単体規定

【法第22条区域とは】屋根、外壁の仕様と注意点についてまとめた

法第22条区域ってなに?

どこに指定されているの?どんな規制内容なの?

法第22条区域はわかるけど、法第23条区域は無いの?

こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。

✔️法第22条区域とは、市街地で火災の危険を防除するため、特定の行政庁により定められた地域

✔️法第22条区域は、準防火地域、防火地域以外に指定される

✔️法第22条区域は、建築基準法第22条の23条の両方が適用される

✔️建築基準法第22条より屋根。建築基準法第23条より外壁規制がある

ところで、法第22条はすべての建築物にかかる法文ですが、法第23条は一部建築物にしかかからないという事をご存知ですか?

これは、結構知らない方が多いです。

このように、簡単な法文に見えて、色々な内容が潜んでいる条文です。

twitter:sozooro

今回はそんな法第22条区域の屋根、外壁の仕様。そしてそれに関わる注意点についてまとめました。

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから
著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

まずは法文を確認する

建築基準法第22条

特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他こ れらに類する建築物又は延べ面積が 10 m²以内の物置、納屋その他これらに類する建築物 の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない

詳しく内容を確認していきましょう。

法第22条区域はどんな区域?

✔️特定行政庁が指定する区域

✔️防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定可能

法第22条は、特定行政庁が指定します。ただし、防火地域又は準防火地域には指定する事は出来ません。(法文の緑部分より)

法第22条:屋根の仕様

✔️法第22条区域の全ての建築物に法適合が必要

✔️屋根に規制が発生

さて、まずは法第22条の方ですが、こちらは全て建築物で法適合が必要です。木造、鉄骨、RC。関係ありません。

屋根に対する規制内容を簡潔にまとめると、

屋根に対する規制内容

火の粉による建築物の火災の発生防止の為に政令で定める技術的基準に以下2つのいずれかに適合

◆国土交通大臣が定めた構造方法

◆国土交通大臣の認定を受けたもの

いずれかでokです。それぞれの内容を確認しましょう。

国土交通大臣が定めた構造方法

まず、国土交通大臣の構造方法です。この国土交通大臣の基準は

法第22条→施行令第109条の8→告示1361号→法第62条→施行令第109条の2の2→告示1365号と読み進めれば辿り着けます。(遠回りさせすぎ)

建告1365

①不燃材料で造るか、又はふくこと

②準耐火構造にする事

③耐火構造にする事


建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第 63 条の規定に基づき、防火地域又は準防火地域 内の建築物の屋根の構造方法を次のように定める。
第1 建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号。以下「令」という。)第 136 条の 2 の 2 各号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、次に定めるものとする。
第1 一 不燃材料で造るか、又はふくこと。
二 屋根を準耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったものに限る。)とする こと。
三 屋根を耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったもので、かつ、その勾(こ う)配が水平面から 30 度以内のものに限る。)の屋外面に断熱材(ポリエチレンフ ォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォームその他これらに類する 材料を用いたもので、その厚さの合計が 50mm 以下のものに限る。)及び防水材(ア スファルト防水工法、改質アスファルトシート防水工法、塩化ビニル樹脂系シート 防水工法、ゴム系シート防水工法又は塗膜防水工法を用いたものに限る。)を張った ものとすること。
第2 令第136条の2の2第一号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、第1に定めるもののほか、難燃材料で造るか、又はふくこととする。

国土交通大臣の認定を受けたもの

お次は、国土交通大臣の認定を受けたものです。認定の頭の番号で確認していただきたいのですが、

『NM-◯◯◯』(不燃材料)

『DR-◯◯◯』(防火地域等の屋根)

『UR-◯◯◯』(法第22条の屋根)

『QF◯◯◯BE』(準耐火構造)

『FP◯◯◯BE』(耐火構造)

このいずれかであれば適合です。

国交省の法で認定番号をまとめていますのでそちらも是非参考にしてみてください。(国交省のHPで確認

 

さて、ここでポイントです。

この他にも適合できるものもありますが、

『DW-◯◯◯』

『UW-◯◯◯』

この認定番号には注意が必要です!

なぜなら、この認定番号は使用できる建築物の用途が限定されているから。

(どうしてなの?と気になる方、法文で確認したい方は施行令第136条の2の2 本文を確認ください)

どういった用途が適用できるかというと、『不燃性の物品を保管する倉庫その他これに類するものとして国土交通大臣が定める用途に供する建築物又は建築物の部分でその屋根以外の主要構造部が準不燃材料で造られたものの屋根』です。

ややこしい!具体的には『DW-◯◯◯』『UW-◯◯◯』が使える用途どんなの?

