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そぞろ著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』の特徴

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突然ですが、ご報告です…!

なんと!学芸出版社さんから本を出版しました〜!

用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規

2022年9月18日に発売予定して、『amazonベストセラー入り』と『重版』も決定しました。たくさんの方に購入していただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。

そこで、今回の記事ではどんな本なのか?どんな内容なのか?をご紹介したいと思います。(sozooro

本の特徴は?

本書の特徴は…

対象用途(住宅)』と『対象規模』を絞っていることです。

※対象規模…木造3階建て以下、延べ面積1000㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下

絞っていることが特徴なの?それって…むしろ欠点じゃないの?
いえ!
絞ることによって、むしろ大きなメリットが得られ、
本当に実務で役に立つ書籍になっています!

規模を絞ることは、一見すると欠点に感じるかもしれません。他の用途(保育園や事務所、店舗)や、大規模な共同住宅では原則として使えないということですから。
しかし、規模を絞ることによって、他の書籍には無い大きなメリットを得られます。

用途と規模を絞ることによって得られるメリット

  1. 適用を受ける規制を『逆引き』することが出来る
  2. 実務で本当に必要な『狭くて、深い知識』まで深掘りすることが出来る
  3. 解説と合わせて『適合させやすい落とし所』を知ることが出来る

メリット①適用を受ける規制を『逆引き』することが出来る

逆引きは、本書で一番推しているメリットです。(そして、私が一番やりたかったことです…!)

実務で苦労されている方ならご存知かもしれませんが、建築基準法は『計画している建築物』に何の規制がかかるのか?が非常にわかりにくいです。

少し具体的に考えてみましょう。

例えば、2階建ての一戸建て住宅、延べ面積150㎡で適用を受ける主な単体規定は以下の通りです。

▼2階建て一戸建て住宅、延べ面積150㎡で適用を受ける主な単体規定
建築基準法19/法20/法28/法28条の2/
建築基準法施行令21/令22/令23/令28〜35

どうでしょうか?比較的、法文の書いてある箇所がまとまっているように感じます。

これに追加して、主要構造部を準耐火構造にした場合

▼2階建て一戸建て住宅、延べ面積150㎡で、主要構造部を準耐火構造にした場合、適用を受ける主な単体規定
建築基準法19/法20/法28/法28条の2/
建築基準法施行令21/令22/令23/令28〜35/令109条の2の2

主要構造部を準耐火構造にしただけで、全く予想もしていなかった、かなり番号が飛んだ法文(令109条の2の2)から適用を受けることになります。

次に、2階建てから3階建てに変更をすると…

3階建て一戸建て住宅、延べ面積150㎡で適用を受ける主な単体規定
建築基準法19/法20/法28/法28条の2/法35
建築基準法施行令21/令22/令23/令28〜35/令120/令121条の2/令126/令126条の4/令128

階数がたった一つ増えただけなのに、多くの規制が、しかも飛び飛びで適用されるのです。

このように、普段と少し違った規模の建築物を計画するだけで、全く予想もしない法文から規制を受けることになるのは、建築基準法ではよくあることです。

だから、『計画している建築物』に何の規制がかかるのか?を正しく把握する為には、建築基準法の全体を把握しなければならないということです。
…でも、これってハードル高いですよね?

そこで、本書では、『計画している建築物』の用途と規模から、適用を受ける規制を逆引きできる構成にしています。
これにより、建築基準法の全体を把握していなくても、適用を受ける規制を漏れなく確認することが出来ます。

この逆引きなのですが、用途と規模を絞らないと、複雑になりすぎてしまって、作成出来なかったのです…。
だから、逆引きにする為にあえて用途と規模を絞ることにしました!

本書を利用して『適用を受ける規制を逆引きをする2つ方法』をご説明します。

1、逆引き表を活用する

本書の冒頭には、逆引き表が付いています。逆引き表とは、以下のようなものです。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p12』より引用

このように、用途と規模によって適用を受ける規制が並んでいます。この表を活用すれば、適用を受ける規制を漏れなくチェックすることが出来ます。

2、目次から確認する

本書は目次でも、適用を受ける規制をおおよそ確認することが出来ます。

用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p4』より引用

このように、『3階建ての住宅に適用される法規』や『長屋・共同住宅・寄宿舎に適用される法規』など目次から読んでもわかるようになっています。
目次から読む場合、各頁に書いてある、規制を受ける建築物の部分も、念の為確認して読むようにしてください。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p219』より引用

以上2つのいずれかの方法により、適用を受ける法規を逆引きすることで、非常に効率良く法適合の確認をすることが出来ます。

メリット②実務で本当に必要な『狭くて、深い知識』まで深掘りすることが出来る

建築基準法は文字で表されますが、実際の実務ではそれを立体にして考えます。文字から立体にするにあたって、判断に迷う部分が多く出てきます。
だから、防火避難規定の解説集団規定の適用事例集といった、法文では無いけれど、根拠として使える書籍があり、建築実務ではこれらの知識が必須です。

要するに、建築実務では、建築基準法に書いてある内容よりも、もっと深い知識が必要ということです。

また、建築基準法には多くの法文がありますが、用途によっては関係の薄い法文がほとんどです。

そこで本書では、用途と規模を絞ることにより、関係の薄い法文を削り関係がある法文を深掘りしています。
これにより、実務で本当に使える知識を身につけることが出来ます!

