耐火性能検証法とは?【わかりやすく解説してみた】

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

耐火性能検証法とは、耐火建築物の要件の1つである「主要構造部を耐火構造にする」の代わりとなる性能規定。ただし、主要構造部は実際には耐火構造ではないため、耐火性能関係規定以外の法文で主要構造部の要求がある場合は、個別に耐火構造にする必要がある。

この記事でわかること

  • 耐火性能検証法の定義(「主要構造部を耐火構造にする」の代わり)
  • 耐火建築物の要件(①主要構造部+②延焼ラインの防火設備)との関係
  • 耐火性能検証法の根拠法文(令108条の4)の構成(技術的基準と検証方法)
  • 主要構造部が耐火構造とみなされない場合に生じる問題(屋外避難階段・界壁などの個別規定)
  • 耐火性能関係規定」の意味と対象条文一覧
そぞろ

耐火性能検証法は、主要構造部が耐火構造じゃ無いのに、耐火構造と同じような扱いを受けます。
でも、全部一緒じゃありません。だからこそややこしい…。
今回はわかりやすく解説してみたので確認してみてください!

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耐火性能検証法とは?

耐火性能検証法とは、耐火建築物の要件である『主要構造部が耐火構造にする』の代わりになるもの

くどいようですが、あくまで代わりです。ここだけは頭に入れて、先の内容を確認してみてください。

建築基準法において、建築物を『耐火建築物』にするとか『準耐火建築物』にするとかは大事です。これらは、建築物の防火性能を示す物差しみたいなものです。

しかし、ややこしい事に『耐火建築物』と『主要構造部を耐火構造にする』は全くの別物なのです。まずは、ここからしっかり押さえていきましょう。

ややこしい!どこが違うの?

耐火建築物は2点セット揃って初めて要件を満たすのです。下の表を見ていただければわかりやすいです!

耐火建築物=『①主要構造部を耐火構造にする』+『②延焼ラインに防火設備』

だから、『主要構造部を耐火構造にする』というのは、耐火建築物にする為の要件の一つでしかありません。

さて、本題に戻します。今回解説する『耐火性能検証法』は『①主要構造部を耐火構造にするの代わりになります。

では、代わりとして考えてみると、

耐火建築物=『①主要構造部が耐火性能検証法による性能を有する』+『②延焼ラインに防火設備』

これでも、法文上は耐火建築物とみなす事ができます。だから、主要構造部を耐火構造にしなくても『耐火建築物』にできる代わりの方法です。

耐火性能検証法とはどんな技術的基準、検証方法か?

建築基準法施行令108条の4第1項→求められる技術的基準

建築基準法施行令108条の4第2項→具体的な検証方法

性能規定なので、ちょっと内容複雑ですが、項毎にすっぱり分かれているのこのあたりは簡単ですね。これは読んで字のごとくなので、法文で確認してみてください。

令108条の4を確認する(クリックで展開)

第百八条の四 法第二条第九号の二イ(2)の政令で定める技術的基準は、特定主要構造部が、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 特定主要構造部が、次のイ及びロ(外壁以外の特定主要構造部にあつては、イ)に掲げる基準に適合するものであることについて耐火性能検証法により確かめられたものであること。
イ 特定主要構造部ごとに当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該特定主要構造部が次に掲げる要件を満たしていること。
(1) 耐力壁である壁、柱、床、はり、屋根及び階段にあつては、当該建築物の自重及び積載荷重(第八十六条第二項ただし書の規定によつて特定行政庁が指定する多雪区域における建築物の特定主要構造部にあつては、自重、積載荷重及び積雪荷重。以下この条において同じ。)により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 壁及び床にあつては、当該壁及び床の加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあつては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
(3) 外壁及び屋根にあつては、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。
ロ 外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が一時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)加えられた場合に、次に掲げる要件を満たしていること。
(1) 耐力壁である外壁にあつては、当該外壁に当該建築物の自重及び積載荷重により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2) 外壁の当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあつては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
二 前号イ及びロ(外壁以外の特定主要構造部にあつては、同号イ)に掲げる基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
2 前項の「耐火性能検証法」とは、次に定めるところにより、当該建築物の特定主要構造部の耐火に関する性能を検証する方法をいう。
一 当該建築物の屋内において発生が予測される火災の継続時間を当該建築物の室ごとに次の式により計算すること。
tf=Qr/60qb
(この式において、tf、Qr及びqbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
tf 当該室における火災の継続時間(単位 分)
Qr 当該室の用途及び床面積並びに当該室の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の表面積及び当該部分に使用する建築材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した当該室内の可燃物の発熱量(単位 メガジュール)
qb 当該室の用途及び床面積の合計並びに当該室の開口部の面積及び高さに応じて国土交通大臣が定める方法により算出した当該室内の可燃物の一秒間当たりの発熱量(単位 メガワット))
二 特定主要構造部ごとに、当該特定主要構造部が、当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、前項第一号イに掲げる要件に該当して耐えることができる加熱時間(以下この項において「屋内火災保有耐火時間」という。)を、当該特定主要構造部の構造方法、当該建築物の自重及び積載荷重並びに当該火熱による特定主要構造部の表面の温度の推移に応じて国土交通大臣が定める方法により求めること。
三 当該外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時の火熱が加えられた場合に、前項第一号ロに掲げる要件に該当して耐えることができる加熱時間(以下この項において「屋外火災保有耐火時間」という。)を、当該外壁の構造方法並びに当該建築物の自重及び積載荷重に応じて国土交通大臣が定める方法により求めること。
四 特定主要構造部ごとに、次のイ及びロ(外壁以外の特定主要構造部にあつては、イ)に該当するものであることを確かめること。
イ 各特定主要構造部の屋内火災保有耐火時間が、当該特定主要構造部が面する室について第一号に掲げる式によつて計算した火災の継続時間以上であること。
ロ 各外壁の屋外火災保有耐火時間が、一時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間)以上であること。

