避難階は、建築基準法の規制においてどこに登場するの?
避難階には、2方向避難や重複距離の検討は必要なの?
こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
直接地上へ通ずる出入口のある階のこと
避難階とは、『直通階段』と『歩行距離』の規制において登場する
避難階は、2方向避難は不要
避難階は、原則としてしかし、稀に1階以外も避難階になることもあり、避難階に該当することで規制の適用も変わってきます。
今回の記事ではわかりやすく解説していきます!(twitter:sozooro)
では、早速解説していきます!
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
『避難階』の定義について
直接地上へ通ずる出入口のある階のこと
避難階とは、直接地上へ通ずる出入口とは、基本的には1階になることが多いです。しかし、高低差が大きい建築物などの場合、避難階が複数存在することとなります。
『避難階』を法文から確認する
建築基準法施行令13条一号』に定義される 避難階は『
建築基準法施行令13条一号
避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)以外の階にあっては居室から第120条又は第121条の直通階段に、避難階にあっては階段又は居室から屋外への出口に通ずる出入口及び廊下その他の通路
『避難階』が関係する2つの規制
避難階は、建築基準法の規制において大きく2つ関係があります。
避難階が関係する2つの規制
- 直通階段の規制(令120条)
- 歩行距離の規制(令125条)
直通階段の規制(令120条)
避難階以外の階には、直通階段を設けることとなります。(令120条)
この直通階段は、避難階まで直通させなくてはなりません。そうしないと、避難が出来ない為です。言われてみれば当たり前かとは思いますが、念の為に把握しておきましょう。
歩行距離の規制(令125条)
避難階には、歩行距離についての規制があります。避難階における歩行距離の規定は、大きく分けて2つあります。
避難階における歩行距離の規制
- 避難階の各居室から主要な出入口まで『令120条の歩行距離×2』以下とすること
- 避難階の直通階段から主要な出入口まで『令120条の歩行距離』以下とすること
よく、避難階の直通階段から主要な出入口までの距離も令120条の歩行距離の2倍以下にすれば良いと勘違いしている方がいます。注意しましょう。
ここが、避難階か、避難階以外の階かで異なる大きなポイントです!
詳しくは、以下の記事で解説しています。
『避難階』に2方向避難は必要か?
原則として2方向避難は不要。(つまり、重複距離も不要) 避難階には、
避難階以外の階においては、所定の規模以上の建築物には階段が2つが必要になる、いわゆる2方向避難が必要になります。
だから、避難階においても2方向避難が必要なのではないか?例えば、出入口を2つ設ける必要があるのではないか?と考える方もいらっしゃるかと思います。
しかし、避難階においては原則として2方向避難は必要ではありません。
避難階でも、歩行距離が不足してしまう場合は出入口を追加しなくてはなりません。
先ほどご紹介した通り、避難階の場合であっても歩行距離の規制を受けることとなります。その歩行距離が不足した場合は出入口を2つ、場合によっては3つ以上必要になることもあります。
まとめ
✔️避難階とは、『建築基準法施行令13条一号』により、直接地上へ通ずる出入口のある階のこと
✔️避難階は以下2つの規制に登場する
- 直通階段の規制(令120条)→直通階段は避難階まで直通させること
- 歩行距離の規制(令125条)→居室の各部分から出入口まで、階段から出入口までの所定の歩行距離以下とすること
✔️避難階は原則として2方向避難は不要。ただし、令125条の歩行距離をオーバーしてしまう場合は2箇所必要になる