【2026年最新版】採光計算とは?|採光補正係数の計算方法、図解でわかりやすく解説

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

採光計算は、単に『窓の大きさ』を決めるだけでなく、建築基準法の3つの異なる条文(28条・35条・35条の3)が複雑に絡み合う重要規定です。計算がNGになると、避難設備や内装制限など計画全体に大きな修正を迫られるため、序盤での正確な判定が必要です

この記事でわかること

  • 用途や条文ごとに異なる『採光有効面積の割合(1/5〜1/20)』の判断基準
  • 採光補正係数を算出するための『D(水平距離)』と『H(垂直距離)』の正確な測り方
  • 道路、公園、天窓、縁側など、実務で直面する『7つの特殊パターン』の計算方法
  • 計算がNGになった場合の救済策(2室1室の検討や告示303号の活用)
そぞろ

採光計算は、簡単なように見えて、めちゃくちゃ複雑です!
でも、この記事で基本的な内容から、特殊な事例と注意点を解説しています!
みなさんの実務にお役に立ちますように。

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採光計算の計算式とは

下記の式を確認すること

居室の床面積×割合(表1)<窓の開口面積×採光補正係数(表2)

▼割合(表1)
法文建築物の居室割合
法28条 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の教室、保育園の保育室1/5
住宅の居住のための居室1/7
病院・診療所の病室、寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室、児童福祉施設等の寝室(入所する者の使用するものに限る。)、児童福祉施設等(保育所を除く。)の居室のうちこれらに入所し、又は通う者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与その他これらに類する目的のために使用されるもの1/7
上記以外の学校の教室、病院・診療所・児童福祉施設等の居室のうち、入院患者・入所者の談話、娯楽等の目的のために使用されるもの1/10
法35条
法35条の3
上記以外の居室1/20
採光補正係数(表2)
用途地域算定式
住居系D/H×6-1.4
工業系D/H×8-1
商業系・無指定系D/H×10-1
(天窓の場合×3、縁側の場合×0.7)

※ただし、MAXは3倍とし、マイナスになるものは0倍となる

D(水平距離):隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物、もしくは当該敷地の他の建築物までの距離
H(垂直距離):開口部の直上にある建築物の部分までの距離

一気に書いちゃいましたけど、
とりあえず、ちょっと3つのステップに分けて確認してみましょう!

STEP
『居室の床面積』を算定する

まずは、簡単なところから、床面積を算定しましょう。

STEP
居室の種類から、乗ずる『割合』を確認する

基本的には、『1/20』でOKです!ただし、住宅・学校・病院・福祉施設等の居室については、『1/5~1/10』になる可能性があります

STEP
『採光補正係数』を算定する

DとHを求め、採光補正係数を求めましょう。判断に迷うケースについては、後述していきます。

計算式だけ見ると難しく感じるかもしれませんが、この手順で確認すると、混乱せずに計算できると思います。

ポイント①建築基準法で採光計算が登場する法文は3つ

採光計算が必要になる法文は3つもある。だから、居室の床面積に乗じる割合が異なる

採光が取れる窓を確保しなければならない理由は色々あります。

例えば、人の健康の為。自然採光は人体に影響を与えるとされており、住宅などの用途では自然採光確保が必須とされています。(法第28条)

他には、災害時の避難の為。採光が取れない居室は、災害時の避難上、不利になる事があるので採光の確保が求められている場合もあります。(法第35条の3)

役割が違う以上、求められている窓の大きさも異なります。

後述しますが…3つの法文が絡むからこそ、
採光計算がNGになった場合、それだけ色々な規定が絡んでくるので厄介です!

正直に言うと、採光計算がNGになると結構大変です。なぜなら、法文が3つも絡むから。これは、採光無窓だけでなく換気無窓・排煙無窓の場合も同じことが言えます。無窓居室については、下記の記事で解説しています。

ポイント②採光計算が必要な室は『居室』のみ

採光計算が必要になるのは、あくまでも居室のみ(非居室は不要)

採光計算は、居室のみに必要なものです。だから、納戸やトイレなどの非居室の検討は不要です。

ポイント③採光が確保できないとどうなるの?