まとめると、以下の用途です!

『DW-◯◯◯』『UW-◯◯◯』が使える用途(告示第693号より)

◆スケート場、水 設 泳場、スポーツ(日本建築行政HPより)の練習場その他 ・テニス練習場 これらに類する ・ゲートボール場運動施設

◆不燃性の物品を 取り扱う荷捌き 場その他これと 同等以上に火災 の発生の恐れの 少ない用途

◆通路、アーケード、休憩所

◆十分に外気にさらされた停留場

◆自動車車庫(床面積が30m2以下)

◆自転車置場

◆機械製作工場

よって、一戸建て住宅などは『DW-◯◯◯』『UW-◯◯◯』の認定品では適合できません!

(この認定番号ってポリカーボネートとかなんですよね。それらが住宅には使えないというのはここからきています。)

もししっかりとして図書で確認されたいという事であれば、『建築物の防火避難規定の解説』でバッチリ記載があります。

法第23条:外壁の仕様

✔️法第22条区域内で以下の建築物、建築物の部分は法適合不要(全てでは無い)

①木造、プラスチックなどの可燃材以外の用途(鉄骨造、RCなど)

②延焼ラインから外れた建築物の部分

✔️外壁に規制が発生

法第22条区域内でかかる?

今、法第23条の話をしてるってわかってる?

もちろんですとも!

法第23条は、法第22条区域内にかかる規制だと、法文にもちゃんと書いてあります!

法文で確認してみましょう。

建築基準法第23条(外壁)

前条第 1 項の市街地の区域内にある建築物(その主要構造部の第 21 条第 1 項の政令で定める部分が木材、プラスチックその他の可燃材料で造られたもの(第 25 条及び第 61 条において「木造建築物等」という。)に限る。)は、その外壁で延焼のおそれのある部分の構造を、準防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に 一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する土塗壁その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又 は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

規制内容を簡潔にまとめると、

外壁に対する規制内容

準防火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する構造に以下2つのいずれかに適合

◆国土交通大臣が定めた構造方法

◆国土交通大臣の認定を受けたもの

それぞれの内容を確認しましょう。

国土交通大臣が定めた構造方法

まずは、告示の内容です。

告示第1359 号第1に記載があります。

この準防火構造の告示なのですが、かなり量があるので、以下のHPで確認ください。


建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第 2 条第八号の規定に基づき、防火構造の構造方法
を次のように定める。
第 1 外壁の構造方法は、次に定めるものとする。
一 建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号。以下「令」という。)第 108 条に掲げ
る技術的基準に適合する耐力壁である外壁の構造方法にあっては、次のいずれかに該 当するもの(ハ(3)(i)(ハ)及び(ii)(ホ)に掲げる構造方法を組み合わせた場合にあっては、 土塗壁と間柱及び桁との取合いの部分を、当該取合いの部分にちりじゃくりを設ける 等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とするものに限 る。)とする。
イ 準耐火構造(耐力壁である外壁に係るものに限る。)とすること。
ロ 間柱及び下地を不燃材料で造り、かつ、次に定める防火被覆が設けられた構造(イ
に掲げる構造を除く。)とすること。
(1) 屋内側にあっては、次のいずれかに該当するもの
(i) 平成 12 年建設省告示第 1358 号第 1 第一号ハ(1)(iii)から(v)まで又は(2)(i)
のいずれかに該当するもの
(ii) 厚さ 9.5 mm以上のせっこうボード(強化せっこうボードを含む。以下同じ。)
を張ったもの
(iii) 厚さ 75 mm以上のグラスウール又はロックウールを充填した上に厚さ 4 mm以
上の合板、構造用パネル、パーティクルボード又は木材を張ったもの
(2) 屋外側にあっては、次のいずれかに該当するもの
(i) 平成 27 年国土交通省告示第 253 号第 1 第三号ハ(1)又は(2)に該当するもの (ii) 塗厚さが 15 mm以上の鉄網モルタル
(iii) 木毛セメント板又はせっこうボードの上に厚さ 10 mm以上モルタル又はしっ
くいを塗ったもの
(iv) 木毛セメント板の上にモルタル又はしっくいを塗り、その上に金属板を張っ
たもの
(v) モルタルの上にタイルを張ったもので、その厚さの合計が 25 mm以上のもの (vi) セメント板又は瓦の上にモルタルを塗ったもので、その厚さの合計が 25 mm
以上のもの
(vii) 厚さが 12 mm以上のせっこうボードの上に金属板を張ったもの
(viii) 厚さが 25 mm以上のロックウール保温板の上に金属板を張ったもの
ハ 間柱又は下地を不燃材料以外の材料で造り、かつ、次のいずれかに該当する構造 (イに掲げる構造を除く。)とすること。
(1) 土蔵造
(2) 土塗真壁造で、塗厚さが 40 mm以上のもの(裏返塗りをしないものにあっては、

