こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。
排煙設備の免除緩和は複雑です。なぜなら、排煙設備の免除緩和は数や種類が多いからです。しかし、逆に考えると色んなケースで免除緩和が使えるという事です。
複雑な排煙設備の免除緩和ですが、実は排煙設備の免除緩和を複雑にしている要因は2つしかありません。これだけちゃんと理解していれば緩和の使い方がばっちりわかるはずです。
先にその2つのポイントを整理すると、
✔️排煙設備の緩和、免除緩和は『建築物全体』と『建築物の一部』に分かれている
✔️『免除緩和を使う部分』と『その他の部分』には適切な区画が必要
以上2点のポイントを中心に、『排煙設備の免除緩和』について詳しく解説していきます。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
要因①緩和が『建築物全体か一部か』を把握する
排煙設備の免除緩和は『建築物全体』と『建築物の一部』に分かれている
2つに分かれてはいるのですが、ほとんどが“建築物の一部”の免除規定です。
※ただし、建築物全体の適用について申請先によって扱いが異なりますのでご注意ください。(例えば、学校の中でも給食室は排煙設備が必要など)
実は、この中で赤文字になっている告示1436号が最も使いやすいのです。もう、暗号のように排煙設備の免除緩和の検討ではこの告示1436号が図面の上を駆け巡ります。
その告示1436号が“建築物の一部”にしか使えません。
排煙告示1436号の規定についてもまとめました。
このように、実際に免除緩和の規定が設けられてるものの、実際は“建築物の一部”ばかりなのです。
※あえて、1号〜3号に触れていないのは、1号〜3号はどちらかと言うと免除緩和というよりは検討方法の緩和なので今回は除いていますが、当サイトで詳しく解説しています。
要因②適切な区画をする
『免除緩和を使う部分』と『その他の部分』には適切な区画が必要
先ほどの説明で、排煙告示は“建築物の一部”に適用できるものが多い、という事はもうわかりましたよね?
『建築物の一部』に適用できるものについてはさらにもう一つ厄介な問題が付いてきます。
“排煙設備の免除緩和をする建築物の一部”
と
“排煙設備の免除緩和していない部分” または “排煙設備の免除緩和の使う法文が異なる部分”
に適切な区画をしなければならないという事です。
そして、ややこしくしているのは、区画方法も免除緩和の種類によって異なるという事です。
◆①である“排煙設備の免除をする建築物の一部”と“排煙設備の免除していない部分(排煙設備を設置している室)”の区画について
これは、防煙区画必須です。
防煙区画➕下で紹介する屋内の開口部の仕様で区画が必須です。(防煙区画より厳しい要求をしている事があるからです)
そもそも、排煙設備設置部分が500㎡以下で防煙区画が必要だからですからね。当然と言えば当然ですね。
◆②の“排煙設備の免除をする建築物の一部”と“排煙設備の免除の使う法文が異なる部分”の区画について
区画方法は本当にバラバラです。
表にまとめてみました。
(ちなみに、法文に定めは無いですが区画方法の規定がない部分は戸と壁で区画すべきです。どこまで免除しているかという区切りが無くなるので)
多すぎてびっくりした方も多いのではないでしょうか?
この、区画方法の複雑さが排煙設備の複雑さの原因なのです。このあたりの整理ができていれば、実はそんなに難しくありません。
まとめ:複雑に見えるけど難しさのカラクリはこれだけ
この記事を読んでも「難しい!よくわからない!」という方は具体例で考えていくと、スルリと入ってくると思います。(好評だったら具体例も記事にします)
流れとしては
①排煙設備の免除緩和規定で何を使うか選択する
⇩
②使う排煙設備の免除規定が“建築物全体”か“建築物の一部”か確認する
⇩
③“建築物の一部”の場合、その他の部分との区画を考える
法文も今回ご紹介したところが排煙設備の免除の全てです。
排煙設備の免除は内容こそ複雑ですが、施行令第126条の2と告示1436号で話が完結しているので比較的読みやすい条文になっているので、一度確認して見てください。
流れを理解して、排煙設備の免除を使いこなしましょう!