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直通階段とは?【建築基準法上の定義などをわかりやすく解説】

本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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直通階段とは、各階から避難階または地上まで迷わず直通できる階段のこと。途中に扉や長い廊下を介するものは該当しない。特殊建築物・3階建て以上・採光無窓・延べ1000㎡超の建築物に必要(令117条)。
この記事でわかること
- 直通階段の定義と該当しないケース
- 直通階段が必要になる建築物(令117条)
- 居室から直通階段までの歩行距離の上限
- 屋外階段の直通階段で幅の緩和が制限される理由
そぞろ直通階段は、法文読んだだけじゃ絶対わからない内容です!
でも、今回の記事では、しっかりした参考書を元に、直通階段の定義や設置方法をわかりやすく解説しています。
直通階段とは?
直通階段とは、各階で次の階段まで誤りなく通じ、避難階又は地上まで直通する階段をいう
非常時はとにかくパニックになります。冷静な判断もできなくなるので、とにかく迷わずに避難できる階段とする必要があります。
直通階段の定義は、法文ではなく、 『建築物の防火避難規定の解説』にて定義されています。

直通階段は避難階まで直通させる必要があります。避難階の定義については、下記の記事で解説しています。
直通階段に該当しないもの
直通階段に該当しないものは
- 階段の途中に扉があるもの
- 長い廊下を介するもの
- 見通しがきかないもの

Q.階段の始まりと終わりの部分に扉がある場合は?
- 階段の途中ではなく、始まりと終わりの部分に扉があっても直通階段になる?
-
階段の『始まり』と『終わり』の部分に戸がある場合は、直通階段に該当します。
例えば、3階建て場合、3階の階段の始まりの部分。又は1階(避難階)の階段の終わりの部分。こちらには、扉を設けても直通階段の該当します。
あくまで、『階段の途中』に戸を設ける事を禁止しているので、それ以外の部分に扉を設ける事は認められています。
直通階段が必要な建築物は?
基本的に、避難規定が適用される建築物は、直通階段を設けなくてはなりません。避難規定については、下記の記事で解説しています。

つまり、特殊建築物ではなく、2階建以下の無窓居室を有しない建築物であれば、直通階段は不要ということです。

ただし、逆を言えば、特殊建築物や3階建ての建築物は必要。結構必要になる建築物は多いです!

小規模でも絶対に必要?

はい!緩和とかないので!
3階建ての住宅などであっても、直通階段に該当させなければならないのです。住宅だから大丈夫だろう…と安易に考えてしまうのは危険です。注意しましょう。
Q.直通階段が必要な建築物を法文で確認
- 直通階段が必要になる建築物って、法文ではどこに書いてある?
-
令117条1項です!
根拠法文を確認する(クリックで展開)
この節の規定は、法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、前条第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室を有する階又は延べ面積が千平方メートルをこえる建築物に限り適用する。
直通階段を設ける位置は?
直通階段は、居室の各部分から出来るだけ短い距離に設ける事が原則
具体的には、下記の数値以下になるように計画が必要
| 構造・居室の種類 | 主要構造部が準耐火構造、または不燃材料で造られている場合 | その他 | ||
| 居室及び階段・廊下の壁と天井を準不燃材料にした場合 | その他 | |||
| (1) | 令116条の2第1項一号にあたる開口部を有しない居室 または 法別表第一(い)欄(四)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 40m | 30m | 30m |
| (2) | 法別表第一(い)欄(二)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 60m | 50m | 30m |
| (3) | (1)または(2)以外の居室 | 60m | 50m | 50m |
| ※15階以上の居室にあっては、表の数値-10mとなる。(令120条第2項・第3項) | ||||
居室から階段までの距離が短い方が、円滑に避難が出来る事は想像しやすいですよね。だから、避難に使用する直通階段は、居室の各部分からの距離が明確に定められています。
こちらの内容については、下記の記事で詳しく解説しています。

直通階段の幅・蹴上・踏面の寸法は?
直通階段に該当した場合、階段の幅については厳しくなる可能性がある
ただし、厳しくなる可能性があるのは、『屋外階段』のみ
屋外階段は、階段の幅について緩和があります。屋内階段の場合、140㎝・120㎝・75㎝必要なところ、屋外階段は最大で『60㎝』にまで緩和出来ます。
しかし、直通階段の場合、その緩和出来る寸法が『90㎝』までとなってしまいます。避難に利用する階段なので、そこまでの緩和は出来ないのでしょう。

じゃあ、本来だったら階段の幅が120㎝必要な場合、
ただの屋外階段だったら『60㎝』まで緩和していいけど、
直通階段の屋外階段だったら、『90㎝』までしか緩和出来ないってこと?

はい、その通りです!
階段の寸法については、下記の記事で詳しく確認をしてください。
Q.直通階段なら必ず『90㎝』にしなければならないのか?
- 法で求められている階段の幅が『75㎝』であっても、直通階段なら階段の幅は『90㎝』にしなければならないのか?
-
いいえ。法で求められている階段の幅が『75㎝』であれば、屋外階段の直通階段であったとしても『90㎝』にする必要はありません。
なぜなら、屋外階段の法の規制はあくまで緩和だからです。これらの内容は、防火避難規定の解説により明記されています。ただし、避難上の安全を考慮した場合、90㎝以上が望ましいとされています。(根拠:防火避難規定の解説P118)
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まとめ
- 直通階段とは各階から避難階まで迷わず直通できる階段
- 階段の途中に扉・長い廊下・見通しのきかない部分があると該当しない
- 必要な建築物:特殊建築物(別表1の1〜4項)・3階建て以上・採光無窓・延べ1000㎡超
- 歩行距離の上限は令120条に定める数値以下
- 屋外階段は通常60㎝まで幅を緩和できるが、直通階段の場合は90㎝までしか緩和できない
根拠法文
記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。
令120条
根拠法文を確認する(クリックで展開)
建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。次条第一項において同じ。)においては、避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む。以下同じ。)を次の表の上欄に掲げる居室の種類の区分に応じ当該各居室からその一に至る歩行距離が同表の中欄又は下欄に掲げる場合の区分に応じそれぞれ同表の中欄又は下欄に掲げる数値以下となるように設けなければならない。
| 構造居室の種類 | 主要構造部が準耐火構造である場合(特定主要構造部が耐火構造である場合を含む。)又は主要構造部が不燃材料で造られている場合(単位 メートル) | その他の場合(単位 メートル) |
| (一) | 第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室(当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)又は法別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 三〇 | 三〇 |
| (二) | 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 五〇 | 三〇 |
| (三) | (一)の項又は(二)の項に掲げる居室以外の居室 | 五〇 | 四〇 |
2 主要構造部が準耐火構造である建築物(特定主要構造部が耐火構造である建築物を含む。次条第二項及び第百二十二条第一項において同じ。)又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物の居室で、当該居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。)及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料でしたものについては、前項の表の数値に十を加えた数値を同項の表の数値とする。ただし、十五階以上の階の居室については、この限りでない。
3 十五階以上の階の居室については、前項本文の規定に該当するものを除き、第一項の表の数値から十を減じた数値を同項の表の数値とする。
4 第一項の規定は、主要構造部を準耐火構造とした共同住宅(特定主要構造部を耐火構造とした共同住宅を含む。第百二十三条の二において同じ。)の住戸でその階数が二又は三であり、かつ、出入口が一の階のみにあるものの当該出入口のある階以外の階については、その居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離が四十メートル以下である場合においては、適用しない。





