単体規定

【無窓居室】採光、換気、排煙、無窓になった場合どうなるか

今回は『無窓居室』についての記事です。

 

無窓居室の検討と言ったら、3点セットです。

それは、採光、換気、排煙

この3点の無窓居室の検討を行い、できるだけ無窓にならないように計画しますよね。

 

そこで、このどれかが無窓になった場合、どういう事が起こるか知っていますか?

それはもう、色んな方面から建築基準法の制限が出てきます。

しかし、無窓になってしまっても、工夫をすれば、建築基準法に適合させる事は可能だったりします。

 

そこで今回は、無窓居室になってしまった建築物の制限の内容と、適合方法について解説します。

 

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

採光無窓になってしまった場合

採光無窓は、3つの中で1番難しいです。

何故なら、採光無窓の検討って法文上3つも出てくるから。

 

よって、

採光無窓になってしまったら、3つの法文を確認する必要があります。

 

その法文とは、法第28条、法第35条、法第35条の3です。

まとめると、以下のようになります。

▼採光無窓については、難しく奥が深いので、別の記事で詳細な記事があります。

 

記事中でも解説していますが、採光無窓になった時にどうしても適合が難しいものを2つご紹介します。

 

1つ目、住宅系(一戸建て住宅、共同住宅)は法第28条が厳しいです。

なぜなら、そもそも採光無窓にしてはいけないから。

キツイというか、真っ向勝負で挑むともう無理かもしれません。

 

2つ目は、木造住宅は法第35条の3が厳しいです。

なぜなら、法第35条の3は採光無窓になってしまった場合、耐火構造で区画するか、主要構造部を不燃材料にしなければならないから。

これは、木造だとかなり難しいですよね。

 

換気無窓になってしまった場合

換気無窓になってしまった場合は、なんとかなります。

無窓になってもそんなに焦らなくて大丈夫です。

まずは、法文で換気無窓について確認してみましょう。

 

建築基準法第28条 居室の採光及び換気

(省略)

 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。

(省略)

 

 

換気無窓かどうかの検討方法は?

全ての居室に対して、検討します。

居室の床面積/20以上の換気上有効な開口部を設ければ換気無窓にはならない

 

換気無窓になってしまった場合の検討方法は?

その場合、法第28条より、

『政令で定める技術的基準に従って換気設備(令第20条の2)』を設置してください。

要は、設備の設置さえ出来て仕舞えば、なんとかなるという事です。

令第20条の2に定める換気設備は4つです。

令第20条の2に定める換気設備

①自然換気設備(令第20条の2第1号イ)

②機械換気設備(令第20条の2第1号ロ)

③中央管理方式の空気調和設備(令第20条の2第1号ハ)

④国土交通大臣の認定を受けたもの(令第20条の2第1

このいずれかの換気設備を設ける事が出来れば、換気無窓になっても法適合です。

 

排煙無窓になってしまった場合

排煙設備になってしまった場合も、なんとかなります。

それは、ずばり適合させなくてはならないものは2つだけ。

①『排煙設備』(令第126条の2)を設置

②『敷地内通路1.5m(令第128条)』を確保

排煙無窓かどうかの検討は?

全ての居室に対して、検討します。

居室の床面積/50以上の排煙上有効な開口部を設ければ排煙無窓にはならない

そもそも、何故排煙無窓の検討をしているのか?

このブログでも以前から何度も口酸っぱく話をしているのですが、

『排煙無窓の検討をしている理由は、排煙設備を設置させない為』

▼下記の記事で詳しく解説しているんですが、

排煙設備が必要な建築物は、以下のいづれかの建築物です。

法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500m2を超えるもの

階数が3以上で延べ面積が500m2を超える建築物

第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室

延べ面積が1,000m2を超える建築物の居室で、その床面積が200m2を超えるもの

この中の3番目、『第116条の2第1号第二号に該当するその他の開口部を有しない居室』というのが、いわゆる『排煙居室になってしまった居室』なんです。

だから、排煙無窓になったら『排煙設備』を付けちゃえばいいんです!

 

排煙無窓の検討と、排煙設備の検討の違いについて

排煙無窓?排煙設備?紛らわしい!検討方法の違いはなんなの?

そう、これ、めっちゃ紛らわしい!だから、別の記事にまとめています。

上記の記事で解説していますが、この2つの検討

似てるようで、全然違います。

よく混ざって混乱している方がいるので、しっかり確信しましょう!

 

排煙設備なんて設置したく無い場合は

排煙設備の設置できない方は、『排煙設備の免除』で適合させる事も可能です。

流れとしては、

排煙無窓になってしまった→排煙設備が必要→その排煙設備を免除する

だから、排煙無窓になっても、排煙設備の免除に合致させればokです。

▼排煙設備の免除については、以下の記事で解説しています。

 

おまけで、敷地内通路1.5m確保もしなれけばならない

『排煙設備』設置以外に、

令第128条つまり、『敷地内通路1.5m』も排煙無窓はかかってきます。

なんでいきなり敷地内通路の話が出てくるのよ?
それは、令第127条に記載があります!

建築基準法施行令第127条より

この節の規定は、法第35条に掲げる建築物に適用する。

この節というところに令第128条の記載があります。そして、法第35条に掲げる建築物の中に『第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室』も含まれているのでかかってきます。

忘れがちなところですが、しっかり抑えておきましょう。

 

まとめ:無窓居室になっても採光以外はなんとかなる

採光無窓→法第28条、法30条、法第35条の3のすべてに適合させなければならない

換気無窓→換気設備を設ければok

排煙無窓→排煙設備と敷地内通路1.5mを設ければok

並べてみると、採光無窓がどれだけハードル高いかがわかりますよね。

採光だけは法文が3つあったり、

適合のハードルが厳しい条文(法第28条、法第35条の3)があったりします。

 

無窓居室の中でも、『採光は要注意』という事は覚えておきましょう!

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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