単体規定

キッチンの内装制限の緩和について【告示225号解説】

一戸建て住宅でキッチンのコンロ周りだけ内装制限すれば良いっていう緩和があるけど

法文難しい…わからない…

こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。

その『コンロ周りだけ内装制限をすれば良い』という緩和の正体は『告示第225号』です。使いたい方が多いにも関わらず、読みづらく、わかりにくい法文です。

要点をまとめると、以下のようになります。

✔︎コンロ周りの内装制限を強化する代わりにコンロ周り以外は難燃材料等でokになる

✔︎一戸建て住宅にしか使えない(兼用の場合、面積制限有り)

✔︎コンロ周りの内装制限は長期加熱部分短期加熱部分の2段構えの制限になる

✔︎正直、木造建築物には使いにくい(理由あり!)

では、内容についてわかりやすく解説していきます。

火気使用室の内装制限の緩和、メリットは?

火気使用室のコンロ周りの内装制限を強化する事によって

コンロ周り部分以外の内装材料は難燃材料等※でokになる

※…難燃材料or告示第1439号第1第二号に規定する木材等

一戸建て住宅でも、火気使用室は内装制限の規制がかかります。(ただし、平家と2階建ての2階部分を除く)天井、壁の内装材料の規制ですね。内装、という事はもちろん一番表面の部分なので、部屋の印象を大きく変える要素です。これらを『準不燃材料』にしなくてはなりません。準不燃材料については以下の記事を参考に。

その範囲はどこまでか?それは、原則『部屋全体』です。

だから、住宅のLDKなどの場合、キッチンが火気使用をするのであればLDK全体の壁や天井を準不燃材料にしなくてはいけません。もし、内装材料を準不燃材料以外にしたい!となっても、建築基準法上、原則許されないのです。

ここで、有効な緩和があります。今回ご紹介する『告示第225号』です。

コンロ周りだけは、内装制限は厳しくなりますがコンロ周り部分以外の内装材料は難燃材料等※でokになります。だから、お洒落な内装を使う事も可能になるかもしれません。

ちょっと待った!コンロ周りの内装制限が強化されるのはわかった。

でも、結局コンロ周り以外も難燃材料にしなきゃいけないってほんと!?私、内装を木材にしたいから今回の緩和を使いたいんだけど、難燃材料じゃないから駄目なの?

ほんとです!でも、木材でも告示第1439号第1項第二号のものであれば、使えるので安心してください!

なぜか、この緩和を使うとコンロ周り以外は無制限になると勘違いしている方が多いですが、実はそうでは無いのです。木材でも認められますが、告示第1439号第1項第二号に適合するものにする必要があります。告示の内容を乗せておきますね。

いずれにしても、木材でもokですが、条件付きという事をお忘れなく!


建築基準法施行令第129条第1項第一号ロ及び同条第4項第二号に規定する難燃材料
でした内装の仕上げに準ずる仕上げの方法は、第1第二号の木材等に係る仕上げの部分
を次に定めるところによりすることとする。ただし、実験によって防火上支障がないことが
確かめられた場合においては、この限りでない。
一 木材等の表面に、火炎伝搬を著しく助長するような溝を設けないこと。
二 木材等の取付方法は、次のイ又はロのいずれかとすること。ただし、木材等の厚さが
25mm以上である場合においては、この限りでない。
イ 木材等の厚さが10mm以上の場合にあっては、壁の内部での火炎伝搬を有効に防止
することができるよう配置された柱、間柱その他の垂直部材及びはり、胴縁その他の
横架材(それぞれ相互の間隔が1m以内に配置されたものに限る。)に取り付け、又は
難燃材料の壁に直接取り付けること。
ロ 木材等の厚さが10mm未満の場合にあっては、難燃材料の壁に直接取り付けること。

 

では、続けて緩和の適用要件を確認してみましょう。

まずは法文から要件を確認する

まずは、告示第225号を確認して要件をまとめてみましょう!

