一般構造

【住宅採光】採光補正係数が確保できなくても居室を作る方法

住宅の計画、採光補正係数が取れないから納戸にしよう!

…なんて事せずに、合法的に居室を作ってみませんか?

さて、狭小地の一戸建て住宅の計画で採光補正係数が確保できない時にみなさんはどうしますか?

もう諦めて納戸にしてしまう!なんて方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、採光補正係数確保できなくても住宅に居室は作れますよ!

そんな事ある?そんなの可能だったら、みんな納戸なんかにしないでしょう?
それは、可能なんだけどそれなりに制限がかかるから

まぁ、採光補正係数とれない場合も居室は作れますが、工夫が必要です。

しかし、すべて法文で認められいる内容のでご安心を。

では早速いってみましょう!

 

採光の条文は建築基準法に3つあり、すべて適合させる必要がある

そもそも、採光についての法文は全部で3つあります。

そちらについては、過去に記事にしています。

こちらの記事の内容を要約すると、

採光には法第28条法第35条法第35条の3の3種類ある

そして、それぞれの規制内容を整理したものがこちら。

だから、今回テーマにあげている住宅の採光も3つの法文に適合させる事ができれば計画可能です。(表を確認すると、住宅の居室は3つ全ての適合が必要です)

 

法第28条の適合方法

おそらく、皆さんが採光の条文で、一番意識しているものではないでしょうか?

簡潔に言うと、『住宅の居室は床面積の1/7以上の採光を確保する』というもの。

これは、住宅は基本的に取らなきゃダメです。

じゃあ今回の住宅で採光補正係数が取れない場合どうするの?
実は、法文をよく読むと、住宅の中でもその他用途上やむを得ない居室については法第28条に適合させなくてもいい事になってるの!

ズバリ、法第28条を適合させるためには、この『その他用途上やむを得ない居室』に当てはめるしか手はありません。

 

では、『その他用途上やむを得ない居室』とはどんなものがあるでしょうか?

それは、建設省住指発第153号の通達に記載があります。(建設省住指発第153号へのリンクはこちら

〈その他用途上やむを得ない居室〉
住宅の音楽練習室、リスニングルーム等(遮音板を積み重ねた浮き床を設ける等遮音構造であること並びに当該住 宅の室数及び床面積を勘案し、付加的な居室であることが明らかなものに限る。)

つまり、

法第28条に適合させるためには、部屋の用途を音楽練習室orリスニングルームにする(その為に防音設備などが備えられた室とする)
ちなみに!念の為に注意していただきたいのですが、この場合『内装制限』が追加でかかる事になります。
根拠法文は、『令第128条の3の2第二号』です。居室と避難経路を準不燃材に必要があります。

 

法第35条の適合方法

法第35条については、もう無窓居室にして制限を素直に受けましょう!

なぜなら、住宅だったら、大した制限が出ないから。

 

法第35時の採光無窓居室になったときの規制は4項目です。

〈法第35時の採光無窓居室になったときの規制〉
◆直通階段の設置(施行令第120条)
◆屋外への出口(施行令第125条)
◆非常用照明の設置(施行第126条の4)
◆敷地内通路(施行令第128条)

4つもあるの!?と思いましたか?

でも、実は住宅の場合だとまともに規制がかかってくるのは『敷地内通路』のみです。

 

理由は以下の通りです。

◆直通階段の設置

(施行令第120条)

固定階段であればok(住宅は防火避難規定の解説より、次の経路がわからなくてもokなので)
◆屋外への出口

(施行令第125条)

各部屋から階段まで30m以内(かなりの豪邸以外適合可能)
◆非常用照明の設置

(施行第126条の4)

住宅はそもその但し書きに該当するので不要(非常用照明緩和解説記事
◆敷地内通路

(施行令第128条)

適合させる

つまり、

法35条を適合させるためには、無窓居室にして、施行令第128条の敷地内通路を確保する

 

法第35条の3の適合方法

さて、次は法第35条の3です。

もし鉄骨造やRC造で一戸建て住宅を計画する場合は無視していいですが、木造だったら絶対に無視してはいけません。超重要法文です。

理由は、もし無窓居室になってしまった場合、主要構造部を不燃材か耐火構造で区画しなければならないから。木造じゃ無理ですよね?

そこで、木造住宅でこの法第35条の3に適合させる方法は2つあります。

木造住宅でこの法第35条の3に適合させる方法

①素直に採光を取る

②告示第249号に適合させる

 

①素直に採光を取る

一番現実的な話、唯一この条文だけは普通に採光を取ってください!

イヤイヤ、採光補正係数取れていないんだから、採光なんて取れないから!
大丈夫です!この法第35条の3だけは、採光補正係数が取れなくても、唯一採光が取れる条文だから

そう、採光補正係数を確保する必要がありません。

 

法文を確認してみましょう。

 

建築基準法施行令第111条
法第35条の3(法第87条第3項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。

 面積(第20条の規定により計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の1/20以上のもの

 直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75cm以上及び1.2m以上のもの

 

1号か2号のいずれか一つに適合させなければならないのですが、

1号は一般的な採光計算ですが、2号は採光補正係数が取れなくてもokな内容です。

 

2号の内容は、750mm×1200mm以上 か 直径1m円が内接する 開口部を設ける事とあります。

だから、採光補正係数が確保できなくても比較的大きな窓を設ければokという事です。

つまり、

法35条の3を適合させるためには、750mm×1200mmまたは1m円以上の大きめの開口部を設ける

これは申請先の判断になるとは思うのですが、常識的に考えてこの窓から避難するという事なので、窓から道路まで750mmの避難通路は必要になる可能性がありますので、よく確認するようにしてください。

 

②告示第249号に適合させる

こちら、2020年の法改正によって追加された緩和の法文です。

詳細は過去に記事にしています。

こちらの告示は適合させる為に2つの条件があります。どちらも適合させる必要があります。

条件①緩和利用の居室を3つの中から1つ選択して適合させる事

まずはじめに今回緩和を受けたい居室を、3つの中から1つの選択して適合させてください。

緩和させる居室をいずれか1つに適合

床面積が30㎡以内の居室(就寝の用を除く。)

避難階の居室で、当該居室の各部分から当該階における屋外への出口の一に至る歩行距離が30m以下のもの

避難階の直上階又は直下階の居室で、当該居室の各部分から避難階における屋外への出口又は令第123条第2項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口の一に至る歩行距離が20m以下のものであること。

条件②その居室に警報設備(自動火災報知器)を設ける事

緩和利用する居室に、警報設備(自動火災報知器)を設置

 

まとめ:採光補正係数が確保できなくても、住宅に居室は作れる!

いかがでしたか?

記事も長くなってしまいましたし、決して簡単では無いですが、

工夫次第で採光補正係数が確保できなくても居室は作れるんです!

 

それは、採光の3つの条文全てに適合させる事

法第28条 部屋の用途を音楽練習室orリスニングルームにする(内装制限も同時にかかる)
法第35条 無窓居室にして、施行令第128条の敷地内通路を確保する
法第35条の3 750mm×1200mmまたは1m円以上の大きめの開口部を設ける

又は、告示249号に適合させる

 

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築士。建築法規に関わる仕事をしています。難解で堅苦しい建築基準法を、面白くわかりやすく伝えていきます!