非常用照明の設置基準と検討方法についてまとめた

建築基準法。

非常用照明、そんな身構えなくても大丈夫な法文ですよ!

今回は『非常用照明の設置基準』についての記事です。

 

私の非常用照明の印象は『ハードルが低い』ですね。

ハードルが低いって、どういう事??

そんな表現している理由は、2つの意味があります。

 

1つ目は、設置基準のハードルが低いです。

つまり、非常用照明が必要にな事が結構多いという事。

記事を読んでいただくとわかるのですが、様々な建築物で非常用照明が必要になります。

 

2つ目は、適合させるハードルが低いです。

と、いうのも法文がわかりやすいので、法適合の検討が難しくありません。

非常用照明の『ひ』の字がわからない方でも、こんな短い記事を読むだけで大体の内容が理解できるレベルです。

同じ避難規定の排煙設備、代替進入口とは大違いです。

 

さて、そんなハードルが低い非常用照明について、今回は基本になる設置基準とその検討方法を解説していきます。

 

非常用照明が必要な『建築物の部分』は?

さて、まず非常用照明の設置は『建築物の部分』であるという事を頭に入れてください。

『建築物全体』ではありません。『建築物の部分』です。

 

では、非常用照明が必要な『建築物の部分』を見てみましょう。

 

〈非常用照明が必要な建築物の部分〉

法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室 その避難経路(廊下、階段)
階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物の居室
第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室
延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室
居室+避難経路 非常用照明の設置が必要です

このように、基本的には居室ですが、その避難経路も設置が必要なります。

どうして居室だけじゃなくて避難経路も必要なの?

だって、何かあって停電したときに、居室だけではなく避難経路も明るくして避難できるようにしなくちゃいけないでしょ?

法の趣旨を考えると、どうして非常用照明が必要なのか?というのはわかりやすいです。

非常用照明なんて名前が付いてるくらいだから、非常時にも使える照明ってことですよね。

人がいる居室はもちろん、その避難経路も照明が点いてないと、避難なんかできないですよね?

だから、居室だけでなく、避難経路も非常用照明が必要なんです。

 

設置基準のハードルが低いって言ってたけどどの辺が?

それは、『法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室の部分です。

 

注目していただきたいのですが、この文章から『面積の記載』がありません。

つまり、この『法別表第一(い)欄(一)項から(四)項の用途』の建築物の部分は面積関係なく非常用照明が必要です。

飲食店、保育園、物販店舗

こんな用途は面積に関係なく、非常用照明の設置が必要になります。

よって設置基準のハードルが緩いんです。

 

法文でも確認してみる

 

建築基準法施行令第126条の4 非常用の照明装置の設置
法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室階数が3以上で延べ面積が500m2を超える建築物の居室第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000m2を超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。  

 

 

 

非常用照明の構造(求められる性能)は?

〈非常用照明の構造〉
①照明は直接照明とし、床面において1xl以上の照度が確保可能
②火災時に温度の上昇があっても、光度が低下しずらい
③予備電源を設ける
④大臣が定めた構造とする

または

国土交通大臣の認定品

ここで、設計で一番よく検討しなければならないのが、

①の床面において1xl以上

という部分です。

 

非常用照明の天井の取り付け高さによって、床面の照度を確保する事ができる照度が範囲が変わる、というのはイメージ付きますよね?

例えば、高い天井に照明を設置しても床面までは光は届かないでしょうし、低い位置にしたら、今度は広い範囲に届かなくなります。

その範囲を製品のカタログなどを確認して、検討する必要があります。

 

法文でも確認してみる

 

建築基準法施行令第126条の4 非常用の照明装置の構造
前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。

 次に定める構造とすること。

 照明は、直接照明とし、床面において1lx以上の照度を確保することができるものとすること。

 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。

 予備電源を設けること。

 イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。

 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において1lx以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。

 

 

 

 

非常用照明が設置必要な範囲は?

さっき、必要になるとは『建築物の部分』とお伝えしました。

それは、『居室』『その避難経路』でしたよね。

 

そして、非常用照明の構造より、『床面1xl以上確保できる範囲』を検討するべきと言いました。

さて、その1xl照らすべき範囲とはどこになるでしょうか?

 

それは、『居室』と『避難経路』の室と判断できる全範囲です。

これは、具体例を見た方がわかりやすいので、確認してみましょう。

 

実際に検討してみる

さて、では実際に非常用照明の検討をしてみましょう。

手順は大きく2つです。

手順①非常用照明が必要な『建築物の部分』を確認する

では、非常用照明が必要な建築物の部分を確認してみましょう。

今回は『保育園』の用途で考えてみましょう。

保育園は別表(2)項なので、『居室』と『避難経路』に非常用照明の設置が必要になります。

 

以下のピンク部分です。

 

手順②必要な建築物の部分に隙間無く1xlの照度の円を書く

非常用照明の製品カタログには、1xlを照らせる半径が確認できるものがあると思います。

そちらを確認して、『室』をすべて隙間無く埋めるように、非常用照明の設置をするだけです。

 

例としては、以下のような感じ。

 

これだけです。難しくありませんよね?

だから、非常用照明の検討はハードルが低いんです。

 

さらに、非常用照明には様々な緩和がある

非常用照明には緩和の種類が多いです。

そして、非常に使いやすい。

 

本当に優しい条文です。(笑)

そちらは以下の記事でまとめているので参考にしてください。

 

まとめ:小さな建築物でも設置が必要になる可能性がある

非常用照明のハードルが低い2つの理由を説明しました。

 

特に、非常用照明の設置基準はよく確認をするようにしてください。

とくに、木造2階建の木造建築物が見落としがちです。(確認の特例が使える4号建築物)

用途が一戸建て住宅などでは、非常用照明の設置は不要ですが、特殊建築物(別表第1〜4)だと、面積に関係なく、設置が必要になります。

 

うっかり見落とさないように、一戸建て住宅以外の用途を計画する時

『非常用照明大丈夫かな?』

とアンテナをよく貼っておいた方がいいかもしれませんね。

 

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