準耐火建築物の条件を教えて欲しい!
『イ凖耐』とか『ロ準耐』とか区分されているけど…なにが違うの?
こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
高い防火性能を持つ建築物の事です。ただし、『耐火建築物』よりかは、防火性能は劣ります。
準耐火建築物とは、簡単に言うと主要構造部等に所定の基準に適合』+『延焼ラインに防火設備』で成り立つ。
準耐火建築物は、『『主要構造部等に所定の基準に適合』の部分の適合のさせ方が異なります。
『イ凖耐』とか『ロ準耐』は、今回はわかりやすく解説していきます!twitter:sozooro)
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指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
『準耐火建築物』の基準とは?
以下2つどちらの条件も満たす建築物
準耐火建築物とは、- 『(イ)主要構造部を準耐火構造』又は『(ロ)令109条の3の基準』に適合する建築物
- 延焼のおそれのある部分に防火設備が設けられている事
単に主要構造部を準耐火構造にしたとしても、準耐火建築物にはならないということです。これに追加して、延焼ラインに防火設備の設置が必要となりますので、注意が必要です。
『イ準耐』と『ロ準耐』とは?
イ準耐 法文の法第2条第1項第九の三号(イ)に定める準耐火建築物
ロ準耐 法文の法第2条第1項第九の三号(ロ)に定める準耐火建築物
準耐火と言っても、大きく分けて2つに呼び分けられています。それは、イ準耐とロ準耐です。これらの呼び方は、単純に、法文により定められています。
後ほど解説しますが、イ準耐とロ準耐では、主として防火区画(面積区画・竪穴区画)の適用のされ方が異なります。
『イ準耐』の外壁・床等の条件とは?
イ準耐の主要構造部の条件とは?
主要構造部を準耐火構造とすること
主要構造部とは、『壁、柱、床(最下階の床を除く)、はり、屋根、階段』の部位のことです。
これらの部位を、準耐火構造にすれば、イ準耐の主要構造部の定義を満たすことが出来ます。詳しい内容は、以下の記事をご確認ください。
Q.イ-1準耐、イ-2準耐とは?
死語です。
イ-1準耐、イ-2準耐は、昔は、イ準耐の中でも、60分耐えられるものをイ-1準耐、45分耐えられるものをイ-2準耐としていました。しかし、法改正とともにこれらの用語は削除されたため、今はない言葉になります。
『ロ準耐』の外壁・床等の条件とは?
ロ準耐の主要構造部の条件とは?
主要構造部 | ロ準耐(令109条の3) | |||
ロ-1準耐(一号) | ロ-2準耐(一号) | |||
壁 | 間仕切壁 | 耐力壁 | ➖ | 準不燃材料で造る |
外壁 | 延焼ライン内 | 耐火構造 | 準不燃材料で造り、さらに防火構造とする | |
上記以外 | 準不燃材料で造る | |||
屋根 | 延焼ライン内 | 不燃材料で造るかふき、さらに準耐火構造等※1とする | 不燃材料でふき、その他の部分は準不燃材料で造る | |
上記以外 | 不燃材料で造るかふく | |||
床 | 3階以上の床 | ➖ | 準不燃材料で造り、さらに凖耐火構造等※2とする | |
2階以下の床(最下階を除く) | ➖ | 準不燃材料で造る | ||
柱・はり | ➖ | 不燃材料で造る | ||
階段 | ➖ | 準不燃材料で造る |
※1…告示1367号に定める構造
※2…告示1368号に定める構造
イ-1準耐、イ-2準耐は死語と言いましたが、ロ-1とロ-2は、現状でも使われるキーワードになります。ロ-1とロ-2かでも、法文の適用の受け方は変わってきますので、しっかり把握しておきましょう。
Q.ロ準耐は木造でも作れる?
ロ-2準耐は木造では作ることが出来ません。
ロ-1準耐は、木造でも作れる可能性はありますが、難しい問題があるので、現実的には厳しいでしょう
まず、ロ-2は、一部の主要構造部を凖不燃材料で作る必要があります。この条件が木造で満たすことが出来ないので、ロ-2では作ることが出来ません。
一方、ロ-1準耐はそのような条件がないので、作ることができるように感じます。しかし、外壁に対して、以下の取り扱いが出ており、難しいのが現状です。
外壁を耐火構造とした準耐火建築物(ロ準耐1)は、外壁やRC造やブロック塀などとし、内部の柱、はり等を木造とした建築物で、外部から延焼を防ぐとともに、内部火災によっても外壁が倒壊せずに燃え残ること(すなわち、自立する構造であること。)を想定している。
(建築物の防火避難規定の解説2016(第2版)p23より)
詳しくは、以下の書籍で確認をするようにしてください。
『イ準耐』と『ロ準耐』の違いは?
イ準耐 主要構造部を準耐火構造とする
ロ準耐 主要構造部を準耐火構造としなくても良い(あくまで令108条の3の基準に適合)
つまり、イ準耐火は主要構造部を適合させなければなりませんが、ロ準耐火は主要構造部でなくとも、外壁や屋根など一部の部材だけ適合させればいいという事です。
イ準耐とロ準耐の『竪穴区画』の違い
イ準耐 竪穴区画が必要
ロ準耐 竪穴区画は不要
実は、施行令第112条第一九号の竪穴区画、イ準耐火はかかるけど、ロ準耐火はかからないというものになります。それは、主要構造部に要求があるかどうか?というのが非常に重要です。
このあたりは別の記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください。
竪穴区画の規制については、以下の記事でどうぞ
イ準耐とロ準耐の『面積区画』の違い
面積区画のイ準耐とロ準耐の違いについて
構造※任意準耐火を除く | 面積区画の区画面積 |
イ凖耐(1時間以上) | 床面積≦1000㎡ |
イ凖耐(1時間未満) | 床面積≦500㎡(防火上主要な間仕切壁も必要) |
ロ-1凖耐 | 床面積≦500㎡(防火上主要な間仕切壁も必要) |
ロ-2凖耐 | 床面積≦1000㎡ |
面積区画については、イ凖、ロ凖の種類に応じて、面積区画の区画面積が異なります。任意の場合はまた違ったりするので、詳しくは以下の記事で確認をしてください。
準耐火建築物にしなければならない建築物かどうか確認するには?
建築基準法上だと、基本的には3つの条文を確認するようにしてください。
建築基準法で準耐火建築物の要求がある3つの法文
- 規模によって耐火建築物要求がある『法第21条』
- 用途によって耐火建築物要求がある『法第27条』
- 地域によって耐火建築物要求がある『法第61条』
基本的にはこの3つですが、他にも『地方公共団体の条例』などでも、要求がある事もあるので、そちらも注意したいですね。
建築基準法で『準耐火構造』を確認する
建築基準法第2条第1項第九の三号
耐火建築物以外の建築物で、イ又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。
イ 主要構造部を準耐火構造としたもの
ロ イに掲げる建築物以外の建築物であつて、イに掲げるものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの