さて、今回は『ペントハウス(塔屋)の形状』についての記事です。
一戸建て住宅にペントハウスの計画をする時に、疑問に思った方もいるのではないでしょうか?
なぜ、ペントハウス(塔屋)は屋根面から突出させなけらばならないのか?
大屋根の中にペントハウス作ってもいいんじゃないのか?
よく、言われます。
『ペントハウス(塔屋)は突出させなさい!なんて法文に書いてないですよね?』
ってね。
確かに、法文には明確に書かれていません。
でも、結局のところ突出させないと、算定上おかしくなるところが出てきます。
だから、『ペントハウス(塔屋)=屋根面から突出』という結論に落ち着くのです。
今回は、そんな形状が悩ましいペントハウス(塔屋)などの条件をまとめてみました。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
ペントハウスとは?該当させる条件は?
ペントハウスとは、建築基準法施行令第2条より、階数と高さに算入不要な部分(床面積は入る)
法文でも、確認してみましょう。
建築基準法施行令第2条第八号 階数 昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。また、建築物の一部が吹抜きとなつている場合、建築物の敷地が斜面又は段地である場合その他建築物の部分によつて階数を異にする場合においては、これらの階のうち最大なものによる。
以上より、
ペントハウスに該当させる条件は、2つあります。
①昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分である事
②屋上部分の水平投影面積≦建築面積の1/8
赤で線を引いたところが非常に重要です。
この屋上部分の水平投影面積っていうのが非常に重要なんです。
この水平投影面積が、大屋根の中に含めた場合などに算定が大変な事になるんです。
屋上部分の水平投影面積ってなに?床面積との違い
屋上部分水平投影面積とは、『建物の屋上部分を水平面に投影した時の面積』です。
『屋上部分の水平投影面積』とは、みなさんがいつもやっている『建築面積』の考え方と一緒です。
『屋上部分の水平投影面積』は、『建築面積』を求める方法と一緒なんです。
それは、法文でも確認する事ができます。(法文でしっかり確認したい方の為に書いておきます)
建築基準法施行令第2条 (省略) 4 第1項第六号ロ(ペントハウスの高さの法文)又は第八号(ペントハウスの階数の法文)の場合における水平投影面積の算定方法は、同項第二号の建築面積の算定方法によるものとする。
結論を言うと、
それを頭に入れて、『なぜ突出させなければならないのか?』を考えてみましょう。
なぜ、ペントハウスは屋根面から突出させなければならないのか?
さて、ここまで読んだ方なら、もう見当はついているのでは無いでしょうか。
では、『屋上部分を地面として見立てた建築面積』を求めてみましょう。
一般的なペントハウスの形状の場合
青部分が屋上部分とすると、赤部分が建築面積です。
これだったら、赤部分は大きく無いので、建築面積(全体)の1/8以下に抑える事ができそうですよね。
突出させていない形状の場合
先ほどと同様に、青部分が屋上部分とすると、赤部分が建築面積です。
さて、これって建築面積(全体)の1/8以下に抑える事ができますか?
無理ですよね?
あまりにも、大きすぎますよね。
突出させないと屋上部分水平投影面積を建築面積(全体)の1/8以下にする事ができないんです。
だから、突出させなければならないのです。
まとめ:ペントハウスはやっぱり突出させるべし
ペントハウスの条件とは、2つあります。
〈ペントハウスに該当させる2つの条文〉
①昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分である事
②屋上部分の水平投影面積≦建築面積の1/8
『屋上部分を地面として見立てた建築面積』として算定し、
建築面積(全体)の1/8以下になるように検討してください。
そこで『屋上部分を地面として見立てた建築面積』として算定すると、
大屋根にペントハウスを含めると、建築面積(全体)の1/8以下するのはほぼ不可能とわかるはず。
だから、屋根面から突出が必要なんです。
そちらをしっかり押さえて、計画をしましょう!