具体的には、本書では建築基準法の一般的な内容だけでなく、避難規定の解説や集団規定の適用事例集の内容も合わせて掲載し、それぞれ根拠となるページ数も合わせて記載しています。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p179』より引用

ただし、残念ながら避難規定の解説や集団規定の適用事例集の内容を完全に本書に反映させることは出来ませんでした。(ページ数にも限りがあるので…)
そこで、各項目の末尾に、掲載出来なかったけど参考にしてほしい書籍と、そのページ数を記載しておくことにしました。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p179』より引用

避難規定の解説のQAのページ数まで入れているので、かなり探しやすいと思います。もし、本書を読んでも答えに辿りつかない場合、これらの書籍の内容を確認してください。

ところで、ページ数細かく入れすぎじゃない?こんなに必要なの?
必要ですよ!なぜなら、建築主事や指定確認検査機関の事前協議で使って欲しいからです!

本書は、根拠となる書籍を元にしていたとしても、あくまで参考書です。(建築主事や指定確認検査機関の事前協議でこの書籍を根拠として説明をしたら、白い目で見られてしまうでしょう…)
事前協議では、建築基準法や避難規定や適用事例集といった根拠図書で協議するようにしていただきたいので、本書ではそれぞれの内容の根拠法文や書籍のページ数を細かく入れるようにしています。

メリット③解説と合わせて『適合させやすい落とし所』を知ることが出来る

本書は、建築基準法の解説だけでなく、要所要所で適合の方法を誘導している箇所があります。
わかりやすいのは、『排煙設備』の部分です。単なる解説ではなく、適合させる流れを示しています。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p208』より引用

建築基準法は、適合させる方法が一つではありません。素直に適合させても良し。難しければ、緩和や適用除外を使って逃げても良し。やり方は設計者が基本的には自由に選択できます。

そうは言っても、実際にはその建築物の用途や規模によって適合させる方法の『落とし所』は大体決まっているものです。

そこで、本書では基本的な適合方法や緩和を示した上で、『適合させやすい落とし所』も合わせてお伝えしています。これは、用途と規模を絞っているからこそ、お伝え出来るものです。

私は、過去5000件以上の法適合確認をしてきたので、適合させやすいの落とし所は熟知しています
基本的には、本書で示している通りに進めて良いと思います!

特に、用途を住宅(一戸建て住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎)に絞っていますが、住宅用途は建築基準法の中でも、特殊です。なぜなら、使いやすい緩和などが多いからです。
住宅用途の場合、ちょっとした工夫で簡単に適合できたりするので、そのあたりの内容も多く盛り込んでいます。

以上3つのメリットは、用途と規模を絞っているからこそ得られるものです!
ぜひ、本書の規模を設計される方は活用をしてください!

対象規模以外の物件は…?

でも、対象規模から少しでも外れてしまったら、この本は使えないの?

本書の対象規模は、『木造3階建て以下、延べ面積1000㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下』です。
対象規模以外は、本書で解説している以外の規制を受けることもあるでしょう。

そこで、対象規模を超えてしまっても少しは使えるように
末尾に説明していない規制について、どうして適用を受けないのか?も掲載しています。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p252』より引用

例えば、1000㎡を超える規模になった場合は25条、26条を確認するなどすれば、ある程度は対応出来るようになっています。ご活用くださいz

 

ただし、住宅以外の用途での使用はおすすめしていません。用途が異なると、適用を受ける規制も全く異なる為です。ご注意ください。

今後の法改正はどうなるの?

でも、確か直近で四号特例の見直しとかの法改正があったよね?今の時期に買って大丈夫?

確かに、直近で大きな法改正が予定されています。中でも大きいのは、①四号特例の見直しと②省エネ義務化についての2つです。
この2点の改正は、本書で扱う建築物にも関係がある内容です。だから、このタイミングで買って良いのか?は当然の疑問です。

基本的には、買ってしまってokです。
2点の理由をお伝えします。

1点目。この2つの改正の予定は『2025年』です。つまり、今から買っても、最低丸2年以上は法改正が施行されません。(2022年9月現在)すぐに法改正がされるわけではないのです。

2点目。本書でも、2025年に予定されている法改正の現状わかっている内容について整理してあります。

学芸出版社『用途と規模で逆引き!住宅設計のための逆引き建築法規p81』より引用

2025年の法改正後でも、こちらの内容を確認いただければ、ある程度の法改正には対応できるようになっています。

だから、法改正を待たずに購入していただいても問題無いと思います!

まとめ:用途と規模をあえて絞ることによって、本当に実務で使える書籍

本書の特徴は、対象用途(住宅)』と『対象規模』を絞っていることです。

しかし、それによって、以下のメリットが得られます。

  1. 適用を受ける規制を『逆引き』することが出来る
  2. 実務で本当に必要な『狭くて、深い知識』まで深掘りすることが出来る
  3. 解説と合わせて『適合させやすい落とし所』を知ることが出来る
私が指定確認検査機関で新人の頃、こんな本があったらいいなと願っていた集大成の本です!ぜひ、発売されたら書店などでチェックしてみてください!
ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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