建築基準法の法規制の中には、『単体規定』と『集団規定』があります。
ややこしい2つの違い、説明できますか?
ややこしいし、紛らわしい、よくわからないという方もいると思います。
そこで、わかりやすくする為に、実戦してほしい事があります。
それは、法令集をぶった切る事です。
ってなりますよね。
でも、そっちの方が、劇的に『単体規定』と『集団規定』の違いがわかりやすくなります。
早速詳しい解説いってみましょう。
単体規定と集団規定の違いとは?
さて、さっそくですがこの違いについて確認していきましょう。
一般的には、単体規定は『建築物自体』にかかる法令、集団規定は『建築物と都市』にかかる法令とありますが、正直この説明だと全然頭に入ってきませんよね。
そこで、私はあえて以下のように考えています。
単体規定 | 建築物の用途や規模によって不平等にかかる法規制 | 全国規定 |
集団規定 | 建築物の用途や規模関係なく平等にかかる法規制 | 地域規定 |
単体規定は不平等で、集団規定は平等ってどういうこと!?
ってなりますよね。
これは、法規を確認する上で気をつけて欲しいのですが、単体規定は建築物の用途や規模で、そもそも法規制が無い事がよくあります。(法第19条や、法第20条のようにすべての建築物にかかる法規制もありますが)
逆に、集団規定は全ての建築物の用途や規模で法規制が発生します。
だから、私はあえて単体規定は不平等、集団規定は平等と考えています。
たとえば、単体規定(不平等規定)の法文を見てみましょう。
〈単体規定〉
法第28条:採光(住宅などの用途はかかる)
法第28条の2:シックハウス(居室があればかかる)
法第30条:長屋、共同住宅の界壁(長屋、共同住宅の用途はかかる)
法第31条:便所(便所があればかかる)
法第35条:避難規定(特殊建築物や、3階建や、1000㎡超はかかる)
このように、単体規定は建物の用途や規模で法規制の内容が変わるものです。
たとえば、50㎡の倉庫と、1000㎡の共同住宅なら、どっちの方が法規制が厳しいと思いますか?
ほとんどの方が、1000㎡の共同住宅と答えるかもしれませんし、それは事実です。
なぜなら、1000㎡の共同住宅の方が、多くの単体規定がかかるからです。(避難規定とか)
だから、私は単体規定は用途や規模ごとによって法規制が異なる不平等な規定と覚えています。
一方、集団規定(平等規定)を見ていきましょう。
〈集団規定〉
法第48条:建築物の用途
法第52条:容積率
法第53条:建蔽率
法第56条:建築物の高さ(道路斜線、北側斜線、隣地斜線)
集団規定はすべての建築物に平等にかかる法規制です。
先ほどの例えのように、50㎡の倉庫と1000㎡の共同住宅があるとします。
道路斜線や、容積率の法規制を50㎡の倉庫はかけないで、1000㎡の共同住宅はかけないとかありますか?
ないですよね。
だから、集団規定は平等規定と言えるでしょう。
単体規定は全国規定、集団規定は地域規定ってどういうこと!?
単体規定は、全国どこに建てても法規制がかかります。
沖縄だろうが、北海道だろうが、都会だろうが、田舎だろうが、法適合の確認が必要です。
しかし、一方の集団規定は地域によって、かけている規制が異なります。
(寄り道になるので詳しくは説明しませんが、建築基準法第41条の2より、集団規定はそもそも都市計画区域と準都市計画区域外は法規制ありません)
例えば、東京都と群馬県なら、どっちの方が法規制が厳しそうですか?
ほとんどの方が、東京都と答えるかもしれません、正解だと思います。
東京都の方が、高度斜線の指定や、防火地域の指定が多いし、地域で定めている法規制が厳しいからです。
このように、地域によって法規制の難易度が変わるのが、集団規定の特長です。
単体規定と集団規定の区別は法令集をぶった切れば簡単!
さて、お次は法令集でどれが単体規定で、どれが集団規定なのかご説明します。
冒頭でも言いましたが、法令集をぶった切れば簡単です。
それは、なぜか言うと、建築基準法は単体規定と集団規定、綺麗に分かれているから。
以下の様に、建築基準法も、建築基準法施行令も、ぶった切ってみてください!

(一部抜粋しています)
いかがですか?
おそらく、綺麗に分かれるっていうところを抑えれば、かなりわかりやすくなると思います。
まとめ:単体規定と集団規定を区別して法規制を確認しよう!
さて、長々してしまったので完結にまとめましょう。
単体規定:用途や規模によって法規制の内容が異なる
集団規定:地域によって法規制の内容が異なる
言ってしまえば、こんな感じなんです。
だから、もし大規模な建築の法規制を確認しなければならない時は単体規定をよく確認して
都会で高度斜線や、防火指定が厳しそうなら、集団規定をよく確認するようにしましょう。
そっちの方が、効率よく法規制チェックができるはずです!
そして、単体規定と集団規定の違いは、法令集で明確に分かれています。
先ほどお伝えした箇所でぶった切れば簡単に分けることができるので、是非実戦してみてください。