どんな違いがあるの?
こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。
まずは、結論からまとめると、
✔︎大規模の修繕とは一の主要構造部の過半を『同じ材料』で以前と同じように復旧する事
✔︎大規模の模様替とは一の主要構造部の過半を『新しい材料』でつくり替える事
✔︎主要構造部とは、構造的に主要ではなく、防火的に主要という意味
✔︎大規模の修繕、大規模の模様替に該当した場合、確認申請の手続きが必要になる
また、主要構造部の意味合いをしっかりしていないととんでもない勘違いをしてしまう可能性があるので、合わせて紹介します。
では、早速解説していきます!
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指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
大規模の修繕、大規模の模様替の定義とは?
✔︎大規模の修繕とは一の主要構造部の過半を『同じ材料』で以前と同じように復旧する事
✔︎大規模の模様替とは一の主要構造部の過半を『新しい材料』でつくり替える事
法文で根拠確認
大規模の修繕
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
大規模の模様替
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。
主要構造部とは?
✔︎主要構造部とは、壁、柱、床(最下階の床を覗く)、はり、屋根、階段
✔︎構造的ではなく、防火的な主要構造部
主要構造部については、当サイトで詳しく解説しているので確認してみてください。
主要構造部は『防火上』の観点のもの
実は、勘違いが多いのが『屋根葺き替え』です。屋根は主要構造部なので過半以上であれば大規模な修繕か大規模の模様替になります。しかし、構造上だと勘違いし、屋根なら不要と間違えてしまう方が多いです。念のため、注意しましょう。
一の主要構造部の過半とは?
どういう事?
いくつかの例で説明しましょう。
柱・梁の過半とは?
建築物全体の柱・梁の総本数の過半を超えた場合に該当
壁の過半とは?
建築物全体の壁総面積の過半を超えた場合に該当
外壁?間仕切壁?
一般的には、防火上の観点から、耐火要求される壁、防火区画の壁、防火上主要な間仕切壁とされています。
屋根の過半とは?
水平投影面積の過半を超えた場合に該当
大規模の修繕、大規模の模様替に該当した場合の法規
✔︎大規模の修繕、大規模の模様替に該当した場合、確認申請の手続きが必要になる
法文で根拠確認
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
まとめ:違いは『材料』を同じにするか、新しくするか
最後に、再度要点をまとめたので確認ください。
大規模の修繕 | 一の主要構造部の過半を『同じ材料』で以前と同じように復旧 |
大規模の模様替 | 一の主要構造部の過半を『新しい材料』でつくり替える事 |
✔︎主要構造部とは、構造的に主要ではなく、防火的に主要という意味
✔︎大規模の修繕、大規模の模様替に該当した場合、確認申請の手続きが必要になる
最後までありがとうございました!