおおむね居室として扱われるなど、独自の基準もある
  • 病院の浴室やスポーツクラブの更衣室など、用途によっては非居室と思われがちな室も居室扱いになる
  • 居室と判定されると「無窓検討(採光・換気・排煙)」や「避難規定」の厳しい制限が追加される
  • 迷った場合は設計者の判断基準を明確にした上で、事前に申請先へ相談するのが確実

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。