一般構造

居室っぽい室を採光確保できず「納戸」申請するのってokなの?

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居室っぽい部屋を確認申請では部屋名を「納戸」で申請している事があります。

(ここで言う、居室っぽいというのは、室の中にクローゼットや収納があったり、窓がたくさんあったり、部屋が広かったり)

 

パッと見て明らかに居室なのに、どうして「洋室」などでは無く、わざわざ「納戸」や「サービスルーム」と図書に表記されているのでしょうか?

それは、敷地に余裕が無く、採光の確保ができていないから、という理由がほとんどです。

住宅などの建築物は、建築基準法第28条より、居室は採光の確保が必須です。(建築基準法には3種類の採光の法文がありますが、その一つ。解説記事はここ

しかし、狭小地に計画をする場合はどうしても採光が確保できず、やむを得なく「納戸」と申請する設計者がいます。

 

これっていいの?と思う方もいると思います。

しかし、建築基準法上、この行為を禁止する根拠法文が無く、そんな計画でも確認済証を交付する事ができてしまいます。

 

これを読んで安心した方、いますか?

これが、全然安心できません(笑)

事前に必ず抑えて欲しいポイントが2つあります。今回はそちらを確認していきましょう!

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

そもそも、納戸で確認申請が通ってしまうのはどうして?

それは、あくまでも申請主義だからです。

例えば、納戸が多いの一戸建て住宅があったとします。

この住宅、納戸がなんで2つもあるんですか?

この納戸なんて、普通に洋室に見えますが、本当に納戸で使うんですか?

いやぁ、納戸ですよね。お施主様の要望なんですよ〜。

この方、一人暮らしなのですが、趣味の荷物がたくさんあるから納戸がたくさん必要みたいなんですよね。

そうですか、では仕方がないですね

 

ってなりそうですよね?

こう説明されてしまうと、ダメとは言えなくなります。

 

ちなみに、建築基準法上、一戸建て住宅で最低限必要な室は以下の4つだけです。

・寝室(居室)
・便所
・浴室
・キッチン

つまり、一部屋だけ採光確保できている室があったらそれを寝室として、それ以外の室は法的には全部納戸でもいい事になってしまうのです。(恐ろしい)

まぁ、この話を踏まえて、納戸申請のポイントを見ていましょう。

 

納戸で申請する時に抑えて欲しい2つのポイント

申請先によっては、納戸ルールを設けている

みなさんが通常申請するのは「特定行政庁」ですか?それとも、「指定確認検査機関」ですか?

今だったらほとんどの方が「指定確認検査機関」に申請するのではないでしょうか。

だったら、「指定確認検査機関」に必ず確認してください。

 

先ほど、納戸は多少数があっても申請主義だからokと説明しましたが、あくまでそれは建築基準法上で駄目と書いていないというだけです。

実際は、申請先によって、「納戸ルール」があります。

納戸は1つまでにしなさいとか、居室の数以下にしなさいとか。

これは統一されていません、法文にはそんな決まりは無いので。

 

これは、どこの機関でも同じだと思うのですが、明らかに疑義があるものは認められない、という事になると思います。

たとえば、さっきと同様に納戸が複数あった場合でこれが明らかな分譲住宅だった場合で考えてみてください。

この住宅、納戸がなんで2つもあるんですか?

この納戸なんて、普通に洋室に見えますが、本当に納戸で使うんですか?

いやぁ、納戸ですよね。お施主様の要望なんですよ〜。
いや、これ分譲住宅ですよね!!

それって理由としておかしく無いですか?

 

こうなりそうですよね?

結局、設計者の申請主義といえど、このあたりは説明に納得がいかない場合は認められないということです。

なので、どこの機関も数などの制限を設けているのでしょうね、線引きをする為に。

また、説明を求められる事もあると思います。

 

これは、コンセントの数や、エアコンの設置にも同じ事が言えます。

どうして納戸にたくさんコンセントが必要なんですか?

どうしてエアコンが必要なんですか?

どうして納戸が畳になってるんですか?

 

このあたりちゃんと説明してもらわないと、疑いたく無いですが、偽って申請してるんじゃないかと思ってしまいますよね。

 

いずれにしても、申請先には必ず確認をしてくださいね。

 

指定確認検査機関だけでなく、特定行政庁にも取り扱い確認を

指定確認検査機関だけでなく、実は特定行政庁にも確認が必要です。

それはなぜかと言うと、特定行政庁から納戸の疑義の指摘が入る事があります。

 

最近は特定行政庁が平面図を確認する機会が増えています。

 

例を挙げると、地区計画の申請、長期優良住宅や低炭素住宅の申請。

そして最近だと300㎡以上の場合は省エネの届出などもあります。

確認申請が下りてホッとして次に長期優良住宅の申請をしたら、納戸は認められない、、なんて言われたら大変ですよね?

よって、事前に確認が必要になるのです。

 

まとめ:結局は申請先次第ということになります

まぁ、ここまで色々書きましたが、結局は申請先次第なんです(笑)

 

それだけグレーというか、脱法行為っぽく見えてしまうんです。

この記事を書くにあたって、納戸として申請する事についてインターネットで色々調べて見ました。中には

どうして私の家の寝室の部屋名が納戸になっているんですか?

と質問しているエンドユーザーさんがいました。

 

お施主様のご要望で納戸を計画するのはokだと思います。

でも、単純に採光が取れないから納戸にする、、というのは安易ではないですか?

建築基準法の事をよくわかっていない、エンドユーザーさんのことを守る事も設計者の責務です。

居室として使いそうな部屋は、素直に採光確保できるような設計をお願いします!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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