告示第225号

建築基準法施行令第129条第1項第二号ロに規定する準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる材料の組合せは、一戸建ての住宅(令第128条の3の2に規定する居室を有するもの及び住宅以外の用途を兼ねるもの(住宅以外の用途に供する部分の床面積の合計が延べ面積の2分の1を超えるもの又は50平方メートルを超えるものに限る。)を除く。)にあっては、次の各号に掲げる室の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 こんろ(専ら調理のために用いるものであって、一口における一秒間当たりの発熱量が4.2キロワット以下のものに限る。以下同じ。)を設けた室(こんろの加熱部の中心点を水平方向に25センチメートル移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方に80センチメートル移動したときにできる 軌跡の範囲内の部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を含む場合にあっては、当該部分の仕上 げを不燃材料(平成十二年建設省告示第1400号第一号から第八号まで、第十号及び第十二号から第十 七号までに規定する建築材料に限る。以下「特定不燃材料」という。)でしたものに限る。)に壁又は天井(天井のない場合においては、屋根。以下同じ。)が含まれる場合にあっては、当該壁又は天井の間柱及び下地を特定不燃材料としたものに限る。) 次に定める材料の組合せであること。

こんろの加熱部の中心点から天井までの垂直距離(以下この号において「こんろ垂直距離」という。 )が235センチメートル以上の場合にあっては、当該中心点を水平方向に80センチメートル 移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方に235センチメートル移動したときにできる 軌跡の範囲内の部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を含む場合にあっては、当該部分の仕 上げを特定不燃材料でしたものに限る。以下「こんろ可燃物燃焼部分」という。)の壁及び天井の室 内に面する部分の仕上げを、次の 又は に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該 又は に定め るところによりするものとする。

(1)こんろ可燃物燃焼部分の間柱及び下地を特定不燃材料とした場合 特定不燃材料ですること。

(2)(1)に規定する場合以外の場合 次の(ⅰ)から(ⅱ)までのいずれかに該当するものですること。

(ⅰ) 厚さが十二・五ミリメートル以上のせっこうボードを張ったもの 厚さが五・六ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板又は繊維強化セメント板を二枚以上張ったもの

(ⅱ)厚さが十二ミリメートル以上のモルタルを塗ったもの

こんろ垂直距離が235センチメートル未満の場合にあっては、こんろの加熱部の中心点を水平方向に80センチメートル移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方にこんろ垂直距離だけ 移動したときにできる軌跡の範囲内の部分及び当該中心点の垂直上方にある天井部の点を235センチメートルからこんろ垂直距離を減じた距離だけ移動したときにできる軌跡の範囲内の部分(回 り縁、窓台その他これらに類する部分を含む場合にあっては、当該部分の仕上げを特定不燃材料でし たものに限る。)の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを、イ(1)又は(2) に掲げる場合の区分に応 じ、それぞれ当該(1)又は(2)に定めるところによりするものとする。

イ又はロの規定にかかわらず、こんろの加熱部の中心点を水平方向に25センチメートル移動したときにできる軌跡上の各点を、垂直上方に80センチメートル移動したときにできる軌跡の範囲内 の部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを特定不燃材料でするものとする。

イ又はロに規定する部分以外の部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料又は平成 十二年建設省告示第1439号第1第二号に規定する木材等(以下「難燃材料等」という。)で するものとする。

こんなに複雑なの!?頭痛い…
色々書いてあるけど、色分けしてある通りに分類すると、そんなに難しい話はしてない!
緩和を適用させる為の4つの要件

以下4つ全てに適合させる事

一戸建て住宅住宅以外を兼ねる場合、床面積の合計が延べ面積の1/2超or50㎡超除くでコンロの一口における一秒間当たりの発熱量が4.2キロワット以下である事

長期加熱部分(水平25㎝、垂直80㎝の円錐)の 下地と内装 を特定不燃材料にする事

短期加熱部分(水平80㎝、垂直235㎝の円錐 他条件有り)の 下地と内装 を指定された材料にする事

長期加熱部分、短期加熱部分以外の内装材料は難燃材料等にする事

この中で、①は読んでそのまま。④については緩和のメリットで説明した通りなので、②③について詳しく解説していきます。

コンロ周りの内装制限は長期加熱部分短期加熱部分の2段構えの制限になっています。その2弾構えの規制を確認してみましょう。

長期加熱部分の範囲、規制内容とは?

