- 北側斜線 天空率は使えない事があります!
- 高度斜線 天空率は原則として使えません!
法チェックの中でも重要項目である高さ制限。確認申請前には必ず検討する部分かと思います。道路斜線、隣地斜線、北側斜線、そして高度斜線。
もし、斜線が抵触していた場合、天空率で適合させる事を考えますよね?
道路斜線、隣地斜線についてはどんな条件でも適用できます。
しかし、北側斜線についてはある条件下でしか天空率の適用ができず、高度斜線にあっては天空率の適用自体ができません。
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それは、法的に使えない理由があるからです。今回はどうして北側斜線天空率は使えないのか?解説をしていきます。
高度斜線は天空率の緩和が適用不可
天空率の法文は、法第56条第7項です。ここで、本文を確認してみましょうか。
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
一 第1項第一号、第2項から第4項まで及び前項【道路斜線検討】(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 前面道路の反対側の境界線上の政令で定める位置
二 第1項第二号、第5項及び前項【隣地斜線検討】(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 隣地境界線からの水平距離が、第一項第二号イ又はニに定める数値が一・二五とされている建築物にあつては十六メートル、第一項第二号イからニまでに定める数値が二・五とされている建築物にあつては十二・四メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
三 第1項第三号、第5項及び前項【北側斜線検討】(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 隣地境界線から真北方向への水平距離が、第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物にあつては四メートル、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては八メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
確認してみるとわかりますが、法文上道路斜線、隣地斜線、北側斜線についての記載がありますが、高度斜線の記載がありません。
よって、原則として高度斜線には天空率は使えません。
よく、東京都で、第1種低層住居専用地域に第2種高度地区を指定している地域を見かけます。第1種低層住居専用地域の北側制限と第2種高度地区は5mの立ち上がりから1.25勾配と条件としてはほぼ変わりません。(東京都の場合、8mを超えると0.6勾配に変動しますので若干東京都の方が厳しいですが)
どうしてわざわざ北側斜線があるのに同じ条件の高度地区を指定しているんでしょうか?それは、北側斜線の天空率を禁止しているからかもしれません。
もちろん、このケースだと高度斜線には天空率が適用できません。高度斜線が抵触していた場合は素直に建物形状を変更するしかないです。
北側斜線天空率は北側に道路があったら適用不可
では、北側斜線を見ていきましょうか。高度斜線とは違い、北側斜線には法第56条を確認すると天空率の条文が用意されているので特に気にせず適用できそうですよね?
ここで、法第56条第7項第三号の北側斜線の部分を見て見ましょう。
三 第1項第三号、第5項及び前項【北側斜線検討】(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。) 隣地境界線から真北方向への水平距離が、第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物にあつては四メートル、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては八メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
赤色に着色した部分、隣地境界線となっていますよね?つまり、真北側が道路境界線であった場合、天空率が適用できなくなるのです。
例をあげると…
天空率が適用できない敷地↓
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天空率が適用できる敷地↓

たまに行政によっては仕方がなく認めているところはあるみたいですが、今の表記方法だと法的には認められていないですし、適用できないと思った方がいいです。
法文が改正されるといいですね。
ちなみに、道路斜線と隣地斜線は?
適用できないケースはありません。どんどん天空率で検討してください。
道路斜線と隣地斜線についてはさらに後退緩和を利用する事が可能です。
そう言った意味でも北側斜線や高度斜線よりかはなんとかなる方法がいくつかあると言えるでしょうか。
ただし、道路斜線については道路が2方向接道だった場合にかなり厳しくなるケースがあります。
そちらについてはまた別の記事でまとめたいと思います。
まとめ:高度斜線と北側斜線の高さ制限のチェックは慎重にすべし
高さ制限には様々な緩和がありますが、圧倒的に緩和の数が多いのは道路斜線、隣地斜線です。
また、 道路斜線、隣地斜線 と 北側斜線、高度斜線 の違いとして挙げられるのは塔屋部分でも斜線検討をしなければならないという事もあります。
圧倒的に後者の方が適合がさせにくいのです。良く注意して高さチェックをしましょう。