耐火性能検証法は、『主要構造部が耐火構造じゃない』の罠

耐火性能検証法による性能を有しても、『主要構造部は耐火構造じゃない』故に出てくる問題がたくさんある

主要構造部は耐火構造じゃないからって、どんな問題があるの?

それは、建築基準法には、『主要構造部を耐火構造』にしないと、適合しない事がたくさんあるんです…。
いくら耐火建築物にしても、万能じゃ無いのです!

例えば、建築基準法施行令第123条の2第2項の『屋外避難階段』の基準の中にこんなのがあります。

建築基準法施行令123条2項

(一、二号省略)

三 階段は、耐火構造とし、地上まで直通すること。

階段?階段って主要構造部よね?
あれ、これって耐火性能検証法をしている場合ってどうなるの?

耐火性能検証法を行なっている場合、階段は耐火構造になってない可能性ありますね。
だから、この規定に適合させるために、素直に階段だけ耐火構造にしなきゃいけないのです…。

実は、こんな話が建築基準法にはたくさんあります。いくつか紹介します。

建築基準法施行令123条1項

(本文省略)

一 階段室は、第四号の開口部、第五号の窓又は第六号の出入口の部分を除き、耐火構造の壁で囲むこと。

建築基準法施行令114条1項

長屋又は共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の界壁を除く。)は、準耐火構造とし、第百十二条第四項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

(以下省略)

こんな感じの話がたくさん出てきます。これは主要構造部を素直に耐火構造にしていれば全然気にしなくていいのです。しかし、何度も何度も言っていますが、耐火性能検証法は主要構造部は耐火構造ではないので、こういうのをいちいち気にしなきゃいけない事になります。

内容はわかった。
でも、説明を聞いたら耐火性能検証法でやるメリットがどんどんわかんなくなってきた…
結局、主要構造部は耐火構造にしなきゃいけなくなるじゃない…

ここまでの説明だとそうなっちゃいますよね!
安心してください、そんな事ありません!
なぜなら、『耐火性能関係規定』であれば、耐火性能検証法を使った場合、主要構造部は耐火構造とみなされます!

ここで出てくるのが、『耐火性能関係規定』です。この規定を考える時は、耐火性能検証法を行った建築物は主要構造部が耐火構造とみなされます。みなし規定なので、強制です。

少し話が脱線しますが、要するに竪穴区画の逃れで耐火性能検証法は使えないって事です。なぜなら、主要構造部は耐火構造とみなされ、この規定は強制規定だからです。(設計者の意思は関係ないって事)

耐火性能関係規定とは?

下記の規制については、特定主要構造部は耐火構造にしているとみなされる

  • 令112条第1項、第3項、第7項から第11項、第16項から第21項(防火区画関係)
  • 令114条第1項、第2項(界壁、間仕切り関係)
  • 令117条第2項(避難規定上の区画)
  • 令120条第1項、第2項及び第4項(直通階段)
  • 令121条第2項(2以上の直通階段)
  • 令122条第1項(避難階段の設置)
  • 令123条第1項及び第3項(屋内避難階段、特別避難階段)
  • 令123条の2(メゾネット住戸)
  • 令126条の2(排煙設備)
  • 令128条の4第1項及び第4項(火気使用室の内装制限)
  • 令128条の5第1項及び第4項(特殊建築物の内装)
  • 令128条の6第1項(区画避難検証法)
  • 令129条第1(階避難検証法)
  • 令129条の2第1(全館避難検証法)
  • 令129条の2の4第1項(給水管の配管設備)
  • 令129条の13の2(非常用の昇降機の設置)
  • 令129条の13の3第3項及び第4項(非常用の昇降機の構造)
  • 令137条の14(独立部分)
  • 令145条第1項第一号及び第二項(道路内建築の基準)

この耐火性能関係規定以外の法文で
主要構造部の要求があったら素直に耐火構造にしてくださいね!

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まとめ

耐火性能検証法:耐火建築物の要件「主要構造部が耐火構造」を「主要構造部が耐火性能検証法による性能を有する」に置き換えるもの

あくまで「代わり」であり、主要構造部は実際には耐火構造ではない

耐火性能関係規定(令112条・114条・117条・120条〜129条等)に限り、主要構造部は耐火構造とみなされる

耐火性能関係規定以外の法文(例:屋外避難階段の耐火構造要求)は、主要構造部を個別に耐火構造にする必要がある

竪穴区画逃れの目的では耐火性能検証法は使えない(みなし規定が強制適用されるため)

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。