建ぺい率容積率

【車庫や備蓄倉庫の容積率緩和】係数や計算方法まとめ

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今回は『容積率の緩和』についての記事です。

 

もっと詳しく言うと、『容積率の対象から除かれる面積』についての記事です。

建築基準法では、ある条件を満たした用途は、容積率の計算の対象から除く事ができます。

つまり、その分大きな建築物を作る事ができると言う事。

 

私も実務で車庫や備蓄倉庫、住宅の地下を設ける時に容積率の緩和をよく使うのですが

『あれ?緩和の係数いくつだっけ』

とよくど忘れしてしまうので、今回は緩和の係数とその計算方法についてまとめました。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

容積率の緩和係数について

早速ですが、容積率の対象から

除く事ができる用途 と その係数 についてです。

一覧表にしてまとめてみた

(建築基準法第52条第3項及び第6項、建築基準法施行令第2条四号より)

用途 係数
自動車車庫等部分 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分 1/5
備蓄倉庫部分 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分 1/50
蓄電池設置部分 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分 1/50
自家発電設備設置部分 自家発電設備を設ける部分 1/100
貯水槽設置部分 貯水槽を設ける部分 1/100
宅配ボックス設置部分 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分 1/100
昇降機の昇降路の部分 エレベーター(施行令第135条の16より) 全て
共同住宅若しくは老人ホーム等共用の廊下若しくは階段の用に供する部分 全て
地下の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分 1/3

まとまるとかなりの量になりますね。

以上に掲げている部分については容積率の対象から外す事が可能です。

 

実際に、係数を利用して計算をしてみる

一部の用途が容積対象から除かれるっていうのはなんとなくわかったけど

係数が書いてあるのがあるんだけど

係数ってなんの事?計算って?

係数っていうのは、除く事ができる限度を定めているって事

今から、計算方法を紹介します!

先ほどお話しました、容積率の計算から除く事ができますと。

 

ただ、除く面積にも限度を定めているんです。

そこで、係数の話です。

敷地全体の延べ面積に係数をかけた数値が容積率の対象から除く事ができる限度になります。

よくわからない?という方に向けて、実際の計算を見てみましょう。

例題1:車庫の方法

全体の延べ面積:500㎡(この面積は車庫を含めた全体の面積)
車庫の面積:150㎡上記の表より、
車庫は容積率から除く事ができる用途⬇︎容積率の限度の係数は1/5

⬇︎

500×1/5=100
『100㎡』まで緩和可能

⬇︎

車庫面積150㎡のうち、100㎡までは緩和可能
車庫面積は50㎡は容積対象に含める

⬇︎

車庫以外の面積(350㎡)+車庫面積(50㎡)=400
つまり、容積率の計算は400㎡で計算できる

計算はこのようになります。

 

この時、ポイントとしては、あくまで×1/5するのは、敷地全体の延べ面積です。

◆緩和の対象である車庫の面積は含める事

◆建物が10個あろうが、100個あろうが、合計の延べ面積

でいいんです。

 

実務で確認しやすいとこだと、確認申請書3面のここの数値に係数をかけて計算してください。

この面積で係数の計算すれば、間違い無しです。

 

例題2:備蓄倉庫の計算方法

備蓄倉庫も車庫の計算と同じでokです。

係数が違うだけですが、念のために確認しましょう。

全体の延べ面積:500㎡(この面積は備蓄倉庫を含めた全体の面積)
備蓄倉庫の面積:5㎡上記の表より、
備蓄倉庫は容積率から除く事ができる用途

⬇︎

容積率の限度の係数は1/50

⬇︎

500×1/50=10
『10㎡』まで緩和可能

⬇︎

備蓄倉庫5㎡のうち、10㎡までは緩和可能
備蓄倉庫は全て容積率の対象から除く事が可能(0㎡)

⬇︎

備蓄倉庫以外の面積(495㎡)+備蓄倉庫面積(0㎡)=495
つまり、容積率の計算は495㎡で計算できる

同じですよね?

備蓄倉庫の容積率の緩和は技術的助言が出ています。

そちら、他の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

 

ちなみに、あくまで容積率の対象から除く事ができるだけ

よくあるのですが、今回ご紹介したものは、あくまで容積率の対象から除く事ができるだけです。

どういうことかというと、

他の法規制は含めて検討する必要があるという事。

 

例えば、防火地域内では100㎡を超えると、耐火建築物にしなければなりませんよね?

この100㎡を超えるかどうかという話は、車庫や備蓄倉庫、すべて含めてください。

なぜなら、面積を除く事ができるのは、容積率の計算の時のみだから。

混乱しますが、しっかり区別して法適合を確認しましょう!

 

まとめ:容積率から除けるものは、係数に注意

今回は、『容積率の緩和』についての記事でした。

忘れないでください、係数について。もう、これ大事。

係数を忘れてしまうと、全ての面積を除いてしまうというミスをしてしまうかもしれません。

もちろん、共同住宅の廊下のように、全ての面積を容積対象から外す事ができますが、

車庫とか備蓄倉庫はこの係数を忘れがちです。

ギリギリの計画だと、このミスが命取りになり兼ねないので、慎重に確認するようにしましょう!

ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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