割合が『1/5から1/10』で計算した居室は、採光計算NGでは計画が出来ません

一方、割合が『1/20』で計算した居室は、計画はできますが、追加で適用される規制があります

詳しくは、下記の表で確認をしてください。

スクロールできます
検討が必要な居室必要採光面積検討方法規制内容
法28条1項住宅・学校・病院・診療所・寄宿舎等の居室居室面積×1/5〜1/10
(用途によって異なる)
開口部×採光補正係数絶対に適合が必要
法35条全ての居室居室面積×1/20開口部×採光補正係数直通階段
屋外階段
手すり高さ
敷地内通路
非常用の照明装置
法35条の3全ての居室居室面積×1/20開口部×採光補正係数
(避難上有効な開口部を設けるでも可)
居室を区画する主要構造部を耐火構造又は不燃材料とする

え!めっちゃたくさんの規制がかかるんだね!

このあたり、本当に複雑なんですよね…

すでにお伝えしたとおり、採光計算は3つの法文が絡むので本当に複雑です。詳しい内容は、下記の記事でわかりやすく解説しています。

採光補正係数の求め方

採光補正係数の求め方は、採光計算の最難関

でも安心してください!これから採光補正係数の求め方を丁寧に解説していきます!

採光補正係数の式を再度確認しましょう。

用途地域算定式
住居系D/H×6-1.4
工業系D/H×8-1
商業系・無指定系D/H×10-1
(天窓の場合×3、縁側の場合×0.7)

※ただし、MAXは3倍とし、マイナスになるものは0倍となる

にある通り、どんなに大きな数値が出てきたとしても、MAXは3倍です。それ以上の確保はできないのでご注意ください。

算定式の中に『D』と『H』が登場します。少し説明をしておくと

D:水平距離

隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物、もしくは当該敷地の他の建築物までの距離

H:垂直距離

開口部の直上にある建築物の部分までの距離

ただ、実務上だと、このDとHの取り方が結構悩ましいことが多いです。そこで、全7パターンに分けて、詳しく解説していきます。

その①開口部の直上に複数の遮るものがある場合

開口部の直上に複数の遮るものがある場合、『D1/H1』と『D2/H2』どちらも計算し、小さい方の採光補正係数を採用します

だから、上部にバルコニーや庇が複数ある場合は全ての建築物の部分で検討を行い、一番厳しいポイントで採光計算を行ってください。

その②開口部が道路に面する場合

開口部が道路に面する場合、道路の反対側の境界線を『隣地境界線』とみなしてDを算定します

道路に面する開口部は、Dの距離がかなり伸びるので、相当有利になります。

その③開口部が公園、広場、川等に面する場合

開口部が公園、広場、川等に面する場合、幅の1/2だけ隣地境界線の外側とみなしてDを算定します。

公園、広場、川等に面する場合も、幅1/2までは隣地境界線としてみなせるので、かなり有利になります。

その④隣地境界線が斜めになっている場合

隣地境界線が斜めになっている場合、開口部の中心からの垂直距離をDとして算定する

隣地境界線と窓が、並行になっていることの方が珍しいかもしれません。基本的には、少し斜めになっているはず。その場合には、開口部の中心から垂直距離でDを算定します。

その⑤隣地境界線が凸凹になっている場合

隣地境界線が凸凹になっている場合、基本的には最短aで算定する。ただし、採光補正係数が確保出来ない場合は①を無いものとし、②を開口部として水平距離bを用いて算定する

あまりないかもしれませんが、隣地境界線が凸凹になっている場合には、基本的には不利側のaで算定します。ただし、それでは確保できない場合、救済措置として、②の開口部のみでbで算定もできます。

