建築基準法

耐火構造とは?用語の定義について【建築基準法第2条第七号】

防火上の観点から、壁、床、屋根などが火熱により破壊して、延焼しないように、避難経路が絶たれたりしないように耐火上の措置を講ずる事が必要です。そういった対策の為、耐火性能を持った部分が『耐火構造』です。

もう少し、実務向きに言うと、耐火構造とは耐火建築物にする為の要件の一つになっています。

なぜなら、耐火建築物にする為には、『耐火建築物』にする為には、主要構造部耐火構造にしなければならないから。

今回は、そんな耐火構造にする条件について確認してみましょう。

 

耐火建築物耐火構造の関係性がよくわからない方は、以下の記事も読んでみてください。

書いている人
そぞろ

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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

まずは法文を確認する

 

建築基準法第2条第1項第七号 耐火構造

壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

 

耐火構造にする為の二つの方法

法文を読み解いてみると、耐火構造にする方法は2つに分かれています。

耐火構造にする方法2つ

政令第107条に適合する国土交通大臣が定めた構造方法にする(告示1359号)

政令第107条に適合する国土交通大臣の認定を受けたものする

つまり、告示の構造方法にする 又は 認定品にする この2ついずれかしか耐火構造にする方法はありません。

 

政令第107条に適合するとは?

先程の2つの方法より、どちらも政令第107条に適合させなければならないとなっています。この中に見逃せない事項が1つだけあります。

それは、耐火構造階数によって、求められている耐火性能の時間が決まっているという事です。

耐火性能の時間ってどういう事?時間なんてあるの?

あります!

この時間は『構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない時間』で、下階ほどその時間が長いです。要は、下階の方が防火性能的に強くしなさいって言うのが法文に書いてあるの。

それは、火災の避難時の事を想像するとわかりやすい!

さて、この耐火構造は下階の方が燃えにくい構造にせよ、というのが令107条に記載があります。

最上階及び最上 階から数えた階 数が 2 以 上 で 4 以内の階 最上階から数え た階数が 5 以上 で 14 以内の階 最上階から数え た階数が 15 以 上の階
1時間 2時間 2時間
1時間 2時間 3時間
1時間 2時間 2時間
はり 1時間 2時間 3時間
屋根 30分 30分 30分
階段 30分 30分 30分

 

さて、ここで何故下階の方が時間が長いのかを考えてみましょう。

皆さん、火災が起こった時はどうやって避難しますか?

1階まで階段やエレベーターで降りて、そこから避難すると思います。つまり、下階に向かって避難をしますよね。下階が燃え尽きてしまっていたら、そもそも避難ができません。

また、構造的にも、下階の構造体燃え尽きてしまったら、そもそも建物の崩壊をする可能性があります。

避難的にも、構造的にも、下階は強くしなくてはいけません。だから、下階に行くほど火災に対して強くするんです。

 

国土交通大臣が定めた構造方法にする

では、具体的にどういった方法で耐火構造にできるか確認します。

まずは、『国土交通大臣が定めた構造方法にするこちらについて確認します。

構造方法については、『告1359号』に記載があります。そちらについてはまた別で記事を作成したいと思います。

 

国土交通大臣の認定を受けたものする

次は、認定品についてです。

国土交通省大臣の認定品を使う場合ですが、今回の記事では、どの番号の認定品が使えるのかを紹介します。

認定の読み方は以下の通り。必ず頭に『FP』が付いたものにしなければなりません。

まとめ

◆耐火構造とは、耐火性能を有する構造のこと

◆耐火構造にする2つの方法

  ①政令第107条に適合する国土交通大臣が定めた構造方法にする(告示1359号)

  ②政令第107条に適合する国土交通大臣の認定を受けたものする

◆令107条より、下階の方が耐火性能を強くする必要がある。

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このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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