長期加熱部分とは、通常の調理などの使用時における継続的に加熱される部分。一番厳しい規制を受ける部分です。

範囲
規制内容 下地 特定不燃材料
内装 特定不燃材料

ポイントは、下地も特定不燃材料という事です。

特定不燃材料とは?

コンクリート
れんが

陶磁器質タイル
繊維強化セメント板
厚さが三ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板
厚さが五ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
鉄鋼
金属板
モルタル
しっくい

厚さが十二ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが〇・六ミ リメートル以下のものに限る。)
ロックウール
グラスウール板

以下の記事で特定不燃材料について詳しく解説しているので確認してみてください。

短期加熱部分の範囲、規制内容とは?

短期加熱部分とは、天ぷら油火災のような異常時の加熱されてしまう部分。長期加熱部分よりかは範囲は広いです。

短期加熱部分について押さえてほしいポイントは2点あります。

✔️短期加熱部分は『コンロから天井までの垂直距離が235㎝以上か?未満か?』で規制範囲が異なる

✔️規制内容は①②の2つあり、どちらかに適合させればok

では、コンロの垂直距離毎に確認していみましょう。

コンロから天井までの垂直距離≧235㎝

範囲
規制内容① 下地 特定不燃材料
内装 特定不燃材料
規制内容② 下地 (規制無し)
内装 以下のいずれかに該当させる

・12.5mm以上のせっこうボード

・5.6mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板又は繊維強化セメント板の2枚貼り

・12mm以上のモルタル

 

コンロから天井までの垂直距離<235㎝

範囲
規制内容① 下地 特定不燃材料
内装 特定不燃材料
規制内容② 下地 (規制無し)
内装 以下のいずれかに該当させる

・12.5mm以上のせっこうボード

・5.6mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板又は繊維強化セメント板の2枚貼り

・12mm以上のモルタル

 

どうして木造建築物には使いにくいのか?

この緩和、実は木造建築物には使いにくいです。

理由は、長期加熱部分短期加熱部分の規制に適合させる事が難しい為です。なぜなら、木造建築物は下地を『特定不燃材料』に出来ないからです。

だから、木造建築物を長期加熱部分と短期加熱部分を適合させるには必然的に以下のようにするしか選択肢がありません。

長期加熱部分 壁、天井を範囲から外すしかない
短期加熱部分 下地 (規制無し)
内装 以下のいずれかに該当させる

・12.5mm以上のせっこうボード

・5.6mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板又は繊維強化セメント板の2枚貼り

・12mm以上のモルタル

長期加熱部分は、範囲が狭いのでその範囲内に壁天井の計画をしなければいいのですが、短期加熱部分をせっこうボードなどを内装材料しなくてはいけないという事です。

だから、木造建築物には使いにくいです。

まとめ:緩和の要件をしっかり抑えて適用させよう

最後のおさらいに緩和の要件をおさらいしましょう。

緩和を適用させる為の4つの要件

以下4つ全てに適合させる事

一戸建て住宅住宅以外を兼ねる場合、床面積の合計が延べ面積の1/2超or50㎡超除くでコンロの一口における一秒間当たりの発熱量が4.2キロワット以下である事

長期加熱部分(水平25㎝、垂直80㎝の円錐)の 下地と内装 を特定不燃材料にする事

短期加熱部分(水平80㎝、垂直235㎝の円錐 他条件有り)の 下地と内装 を指定された材料にする事

長期加熱部分、短期加熱部分以外の内装材料は難燃材料等にする事

最後までありがとうございました!

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。