がけ条例がかからない2m以内の高低差でも法第19条は確認が必要

建築基準法。

 

建築基準法第19条ってすごい条文なんですよ。

何がすごいって基準が曖昧で。

高低差が2mを超えたら、がけ条例がかかる(建築地によっては3mのところもありますが)

これは、設計者さんがしっかり意識できている内容だと思います。

 

では、2m以内の高低差ってどうなると思いますか?

(例えば、1.9mの高低差とか)

 

がけ条例はかかりませんが、建築基準法第19条の適合は必要です。

 

そして、この建築基準法第19条はすごい条文なんです。

なにがすごいって法文の内容がめちゃくちゃ曖昧なんです。

 

それならまだ崖条例の方がはっきりしていていいかもしれません。

基準がガチガチに決まっているのでこちらも何が適合しているか、どう対応したらいいのかはっきりしていますからね。

 

法第19条と言われてもピンとこない方も、いると思います。

敷地の安全性を守る大事な条文なのですが、基準が曖昧で様々な捉え方ができてしまう設計者さんにとっては恐ろしい条文なんです。

 

今回はそんな法第19条についてどれくらい曖昧で厄介な条文なのか紹介していきます。

 

法第19条は法文も短く、曖昧で、いくらでも解釈を広げられる

まずは、法文を確認しましょう

【法第19条】 建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。

 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。

 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。

 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当措置を講じなければならない。

法第19条については4項以外はハッキリ言ってどうでもいいです!(と、いうかそんなに困りません他の内容については下水をちゃんと流してとか基本的に当たり前の話してしていません。)

これを読んでみて、非常に曖昧だと思いませんか?

 

内容としては、隣地や道路と高低差があるときはそれなりの擁壁を設けてくださいという非常にシンプルな条文となっております。

 

まず、がけ崩れ等の被害の定義ってなんですか?何メートルの高低差があること?

あと、擁壁の設置等の安全な措置って他に何があるんですか?擁壁って構造は何でもいいんですか?

 

このように、非常に曖昧です。

申請を受ける側がいくらでも解釈を広げることが出来ます。

 

では、例をあげましょう

困るのはこんなケースです。

条件としては1m程度のそこそこ高低差がありますが、土留めの構造はコンクリートブロックです。

1mの高低差分の土圧と建物の荷重を支える擁壁がコンクリートブロックというのは、絶対に安全とは言い切れませんよね。(建築地によりますが、崖条例は高低差が2mを超えていないのでかからないと考えます)

 

法第19条大丈夫ですか?という指摘が飛んできてもおかしくない状況です。それに対してどう対応しましょうか。

擁壁に建物の荷重をかけない為に建物に鋼管杭を打ちますか?深基礎しますか?

擁壁から建物を離しましょうか。

上記の対応で確かに崖条例は適合させる事ができます。

 

しかし、何度もお伝えしている通り、法第19条は基準が曖昧なので適合させる為に基準が設けられていません。

その擁壁がもう明らかに危険で設計者が安全を証明できない場合、既存コンクリートブロック擁壁を破壊して型枠ブロックに作り変えを指導される可能性もあります。

でも、実際は擁壁は隣地の敷地のものなので無理ですよね。

しかし、隣地だから知らんぷりできるという事でも無いのです。

その敷地の土圧を受けている土留めな訳ですから、敷地内だろうと、隣地だろうと関係無いのです。

 

どうしても既存擁壁を残したいなら設計者が安全確認して主張を

設計者さんが今から擁壁を新設するのであれば、擁壁はしっかりしたものを作ると思いますが、既存の擁壁についてはもうすでにあるのでよくわからない、というのはよくわかります。

壊してやり直してなんて簡単に言う事ができないのはわかります。でも危険なのは事実です。

 

結局、法第19条の落とし所はどうなるかというと、設計者が既存擁壁については安全性を確認したというこれまた曖昧なまま進めていく事が多いです。

 

良くも悪くも基準がないから、法文が曖昧すぎて絶対に駄目とは言えないんです。

よって、設計者さんが安全です!と宣言をしたり、証明をしたりできるのであれば、既存を残したまま進める事は可能だと思います。

 

でも既存擁壁が絶対安全というのは宣言、できますか?

もし、将来的にその擁壁が崩れて建築物が崩壊した時の責任は設計者になる可能性もあります。

それって設計者さんにとってもリスキーですよね。だから厄介な条文なのです。

 

ちなみに、擁壁の高さ2m超えると話は違ってきます

もう擁壁、2mってだけでピンと来ると思いますがこの規模は工作物確認申請対象です。

工作物の申請がされていない2m超の擁壁がある場合は必ず行政庁に取り扱いを確認しましょう。
と、言うのも本来だったら工作物申請が必要な擁壁を許可を取らないで勝手に作っちゃったんじゃないですか?という手続き違反の疑義が出てくるので。
その擁壁が隣地にあるんだったらまだいいですが、敷地内にある場合は最悪本当にやり変えの可能性が出てきます。(あんまりそこまでの話は無いとは思うのですが)

法第19条の取り扱いは行政庁によっては定めている事も

大体の行政庁は設計者が安全を確認するのであればしょうがないと言うところがありますが、厳しいところだと、既存の擁壁が安全である計算書を出せとか、宅地造成区域の擁壁を基準に適合している事が確認できる資料を出せとか、そういった内容を指摘している行政庁もあると聞きます。

厳しいところだと、コンクリートブロック3段の擁壁で指導が飛んでくる事があります。

もし、確実に進めたいのであれば行政庁に確認して進めましょう。

 

まとめ:既存擁壁については設計者で安全確認すべし

まぁ、何が言いたいかというと、法第19条が曖昧すぎて本当に困るって話です。

意識しだすと結構怖い条文です。

基準が曖昧というのはある程度設計者の主張通りになりますが、設計者の責任が重いと言えるでしょう。

可能であればしっかり現場で擁壁の安全性を確認しておきたいですね。(難しいのは、わかるのですが)

 

その一、法第19条は敷地の安全性についての条文。高低差処理方法についての条文だか内容が曖昧
その二、行政庁で独自の取り扱いを出している事もある
その三、曖昧だからこそ設計者の主張が通りやすい
その四、擁壁の2mを超えは工作物対象、残すときは必ず行政庁に取り扱いをして確認を
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