【2以上の直通階段】必要になるか緩和できるかは『階数』で決まる

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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結論(まずはここだけ)

2以上の直通階段が必要かどうか・緩和できるかどうかは「5階以下か6階以上か」で大きく変わる。6階以上はすべての建築物で2つ必要(ただし緩和あり)。5階以下は用途・規模によって必要になるが、必要になったら原則として緩和不可。

この記事でわかること

  • 2以上の直通階段が必要な建築物(用途・規模別)
  • 5階以下と6階以上で設置基準と緩和可否が大きく異なる点
  • 緩和できる3条件(居室100㎡以下・有効バルコニー・屋外避難階段または特別避難階段)
  • 令122条の緩和と2以上の直通階段の免除は別物である点(よくある勘違い)
  • エッチな店(キャバレー・バー等)は5階以下でも緩和不可である点
そぞろ

2以上の直通階段は、とにかく5階以下か?6階以上か?が重要です。
なぜなら、必要になる建築物も、緩和条件も、この階数を境に様変わりするからです!

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2以上の直通階段が必要な建築物について

下記に該当する建築物の階は、直通階段を2以上設けなければならない

用途、規模階数
5階以下6階以上
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場客室、集会室のある階に必要居室があれば必要
物品販売業を営む店舗売り場のある階に必要(床面積の合計1,500㎡を超えるもの)居室があれば必要
キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー等客室のある階に必要居室があれば必要
病院、診察所、

児童福祉施設等

主要構造部準耐火構造or不燃材料主たる居室面積>100㎡の階居室があれば必要
その他主たる居室面積>50㎡の階居室があれば必要
ホテル、旅館、共同住宅、下宿、寄宿舎主要構造部準耐火構造or不燃材料宿泊室の面積、共同住宅の居室面積、寄宿舎の寝室面積>200㎡の階居室があれば必要
その他宿泊室の面積、共同住宅の居室面積、寄宿舎の寝室面積>100㎡の階居室があれば必要
その他の居室主要構造部準耐火構造or不燃材料居室面積>200㎡(避難階の直上階のみ400㎡)居室があれば必要
その他居室面積>100㎡(避難階の直上階のみ200㎡)居室があれば必要
※赤文字については、比較的使いやすい緩和規定有り
※緑文字については、緩和規定は法文上あるけど、実質使えない緩和規定

5階以上と6階以下で必要になる建築物が違う!

そうなんです!
そして、6階以上の建築物は居室があれば原則階段は2つ必要なんです!

階段が2つも必要になるだなんて、建築計画に非常に大きな影響を与えることとなります。ここは慎重に確認をするようにしましょう。

なお、計画すべき階段はあくまでも『直通階段』です。下記の記事で、定義を再確認しておきましょう。

2以上の直通階段の緩和について

2以上の直通階段は、5階以下で必要になった場合、原則緩和がない(えっちなお店を除く)

続けて、『緩和』についてです。

先ほどの表を確認していただきたいのですが、赤文字の要件で2以上の直通階段が必要になった場合しか、緩和できません。

赤文字以外で必要になったら絶対に必要です。つまり緩和ができません。

緩和できるのってほとんど6階以上の建築物なんだね!

そうなんです!5階以下で2以上の直通階段が必要になった場合、緩和が出来ないのです…

直通階段を緩和する為の要件について

表の赤文字部分の建築物については、以下3つ全て該当させれば、2以上の直通階段は適用除外

  • 各階の居室の床面積が200㎡以下(主要構造部準耐火構造or不燃材料の場合)
  • 避難上有効なバルコニーを設ける
  • 屋外避難階段、特別避難階段 いずれかを設ける

ここで、やってしまいがちなミスは『屋外避難階段、特別避難階段』の部分です。同じ避難階段でも、屋内避難階段では駄目です。屋外避難階段か特別避難階段にする必要があります。

避難階段については、下記の記事で確認をしてください。

2以上の直通階段には、一応かなり使いにくい緩和もある

表の緑文字部分の建築物については、下記のすべての条件を満たす場合には、2以上の直通階段は不要

  • 階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物
  • 階段とその他の部分を間仕切壁・戸+遮煙・閉鎖性能で区画をすること(ただし、児童福祉施設等については入所する者の寝室がある場合は、戸ではなく防火設備で区画)

こちらは、近年の法改正によって追加された緩和規定です。

ただ、正直に言います。
この緩和は、法文に書かれるから紹介していますが、あまり使えない緩和です…

ん?そうなの?
条件が厳しいってことなの?

そもそも、2以上の直通階段が必要になる建築物って、それなりに大きい建築物なんです。
だから、階数3以下200㎡以下に収まる可能性がそもそも低いんですよね…

条件にある、①が本当に厄介で。一応、主要構造部がその他になっている、2階建ての児童福祉施設で、2階の居室の面積が50㎡を超えているならまだ使えるかもしれません。でも、それ以外は使えないと思います。この緩和を追加した趣旨がよくわからないレベルで改善が必要な内容だと思います…

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まとめ

  • 6階以上:用途・規模問わず2つ必要、ただし緩和条件あり
  • 5階以下:用途・規模によって必要になるが、必要になったら原則緩和不可
  • 緩和3条件:①居室100㎡以下 ②避難上有効なバルコニー設置 ③屋外避難階段または特別避難階段の設置(すべて必要)
  • 令122条の緩和≠2以上の直通階段の免除。両者は別に判断が必要

根拠法文

記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。

令122条

根拠法文を確認する(クリックで展開)

建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(五階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えないものを除く。)
イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ五十平方メートルを超えるもの
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ百平方メートルを超えるもの
六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
イ 六階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が百平方メートルを超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第百二十三条第二項又は第三項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
ロ 五階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては二百平方メートルを、その他の階にあつては百平方メートルを超えるもの
2 主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「五十平方メートル」とあるのは「百平方メートル」と、「百平方メートル」とあるのは「二百平方メートル」と、「二百平方メートル」とあるのは「四百平方メートル」とする。
3 第一項の規定により避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路の全てに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の二分の一をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。
4 第一項(第四号及び第五号(第二項の規定が適用される場合にあつては、第四号)に係る部分に限る。)の規定は、階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満の建築物の避難階以外の階(以下この項において「特定階」という。)(階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)と当該階段の部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とが間仕切壁若しくは次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める防火設備で第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されている建築物又は同条第十五項の国土交通大臣が定める建築物の特定階に限る。)については、適用しない。
一 特定階を第一項第四号に規定する用途(児童福祉施設等については入所する者の寝室があるものに限る。)に供する場合 法第二条第九号の二ロに規定する防火設備(当該特定階がある建築物の居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた場合にあつては、十分間防火設備)
二 特定階を児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものを除く。)の用途又は第一項第五号に規定する用途に供する場合 戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

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