間柱の屋外側の部分と土壁とのちりが 15 mm以下であるもの又は間柱の屋外側の部
分に厚さが 15 mm以上の木材を張ったものに限る。)
(3) 次に定める防火被覆が設けられた構造とすること。ただし、真壁造とする場合の
柱及びはりの部分については、この限りではない。 (i) 屋内側にあっては、次のいずれかに該当するもの
(イ) 平成 12 年建設省告示第 1358 号第 1 第一号ハ(1)(i)又は(iii)から(v)まで のいずれかに該当するもの
(ロ) ロ(1)(ii)又は(iii)に該当するもの
(ハ) 土塗壁で塗厚さが 30 mm以上のもの
(ii) 屋外側にあっては、次のいずれかに該当するもの
(イ) 平成 27 年国土交通省告示第 253 号第 1 第三号ハ(1)又は(4)から(6)までのい ずれかに該当するもの
(ロ) 塗厚さが 20 mm以上の鉄網モルタル又は木ずりしっくい
(ハ) 木毛セメント板又はせっこうボードの上に厚さ 15 mm以上モルタル又はし
っくいを塗ったもの
(ニ) 土塗壁で塗厚さが 20 mm以上のもの(下見板を張ったものを含む。)
(ホ) 厚さが 12 mm以上の下見板(屋内側が(i)(ハ)に該当する場合に限る。) (ヘ) 厚さが 12 mm以上の硬質木片セメント板を張ったもの
(ト) 厚さが 15 mm以上の窯業系サイディング(中空部を有する場合にあっては、
厚さが 18 mm以上で、かつ、中空部を除く厚さが 7 mm以上のもの)を張ったも

(チ) ロ(2)(v)から(viii)までのいずれかに該当するもの
二 令第 108 条第二号に掲げる技術的基準に適合する非耐力壁の外壁の構造方法にあっ ては、次のいずれかに該当するものとする。
イ 準耐火構造とすること。
ロ 前号ロ又はハのいずれかに該当する構造(イに掲げる構造を除く。)とすること。
第 2 令第 108 条第二号に掲げる技術的基準に適合する軒裏(外壁によって小屋裏又は天 井裏と防火上有効に遮られているものを除く。)の構造方法にあっては、次の各号のいず れかに該当するものとする。
一 準耐火構造とすること。
二 土蔵造(前号に掲げる構造を除く。)
三 第 1 第一号ハ(3)(ii)((イ)及び(ホ)から(ト)までに掲げる構造を除く。)に定める防火
被覆が設けられた構造(前 2 号に掲げる構造を除く。)とすること。

国土交通大臣の認定を受けたもの

お次は、国土交通大臣の認定を受けたものです。

認定のお尻の番号で確認していただきたいのですが、

『QP◯◯◯BE』(準防火構造)

『PC◯◯◯BE』(防火構造)

『QF◯◯◯BE』(準耐火構造)

『FP◯◯◯BE』(耐火構造)

このいずれかであれば適合です。

準防火構造だけでなく、上位互換である防火構造、準耐火構造、耐火構造もokです。

国交省の法で認定番号をまとめていますのでそちらも是非参考にしてみてください。(国交省のHPで確認

まとめ:法第22条と法第23条では、適合発生条件が異なる

いかがでしたか?

法第22条区域は法第22、23条が区域としてはかかりますが、

法第23条は全ての建築物で適合義務では無いという事です。

頭の片隅に置いておくと、役に立つかもしれません。(鉄骨造と時とか無闇に被覆したく無いですもんね?)

まとめると、

適合させる建築物、建築物の部分 求められる性能
法第22条 全ての建築物 屋根に火の粉による建築物の火災の発生防止の性能
法第23条 木造などの可燃材で主要構造部が作られた建築物で

延焼ラインにかかる建築物の部分

準防火構造

最後までありがとうございました!

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ABOUT ME
そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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