単体規定

【廊下の幅の基準】3室以下の室や両側居室とは?

今回は『建築基準法で定められている廊下の幅』についての記事です。

 

建築基準法では、避難経路部分である廊下部分の幅員の最低寸法を定めています。

今回は、廊下の幅を確保すべき用途や、幅員についてまとめてみました。

 

その中でも特にわかりづらい『3室以下の室専用』と『両側居室』などについて詳しく解散していきます。

 

 

廊下の幅の基準について

 

建築基準法施行令第119条より

廊下の用途、配置 両側居室 片側居室
◆小学校、中学校、義務教育学校、高等学校

◆中等教育学校における児童用又は生徒用のもの

2.3m 1.8m
◆病院における患者用のもの

共同住宅の住戸若しくは住室床面積の合計が百平方メートルを超える階における共用のもの

三室以下の専用のものを除き居室の床面積の合計が200㎡(地階にあつては、100㎡)を超える階におけるもの

1.6m 1.2m

注目すべきは、一番最後のところ。

居室の面積が200㎡を超えたら、どんな用途でも廊下の幅の規定がかかります。(ただし、法第35条の規定にかかる規模のみ。)

事務所、店舗などなど。

 

もう基準としてはこれだけなのですが、少しわかりづらい部分について解説していきたいと思います。

 

両側居室と片側居室の判断方法について

もう見れば一目瞭然なのですが、この廊下の幅の基準は

両側居室か片側居室かで求められる幅が全然違います。

 

よって、両側居室になるのか、片側居室になるのかは法規チェックで非常に重要なポイントになるかと思います。

こちらは審査機関によって、独自の判断があるかと思いますが、一般的なものをご紹介します。

防火避難規定の解説のアフターフォローに廊下の幅についての回答があり、そちらは参考にして考えてみましょう。

「建築物の防火避難規定の解説2016」アフターフォロー質問と回答(2)

 

簡潔に言うと、両側から人が避難してくるかどうかで判断できると思います。

その観点で、以下の内容を確認してみてください。

両側居室扱いになる
片側居室扱いになる

 

ただし、本当に廊下の両側居室か片側居室かは審査期間の判断によるので

少しでも迷っているのであれば事前に確認をする事を進めます。

 

三室以下の専用の廊下について

三室以下の専用の廊下だとどんなメリットがあるの?
ズバリ!廊下の幅の規定がかからなくなります!

先ほどもお伝えしましたが、

居室の面積が200㎡(地下の場合100㎡)を超える階は廊下の幅の規定がかかります。

 

これは、用途は関係無いので、事務所だろうが、店舗だろうが廊下の幅の規定がかかります。

しかし全ての廊下という事ではありません。

 

廊下の幅の規定がかかるものでも、3室以下専用のものであれば適合させなくてもokです!

では、3室以下専用のものってどんなものでしょうか?

こんな感じです。

廊下の形状によっては上手く使えそうですよね。

 

ここで、注意していただきたいのですが、共同住宅の廊下の場合はこの3室以下の話は使えません。

なぜなら、この室を住戸に置き換える事は出来ないから。

果たして共同住宅の住戸は1室かどうか?というところで、共同住宅の中には居室、非居室色々あって1住戸なのでこれは1室としてはみなせないからです。

 

共同住宅の場合は居室の面積ではなく、住戸の面積

紛らわしいのですが、この法文で出てくる共同住宅は居室ではありません。

共同住宅の住戸の面積で廊下の幅の規定がかかってきます。

(この法文、居室の面積と住戸の面積が出てくるから混乱しやすいですよね)

 

まとめると、

共同住宅 住戸の面積が100㎡
その他の用途 居室の面積が200㎡(地下は100㎡)

よって、圧倒的に共同住宅は廊下の幅の規定がかかりやすいです。

住戸の面積100㎡って結構簡単に超えますよね?

居室の面積 と 住戸の面積 これ間違えると致命的なので、ご注意ください。

 

まとめ:両側居室と3室以下専用の取り扱いは申請先に確認が必要

今回は廊下の幅と両側居室、3室以下専用の廊下について

あくまで一般的な話をまとめました。

 

ここで、最後に強く言いたいのですが、

少しでも迷ったら必ず申請先に確認をした方がいいです。

 

と、いうのも廊下の幅の規定は申請先でよく判断がバラけるという話をよく聞くからです。

廊下の幅を間違えると、プランに大きな影響を与えてしまいます。

後から後悔しないように、事前に確認するようにしてください。

 

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』