建築基準法第2条第二号
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
特殊建築物とは、簡単に言うと『建築基準法の規制を強く受ける用途』です。
特殊建築物と聞いてどんな用途を思い浮かべますか?不特定かつ多数の者が利用する用途(学校や福祉施設)という印象を持つ方が多いかもしれませんね。しかし、実際には特殊建築物としての指定を受けるのは『不特定かつ多数の利用する』に限られません。他にも特殊建築物として指定を受ける理由は有り、全部で6つです。
その理由に応じて、特殊建築物の中でも6つの分類があり、規制内容も異なってきます。
今回はそちらを含めて特殊建築物について確認していきます。
特殊建築物の定義
特殊建築物の用語の定義は『建築基準法第2条第二号』定義されています。
しかし、こちらに記載されている特殊建築物は一般的な定義に過ぎないので、実際の所は『建築基準法別表第一』と『建築基準法施行令第115条の3』を合わせて3つの法文から確認する事になります。
特殊建築物の分類一覧表(法第27条メイン)
区分 | 用途 |
(1)不特定・多数(集中)
施行令…未制定 |
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 |
(2)宿泊・就寝
施行令条115条の3第一号
|
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎
児童福祉施設等 |
(3)特定・多数
施行令条115条の3第二号 |
学校、体育館
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 |
(4)不特定・多数
施行令条115条の3第三号 |
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場
公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が10m2以内のものを除く。) |
(5)火災荷重大
施行令…未制定
|
倉庫 |
(6)火災危険大
施行令条115条の3第四号 |
自動車車庫、自動車修理工場
映画スタジオ又はテレビスタジオ |
特殊建築物の分類による、法規の違い
避難規定(法第35条)は別表(1)〜(4)しか該当しない
避難規定は別表(1)〜(4)の用途しか規制されない事になっています。つまり、人が利用用途という事ですね。
別表(5)(6)は人の利用はあまり考えづらいので、避難規定の規制は受けない事になっています。
主要構造部の制限(法第27条)は別表によって規制される規模が異なる
要は、耐火建築物や準耐火建築物の制限についてです。こちらについては(1)〜(6)それぞれ制限されている規模が異なりますので個別に確認する事が必要です。
手っ取り早く特殊建築物の確認したい方はここを!
以外のサイトを参考してください。
特殊建築物かどうかの判断も一目瞭然です。
先程ご紹介した、特殊建築物の種類もわかりやすいので、是非確認ください。
特殊建築物に該当したら確認すべき条文
条文の確認の前に、非常に重要なのが、確認申請の要否を大きく分ける可能性がある事。
そちらについては、以下の記事で解説しているので、確認してみてください。
◆法第27条(耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物)
◆法第35条(特殊建築物等の避難及び消化に関する技術基準)
◆法第35条の2(特殊建築物等の内装)
◆法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)※用途変更の場合のみでok
上記の条文は必ず確認するようにしてください。
そして、法適合を確認する時に注意して欲しいのですが、
それは、口酸っぱく言っていますが、別表第一(1)〜(6)のどれに該当するかで
それぞれの条文の法適合が必要かどうか変わってくるから。
まとめ:建築基準法の分類を理解して法適合を確認すべし
建築基準法を読むとすぐ気がつくのですが、この別表(1)〜(6)の分類は条文の中で多用されています。
建築基準法の適合確認において、特殊建築物かどうか?を判断する事はもちろんですが、
この特殊建築物はどの中でもどの分類なのか?を判断する事も非常に重要です。
この点を意識して法適合を確認していきましょう。