単体規定

異種用途区画の緩和について【2020.4.1施行】

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今回は『異種用途区画の緩和』についての記事です。

 

今回、2020.4.1に建築基準法の改正があり、『異種用途区画の緩和』が追加になりました。

今回はそちらの内容を解説していきたいと思います。改正の内容を解説する為に、色々な法文の確認が必要なので、サクサク進めていきます!

異種用途区画についての基本的な内容を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください!

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

法改正で追加になった内容について

法文で確認してみる

 

改正前 施行令第112条
  (省略)

17   建築物の一部が法第二十七条第一項各号、第二項各号又は第三項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを一時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。

⬇︎

改正後 施行令第112条
 

(省略)

18  建築物の一部が法第27条第1項各号、第2項各号又は第3 項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。

 

法文の内容としては、要は国土交通大臣の定める基準、つまり、告示に適合させなければならないという事ですね。

 

告示の内容について

 

国土交通省告示第250号 警報設備を設けることその他これに準ずる措置の基準を定める件
第一 この告示は建築基準法第27条第一項各号、第二項各号又は第三号各号のいずれかに該当する建築物の部分(以下、「特定用途部分」という。)を次に掲げる用途に供する場合であって、特定用途部分と特定用途部分に接する部分(特定用途部分の在する階にあるものを除く)とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画し、かつ、特定用途部分に接する部分 (特定用途部分の在する階にあるものに限る。第二において同じ。)を法別表第一(い)欄(一)号に掲げる用途又は病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)若しくは児童福祉施設等(建築基準法施行令(以下「令」という。第115条の3第一号に規定するものをいう。以下同じ。)(通所のみにより利用されるものを除く)の用途に供しない場合について適用する。

一 ホテル

二 旅館

三 児童福祉施設等(通所のみにより利用されるものに限る。)

四 飲食店

五 物品販売業を営む店舗

 

第二 令第112条第18項ただし書きに規定する警報装置を設けることその他これに準ずる措置の基準は、特定用途部分及び特定用途部分に接する部分に第110条の5に規定する構造方法を用いる警報設備(自動火災報知器に限る。)を同条に規定する設置方法により設けることとする。

 

この告示、読み解けば緩和の内容確認が出来るので詳しく説明します。

この告示より、緩和する為には4つの条件があります。(記載がある部分、色分けします。

 

異種用途区画を緩和する為の4つの条件

条件①異種用途区画が発生する原因が、特定の用途である事

先程の告示の赤文字部分です。

異種用途区画は『建築物の一部が法第27条第1項各号、第2項各号又は第3 項各号のいずれかに該当する場合において』発生します。これを「異種用途区画が発生する原因』としましょう。

この異種用途区画は発生する原因が、告示の各号に掲げる用途じゃないとそもそも緩和が使えません。

異種用途区画の原因が以下の場合

一 ホテル

二 旅館

三 児童福祉施設等(通所のみにより利用されるものに限る。)

四 飲食店

五 物品販売業を営む店舗

つまり、共同住宅3階建だと法第27条第1項に該当するので異種用途区画が必要だと思いますが、これは緩和は使えないという事です。なぜなら、先程ご紹介した用途に共同住宅は含まれていないからです。

だから、まずは異種用途区画が発生する原因が各号に該当するかどうかを確認しましょう。

 

条件②床部分は必ず区画する事(緩和できるのは同一階の部分のみ)

先程の告示の青文字部分です。(ここが一番読みにくい)

異種用途区画の緩和は、同じ階同士は使えますが、階数が異なる部分は今まで通り区画しなければいけません。つまり、緩和が使えません。

つまり、図のような区画は必ず必要という事です。

 

条件③隣接する部分は一部用途を設けない事

先程の告示の緑文字部分です。

要は、以下の用途が隣接している場合は異種用途区画の緩和は受ける事が出来ないという事です。

隣接する部分に設ける事が出来ない用途

①法別表第一(い)欄(一)号に掲げる用途

②病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)

③児童福祉施設(建築基準法施行令(以下「令」という。第115条の3第一号に規定するものをいう。以下同じ。)(通所のみにより利用されるものを除く)

 

条件④警報設備(自動火災報知器)を両者の用途どちらにも設ける事

先程の告示のオレンジ文字の部分です。

異種用途区画を緩和する為には『警報設備(自動火災報知器)』は必要です。

警報装置の詳細については『令110条の5』に規定するものとあり、その中でも自動火災報知器に限るとあるので、読み進めると、おそらく『告示198号第一号』でなければならないと思います。(そちらの基準はお手元の法令集で確認ください)

又、設置は以下のように両者どちらも必要なので注意が必要です。

 

まとめ:異種用途区画の緩和は特定の用途に対しては使いやすい

意外と制限があり、用途によっては使いやすいのかな?という印象です。

告示の方は少し読みにくいですが、法令集が発売されたらしっかり確認しましょう。

最後にまとめると、

異種用途区画を緩和する4つの条件

条件①異種用途区画が発生する原因が、特定の用途である事

条件②床部分は必ず区画する事(緩和できるのは同一階の部分のみ)

条件③隣接する部分には一部用途は設けない事

条件④警報設備(自動火災報知器)を両者の用途どちらにも設ける事

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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