採光無窓を回避せよ!建築基準法「3つの条文」で読み解く居室判定

PR

本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

『採光計算がNG=部屋として使えない』と諦めるのはまだ早い。 無窓居室(採光無窓)には「法28条」「法35条」「法35条の3」という3つの異なるハードルがある。それぞれの違いを理解し、特に法35条の3の「避難上の開口部」という切り札を知っておけば、狭小敷地でも居室を諦めずに済む。

この記事でわかること

  • 採光無窓の定義:なぜ窓があるのに「無窓」扱いになるのか。
  • 3つの法規制の違い:法28条、法35条、法35条の3がそれぞれ何を求めているか。
  • 無窓になった際のリスクと対策:非常用照明の設置や、木造で特に厳しくなる「不燃区画」のルール。
  • 逆転の回避策:採光計算がNGでも、法35条の3の制限を突破できる「特例開口」の条件。
そぞろ

採光無窓は、3つにの規制が絡むので複雑です!
でも、安心してください。この記事では3つの法文について丁寧に解説しています。

週刊ニュースレター|毎週月曜配信・無料

確認申請審査5,000件超の実務経験から、毎週こんな内容を届けています

「責任取れるんですか!?」CB塀の高さ指摘で1時間怒鳴られた話
泊まったホテルが『違反建築物』すぎて震え上がった話
CB塀を敷地から除いただけで、違反建築物になりかけた話

読者5,500人・開封率70%超

PR

採光無窓とは?

採光無窓とは、所定以上の採光上有効な開口部を確保できない居室(採光計算でNGのこと

居室は、原則として所定以上の採光上有効な開口部が必要です。この採光上有効な開口部の面積を求めるのが、採光計算です。

採光上有効な開口部 = 窓面積 × 採光補正係数

採光計算については、以下の内容を確認してください。

採光無窓になりやすい居室、つまり、採光計算でNGになりやすい居室は、『狭小敷地の居室』です。狭小敷地では、採光補正係数が0になることが多いです。この場合、採光上有効な開口部は0となってしまうので、採光無窓になってしまいます。

採光無窓の他に、換気無窓と排煙無窓というものもあります!
これらの内容は下記の記事で『無窓居室』としてまとめて紹介しています!

採光無窓が関わる3つの規制

採光無窓に関わる規制は3つある

  • 採光義務(法28条)
  • 避難規定全般(法35条)
  • 不燃区画(法35条の3)

ええ、3つもあるの?この3つは、何が違うの?

主として…『検討が必要になる居室』と『無窓居室になる条件』と『無窓居室になった場合の規制内容』が異なります!

まずは3つの採光の法文を整理してみましょう。

検討が必要な居室必要採光面積検討方法規制内容
法28条1項住宅・学校・病院・診療所・寄宿舎等の居室居室面積×1/5〜1/10
(用途によって異なる)
開口部×採光補正係数絶対に適合が必要
法35条全ての居室居室面積×1/20開口部×採光補正係数  直通階段
屋外階段
手すり高さ
敷地内通路
非常用の照明装置
法35条の3全ての居室居室面積×1/20開口部×採光補正係数
(避難上有効な開口部を設けるでも可)
 居室を区画する主要構造部を耐火構造又は不燃材料とする

法28条1項、法35条、法35条の3について、確認をしていきましょう。

法28条:住宅や病院などの一部の用途は採光を確保しなければならない

所定の用途の居室のみが対象。採光義務の対象になった場合、必ず、所定の採光を確保しなくてはならない

具体的な用途、居室に乗じる数値は下記の通り

建築物居室の種類居室の床面積に乗じる割合
住宅居室×1/7
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)
寄宿舎寝室×1/7
下宿宿泊室×1/7
児童福祉施設等寝室×1/7
保育、訓練×1/7
談話、娯楽×1/10
病院、診療所病室×1/7
談話、娯楽×1/10
幼稚園、小学校、中学校、
義務教育学校、高等学校、
中等教育学校、
幼保連携型認定こども園
教室×1/5
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)
上記の学校以外の学校(大学、専修学校等)教室×1/10
保育所、幼保連携型認定こども園保育室×1/5
(照明設備を設けることで、必要な面積の低減が可能)

住宅だと一番ネックになるのはこの法28条でしょう。基本的には住宅の居室はただし書きに該当させないと絶対に採光の確保が必要になります。

採光義務の詳しい内容は下記の記事で解説しています。緩和規定もあるので、そちらを駆使して適合させる、というもの手です。

ぼくが今計画してるの、『事務所』なんだけど、この場合はどうなの?