その⑥縁側がある場合

縁側がある場合、採光補正係数を計算した上で、幅90㎝以上の縁側の場合はさらに×0.7として算定を行う

奥まっている縁側の場合、採光補正係数の低減する必要があります。ポイントとしては、まずは普通に採光補正係数を計算した後に、×0.7をする必要があるということです。つまり、住居系の用途地域なら、(D/H×6-1.4)×0.7といった形です。

その⑦天窓の場合

天窓の場合、採光補正係数を計算した上で、さらに×3として算定を行う

聞いたことある!天窓だったら、採光補正係数が無条件で『3』になるんでしょ?

いえ!天窓にしても、採光補正係数が最大の『3』になるとは限りません!

え?そうなの?

天窓は、通常の採光補正係数を計算した数値を、3倍することができるだけです!もともとの採光補正係数が小さい場合、天窓でも3倍になりません!

天窓は、無条件で採光補正係数がMAXの『3』になる!と勘違いされがちです。しかし実際には、通常の窓として計算した数値を「3倍」にできるという規定です。例えば、通常の採光補正係数が『0.4』の窓を天窓にした場合、『0.4 × 3』で「1.2」になるだけなんです。

天窓の場合、採光補正係数が必ず3倍になるわけではありません!注意しましょう!

採光計算がNGになる場合の対策は?

採光計算がNGになる場合、下記の対応策がある

  • 2室1室の検討を行う
  • 住宅用途で、近隣商業地域・商業地域内の場合、告示303号を使う

採光計算がNGになってしまった場合でも、まだ諦めるには早いです。

万能ではありませんが、まだ対応策があるので、ご紹介していきます!

2室1室の検討を行う

2室1室とは、ふすまで仕切られた部屋を、採光計算上一体としてみられるというもの

結構有名な規定ですが、ふすまで仕切られた2室は、採光計算上は1室とみなして計算することができます。ふすまにする、という制限がありますが、奥まった部屋でも採光が確保できるようになります。

住宅用途で、近隣商業地域または商業地域内の場合、告示303号を使う

下記すべてを満たす場合、ふすまにしなくても、2室1室として検討可能

  • 住宅の用途であること
  • 近隣商業地域又は商業地域内であること
  • 下記の式を満たす関係であること
告示303号図解

2室1室はふすまとする必要があります。でも、ふすまの計画が難しいこともあるでしょう。その場合、ちょっとマニアックですが、告示303号に定める扱いを使うものありだと思います。

用途は住宅に限られ、使える用途地域も商業地域と近隣商業地域に限られますが、いざと言うときに使える取り扱いかもしれません。マニアックな規定で不安になる方もいるかもしれませんので、法文も引用しておきます。

根拠法文を確認する(クリックで展開)

建築物の開口部で採光に有効な部分の面積の算定方法で別に定めるものを定める件(告示303号)

近隣商業地域又は商業地域内の住宅の居室(長屋又は共同住宅にあっては、同一の住戸内の居室に限る。)で建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二十八条第一項に規定する居室の窓その他の開口部(以下単に「開口部」という。)を有する壁によって区画された二の居室について、いずれか一の居室の開口部ごとの面積に、それぞれ建築基準法施行令第二十条第一項の採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定した採光に有効な部分の面積が、当該二の居室の床面積の合計の七分の一以上である場合は、その他の居室については、当該壁の開口部で採光に有効な部分の面積は、当該開口部の面積とする。

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まとめ

採光計算は『床面積 × 割合 < 窓面積 × 補正係数』が基本の形。

D/Hの算定では、直上の庇だけでなくバルコニーが複数ある場合は最も厳しい数値を採用する。

隣地境界線が道路や公園の場合は、緩和措置を利用してDを大きく取ることができる。

どうしても数値が足りない時は、『ふすま等による2室1室』の検討が有力な突破口になる。

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

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