確認済証が交付された後に、プランが変更になった経験はありませんか?もし変更になった場合、変更手続きを行わなければなりません。
変更手続きには『計画変更』と『軽微な変更』の2つがあります。
計画変更の場合、確認申請と同じ手順で申請をしなくてはなりません。一方、軽微な変更は検査申請時に変更図面を添付するだけで手続きが完了します。費用や時間は、圧倒的に計画変更の方がかかるでしょう。したがって、計画変更と軽微な変更のどちらの手続きが必要になるかは、出来るだけ早い段階で、慎重に確認したいところですよね。
そこで、今回はその判別方法について解説します。
ポイントは、『変更の入り口はどこか?』です。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
実例で解説!こんな事ありませんか?
現実にありそうな事例で紹介します。
例えば、変更内容が『構造上主要ではない間仕切壁の変更』だったとしましょう。
そこで、確認していただきたい法文は『規則第3条の2』です。こちらの法文には、軽微な変更の内容が書かれています。今回の事例が軽微な変更に該当するか確認してみましょう。
規則第3条の2 計画の変更に係る確認を要しない軽微な変更 第6条第1項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の国土交通省令で定める軽微な変更は、次に掲げる ものであって、変更後も建築物の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものとする。
(省略)
十 構造耐力上主要な部分以外の部分であって、屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分、広 告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるもの若しくは当該取り付け部分、壁又は手すり若しくは手すり壁の材料若し くは構造の変更(次号の表の左欄に掲げる材料又は構造を変更する場合にあっては、同表の右欄に掲げる材料又は構造と する変更に限る。)又は位置の変更(間仕切壁にあっては主要構造部であるもの及び防火上主要なものを除く。)
規則第3条の2第十号により、『構造上主要ではない間仕切壁の変更』は、原則として、『軽微な変更』になります。したがって、計画変更の申請をする必要は無く、軽微な変更の書類を検査申請時に提出すれば良さそうですね。
間仕切壁の変更をすると、それに伴って色んな変更が出てこない?
例えば、間仕切壁を変更すると、居室の床面積が増えて、無窓の検討が不利になったりするでしょ?
それでも軽微な変更でいいの?
確かに、『構造上主要ではない間仕切壁の変更』に伴って『居室の床面積が増えて、無窓の検討が厳しくなる』ということは明らかです。これでも軽微な変更になるのでしょうか?
結論は、『軽微な変更』になります。
何故なら、入り口が軽微な変更であればそれに伴っての内容も適合が明らかであれば軽微でokだからです。
その根拠は?
根拠は、国土交通省から出ている『軽微な追加説明書の明確化について』という文章です。
計画の変更が同項各号の一に該当するが、当該変更及び当該変更に伴い付随的に生じる変更が他の号に該当しない場合であっても、変更後の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものであれば、「軽微な変更」の対象となる。
国土交通省:軽微な追加説明書の明確化について より
国土交通省の文章によると、規則第3条の2に該当する変更内容に伴う変更は、法適合が明らかな範囲であれば、規則第3条の2に記載がなくとも、軽微な変更として認められることになっています。
その他、国土交通省は軽微な変更に該当する具体例について取り上げています。そちらを読むと、より理解で深まると思うので確認してみてください。
まとめ:軽微な変更で対応していいかどうかは申請先に確認を
いかがでしたか?
基本的には、軽微な変更かどうかの判断は規則第3条の2のどれに当てはまるかな?と考える事がスタートです。
規則第3条の2に該当していないと、そもそも軽微な変更にする事ができません。安易に、これは明らか適合だから軽微な変更でいけそう、と自己判断してはいけません。
そして、『規則第3条の2』に合致する変更内容に伴う変更は、法適合が明らかな範囲であれば、規則第3条の2に記載がなくとも、軽微な変更として認められることになっています。
そうは言っても、法適合が明らかという表現も抽象的ですよね。そうなると念の為に申請先に確認をして進めた方が良さそうです。
最後までありがとうございました!