事務所なら法28条の制限は無いので、無視してもokです!
残りの2つ、法35条と法35条の3だけ適合させてください。

法35条:無窓になると避難規定が適用。でも、小さい建物なら比較的なんとかなる

採光無窓となると、避難規定が適用となる

避難規定とは、その名の通り、在館者が建築物から避難するために必要となる規定です。避難規定については、下記の記事から確認してください。

避難規定は、比較的大きな建築物が対象となるのですが、実は、採光無窓も対象となるのです。

ただ、避難規定を確認すると、そんなに適合は難しくないと思います!
確認はしていただきたいですが、絶対に設置が必要になるのは、非常用の照明装置くらいかも。

非常用の照明装置については、下記の記事から確認してください。

法35条の3:無窓になった場合、主要構造部が木造だったら適合が困難

採光無窓になった場合、居室を区画する主要構造部を耐火構造又は不燃材料とする必要がある

居室を区画を耐火構造・不燃材料です!
要するに、木造建築物なら結構厳しいです!

法35条の3の検討が無窓になってしまった場合、主要構造部を耐火構造にするか、不燃材料で作る事になりますが、木造だと適合が厳しいです。木造耐火も最近はやりやすくなりましたが、それでもかなり厳しいです。

ええええ、なんとかならないの?

実は、法35条の3に限り、採光計算がNGでも採光無窓にならない方法があるんです!法文を根拠にご説明します!

建築基準法施行令111条

法第三十五条の三(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室(避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室その他の居室であつて、当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)とする。
一 面積(第二十条の規定により計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の二十分の一以上のもの
二 直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもの

注目していただきたいのは、マーカー部分です。

直接外気に接する避難上有効な構造の開口部で、その開口部の大きさが750mm✖️1200mm、1m円(非常用進入口と全く同じですよね)必要です。が、これを満たせば通常の採光計算は不要です。

これって少し希望持てませんか?これを満たせば、狭小地で採光取れない時も居室を作る事ができるかもしれません。

ちなみにこの直接外気に接する避難上有効な構造の開口部の判断は申請先に確認した方がいいのですが、当該開口部から道路まで避難できる通路や避難器具(2階だった場合)が考えられます。

また、最新の法改正によって、法第35条の3はさらなる緩和が追加されていますので、確認してください。

すでに5,500名の設計・確認実務者が利用しています

建築法規の"判断ミス"を、未然に防ぎませんか?

登録特典の『建築法規「逆引き」判定シート』は、用途と規模を入力するだけで、適用条文を自動抽出。
現場で私が実際に使っている"逆引き思考"を、そのままシート化しました。

※登録後すぐにダウンロードできます
登録特典:建築法規「逆引き」判断シート(Excel)

まとめ

採光無窓とは、採光補正係数などの計算によって有効面積が不足した状態のこと。

法28条(衛生):住宅や学校などが対象。居室床面積の 1/7〜1/10 が必要。

法35条(避難):全ての居室が対象。1/20 未満だと非常用照明などが必要になる。

法35条の3(防火):全ての居室が対象。1/20 未満だと不燃区画化が必要だが、「750mm×1200mm(または 1m 円)」の開口部があれば計算上NGでも回避可能。

PR

PR

■ 企業・プロモーション担当者様へ

建築実務者5,000人・開封率70%超のメルマガ、月間20万PVのブログで貴社サービスをPRしませんか。

広告掲載・タイアップのご案内はこちら

この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。