建築基準法

建築基準法上の『階数』の定義|『階』の違いについて【令2項1項八号】

階数の定義って何?階との違いは?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

階とは、一般的に人が立ち入ることができる空間を有していること

階数とは、階から所定の建築物の部分を除いたもので、地上及び地下の階数を合計した数値

階数と階の違いは、法文に書かれていないのでわかりにくいです…

今回の記事では、具体例を出して、わかりやすく解説していきます!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

『階』と『階数』の定義と違い

『階』と『階数』の定義について

建築基準法に定めはないが、一般的には以下の要件を満たしたもの

  • 一般的に人が立ち入る事ができる空間を有していること
  • 高さが1.4mを超えていること
  • 原則、屋根または床を有していること

階数令2条1項八号により、建築物の部分ごとに地上及び地下の階数を合計した数値。ただし、所定の条件を満たした屋上部分・地階の場合は、階数から除くことが可能(後述)

結局、これだけだと『階』と『階数』の違いがよくわからない
以下のようなイメージが大事!要は、『階』という大枠から、所定の条件を満たした屋上部分を除いたものが、『階数』となります!

所定の条件を満たした屋上部分・については、下記の通りです。

階数に算入しない所定の条件を満たした屋上部分とは?

以下2つ両方の条件を満たした建築物の部分は、階数に算入されない

以下のいずれかに該当する屋上部分であること

  • 昇降機塔、装飾塔、物見塔
  • 屋上部分の利用のための階段室
  • 昇降機の利用のための乗降ロビー
  • 用途上、機能上及び構造上、屋上に設けることが適当な各種機械室
  • 上記に付属する階段室等

または、以下のいずれかに該当する地階であること

  • 倉庫
  • 機械室
  • その他これらに類する建築物の部分

これらの建築物の部分で、水平投影面積の合計が建築面積の1/8以下であること

住宅によく計画されるペントハウス(塔屋)などが該当しますね。これらの建築物は、階には入りますが、階数には入らないということです!

「階数」は法文に定義がある

「階数」の法的な定義は以下になります。

建築基準法施行令第2項1項八号

階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の八分の一以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階数のうち最大なものによる。

 

「階数」は建築物の部分ごとに地上及び地下の階数を合計した数値です。

地上に限定する場合は「地上を除く」と法文で表現されています

「階」と「階数」の法的な違いとは?

「階」は階数・高さのカウントからは除かれますが、床面積には算入されます。
要するに、『階数に算入しない所定の条件を満たした屋上部分』というのは、高さと階数には算入されなくても、床面積には算入しなくてはならないということです。
どうして、床面積だけ算入しないといけないの
それは、『階数』と『高さ』からは除ける旨の表記がありますが、『床面積』には除ける表記がないからです…

階数から除けるという根拠については、先ほどご紹介した『令2条1項八号』に定義されています。

建築基準法施行令第2項1項六号

建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。

イ (抜粋)

ロ 法第三十三条及び法第五十六条第一項第三号に規定する高さ並びに法第五十七条の四第一項、法第五十八条及び法第六十条の三第二項に規定する高さ(北側の前面道路又は隣地との関係についての建築物の各部分の高さの最高限度が定められている場合におけるその高さに限る。)を算定する場合を除き、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(法第五十五条第一項及び第二項、法第五十六条の二第四項、法第五十九条の二第一項(法第五十五条第一項に係る部分に限る。)並びに法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合には、五メートル)までは、当該建築物の高さに算入しない。

ハ (抜粋)

条件は若干異なりますが、階数に算入しない建築物の部分は、高さからも除くことができます。

ところが、床面積については以上のような除かれる規定は無いので、算入されるのです。

基準法の階数 高さ 床面積
「階数」 算入する 算入する 算入する
「階」 算入しない 算入しない(※1) 算入する

※1 全ての高さに算入しなくていいわけでは無い。道路斜線、隣地斜線、最高高さ等からは12mを限度に算入されない。

まとめ:「階」は「階数」には該当しないが床面積には算入すべし

「階」と「階数」の違いについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。意識せずとも使い分けをできている方もいらっしゃたんじゃ無いでしょうか。

注意点としては、たまにさらっと「階」に該当してくるケースがあり、面積に参入しなければならない事があります。

例をあげると、地下の設備点検スペースを人が立ち入るできるなら「階」にすべきなのではという考えもできてしまいます。

ちなみに、「階数」には点検スペースはそんなに広く無いと思うので建築面積の1/8以下には抑えられているので含まれる心配はそこまで無いと思いますが、床面積には含まれてくるので、容積率ギリギリの時は少し気にした方がいいかもしれませんね。

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

PR