建築基準法

改築とは?|増築・新築・改修との違い、確認申請の有無は?

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改築ってなに?

改築は、増築・新築・改修とは何が違うの?

改築に該当した場合、確認申請は行う必要があるの?

新築ではなく、あえて改築として申請をするメリットは?

こんなお悩みに、答えます!

まずは結論から…

改築とは、建築物の全部・一部を除却し、同じ用途・規模・構造が著しく異ならない建築物を建てること

増築・新築・改修とは、具体的に以下の違いがある

  • 増築→建築物を除却せず、新たに建築物を築造すること
  • 新築→更地の敷地に建築物を建てること
  • 改修→建物の構造はそのままで、壁紙を張り替えやキッチンを更新する工事

四号建築物以外の建築物を改築する場合、原則として、確認申請が必要となる

改築は、確認申請上は、新築と表記してもOK。あえて改築した場合には、以下のメリットを受けるため

  • 改築の場合、防火・準防火指定のない10㎡以内の場合、確認申請が不要となる(新築の場合は必要)
  • 改築の場合、既存不適格建築物の緩和が使える(新築の場合は使えない)

改築とは、建築行為の一種なので、確認申請や建築基準法の適合が必要となります。ただし、その特徴として、新築ほど厳しい法規制の適用はないということが言えます。

今回の記事を読めば、改築とはどんなものなのか、すっきりわかるはずです!(X:sozooro

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

改築とは?【建築基準法上の定義】

改築とは、4つある建築行為(新築・増築・改築・移転)の一つ(法6条1項十三号)。

改築の定義とは、建築物の全部・一部を除却し、同じ用途・規模・構造が著しく異ならない建築物を建てること

建築基準法には、建築という言葉が定義されています。建築に該当すると、確認申請が必要になったり、建築基準法の適用を受けることとなります。

文字で説明されても、あまりイメージが湧かないかも。

わざわざ建築物を壊して、同じ用途・規模・構造にすることってあるかな?

改築は、被災した建築物を対象として行われることが多いです!
確かに、被災した建築物なら、同じ用途・規模・構造にするかも…
改築とした場合、後ほど紹介しますが、更地から建築物を建てる新築よりかは、法適合させやすいというメリットがあります。

被災した建築物を建てやすくするために用意されているのが、改築です

改築とは、リフォームとは全く異なる建築行為

リフォームは、原則として、構造の躯体をいじらない行為。改築とは全くの別物となる

リフォームは原則として、建築物の重要な躯体部分をいじりません。この場合、改築の行為には該当しません。

リフォームは、確認申請も不要なので、比較的工事が行やすいものとなっています!

増築・新築・改修との違いとは?

『改築』と『増築・新築・改修』とは、以下のような違いがある

既存の建築物 新しい建築物
改築 一部壊す・全部壊す 既存とほぼ同じ
新築 全部壊す 既存とは異なる
増築 残したまま 既存に加えて築造する
改修 壊さない 既存とほぼ同じ
要するに、

①『既存の建築物』はどんな状態か

②『新しい建築物』はどうするか

の2つで判断できます!

それぞれについて、詳しく比較をしていきましょう。

増築との違い

増築は、既存建築物を残したまま、築造をすること

改築は、既存部分を壊し、既存と同じ状況に戻すこと

こういった形で比較をすると、改築の場合は、既存と同じ状況にするというのが大きなポイントだとわかります。これは、増築では出てこないキーワードです。

ただし、後ほど解説しますが、増築と改築は建築基準法上の扱いはほとんど同じです。

確認申請の緩和や、既存建築物の遡及の緩和などが受けられることは一緒です。後ほど詳しく解説します。

新築との違い

新築は、更地に対して、まったく新しい建築物を建てること

改築は、既存の建築物を壊し、既存と同じ状況に戻すこと

新築は、更地に対して新しい建築物を建てるので、既存建築物の状況は関係ありません。一方、改築の場合は、既存の状況に戻す必要があります。

改修との違い

改修は、既存建築物の躯体を原則として壊さない

改築は、既存の建築物を壊し、既存と同じ状況に戻すこと

そもそも、改修とは建築基準法で定義されている用語ではありません。ただし、一般的には躯体をいじらないで、内装などをやりかえることを指します。

改修の場合は、後ほどご紹介する確認申請などを行う必要はありません。一方、改築の場合は、確認申請などが必要となる場合があります。

改築を行う場合の法規制

改築を行う場合、原則として

  • 確認申請を行う必要がある
  • 既存部分も含めて、現行の建築基準法に適合させる必要がある
ただ、原則あるところに例外あり…!

例外として、上記2つを適合させる必要がないケースもあります!

例外①10㎡未満であれば、確認申請が不要

防火地域、準防火地域外の合計10㎡以内の増築、改築、移転は確認申請不要

改築であれば、防火地域、準防火地域外で行う場合、10㎡以内であれば確認申請不要です。

ただし、①防火地域/準防火地域内で改築を行う場合

②10㎡を超える場合

については、通常通り確認申請が必要です。

詳しくは、以下の記事を確認してください。

例外②所定の条件を満たせば、既存部分は現行法の適用なし

法86条の7の条件を満たした場合、既存建築物に対して現行法の適用は受けない

改築を行った場合、原則として、既存部分を含め建築基準法に適合させなくてはなりません。

しかし、改築の場合、所定の条件をみたすことで、既存部分に関しては、現行の建築基準法の適用を受けない、という緩和を受けることが出来ます。

詳しい内容は、法86条の7と、下記の記事を確認してみてください!

建築基準法で『改築』を確認する

最後に、改築についての法文である、建築基準法2条十三号を確認してみましょう!

建築基準法2条十三号

建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

まとめ

✔️改築とは、建築物の全部・一部を除却し、同じ用途・規模・構造が著しく異ならない建築物を建てること

✔️改築に該当した場合

  • 原則として確認申請が必要

ただし、防火地域、準防火地域外の合計10㎡以内の増築、改築、移転は確認申請不要

  • 原則として、既存の建築物も現行法の適合が必要

ただし、法86条の7の条件を満たした場合、既存建築物に対して現行法の適用は受けない

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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