こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
排煙設備を免除・緩和する方法はかなり多くある
排煙設備の緩和、免除緩和は『使える用途』で絞り込むのが1番簡単!
でも、数が多いからこそ、どんな緩和を使えばいいのかわからなくなってしまうかもしれません。
今回の記事では、緩和の種類などについて解説していきます!(X:sozooro)
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指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:増補改訂版 用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 著書:身近な事例から学ぶ 面白すぎる建築法規 /学芸出版社 |
排煙設備の緩和・免除できるのはどこ?
排煙設備の免除緩和は『どんな用途の建築物に使えるか?』で絞り込むのがとにかく重要!
排煙設備の大元の内容については、下記のブログ記事で解説しています。
排煙設備の緩和・免除の規定は、とにかく数が多い。
だから、まずは、自分が計画している用途で調べる緩和を絞った方がいいです!
排煙設備の緩和は、用途で使えるものが判別できます。だから、ここで一覧表にしておきますから、まずは使えそうな緩和を絞って、調べるようにしてください!(闇雲に調べると、大変なので…)
| 条文 |
緩和が使える『用途』について | |
| 令126条の2第1項一号 | 法別表1(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物 | |
| 令126条の2第1項二号 | 学校等 | |
| 令126条の2第1項三号 | すべての用途(階段の部分、昇降機の昇降路の部分) | |
| 令126条の2第1項四号 | 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途 | |
| 告示1436号三号イ | 一戸建て住宅・長屋 | |
| 告示1436号三号ロ | 『特定配慮特殊建築物★表下』以外の建築物 | |
| 告示1436号三号ハ | 『特定配慮特殊建築物★表下』以外の建築物 | |
| 告示1436号三号二 | 特殊建築物以外(ただし所定の保育所、博物館・飲食店はOK) | |
| 告示1436号三号ホ | 危険物の貯蔵場又は処理場、自動車車庫、通信機械室、繊維工場その他これらに類する用途 | |
| 告示1436号三号へ | (1) | すべての用途(非居室・31m以下の建築物の部分) |
| (2) | ||
| (3) | 『特定配慮特殊建築物★表下』以外の建築物 | |
| (4) | すべての用途(居室・31m以下の建築物の部分) | |
| (5) | ||
| 告示1436号三号ト | すべての用途(31m超の建築物の部分) | |
★『特定配慮特殊建築物』とは、下記の建築物のこと
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すべての建築物に使えるものが多いですが、中には、用途の制限があるものも多いです。該当しない用途の内容は確認する必要はないかと思います。
法文がわかれば、目次から飛んで探してもいいかもしれません。
『すべての用途』で使える排煙設備の緩和・免除
すべての用途で使える免除・緩和は下記の通り
- 区画された階段の部分、昇降機の昇降路の部分
- 非居室で、31m以下の建築物の部分※1番よく使われる緩和
- 居室で、31m以下の建築物の部分※1番よく使われる緩和
- 31m超の建築物の部分
これらの排煙設備の緩和は、すべての用途に使うことができます。ただ、緩和を使うにあたって、色々と条件等があります。
そこで、条件などを整理して解説いていきます。
区画された階段の部分、昇降機の昇降路の部分
階段の部分、昇降機の昇降路の部分については、排煙設備は不要となる(根拠法文:令126条の2第1項三号)
排煙設備は、場合によっては、居室だけでなく建築物全体に設置が必要となります。当然、階段部分も必要になるのですが…階段や昇降機の昇降路部分については、そもそも排煙設備は不要となっているのです。
街中でも、よくよく考えてみると、階段に排煙設備が付いているのなんて、見たことないはずです。
排煙設備の設置が必要な建築物にあっては、令第126条の2第1項ただし書第三号に該当する階段等の部分とその他の部分とを防火戸又は防煙壁で区画するものとする。
『建築物の防火避難規定の解説2025/ぎょうせい』p72より引用
階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
非居室で、31m以下の建築物の部分
高さ31m以下の部分で、下記2つの『非居室』については、排煙設備が不要となる(根拠法文:告示1436号三号ハ(1)(2))
(1)
下記2つの条件を満たす非居室
- 壁・天井の内装を準不燃材料とすること
- 居室・避難経路に面する開口部は防火設備※とし、それ意外のものに戸・扉を設けたもの
※…以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、以下2つのいずれかと連動して自動閉鎖するもの
・煙感知器
・熱煙複合式感知器
(2)
床面積が100㎡以下で防煙壁で区画された非居室
2つの大きな違いは、『面積制限があるかどうか』です。(1)は条件厳しいですが、面積制限がないのかなりのメリットです。一方、(2)は条件こそ緩いですが、100㎡という面積制限があります。
まず、条件として非居室でなくては使えません。居室と非居室の定義については、下記のブログで解説していますので、確認してみてください。
法文の確認については、下記からお願いします。
(1) 壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でし、かつ、屋外に面する開口部以外の開口部のうち、居室又は避難の用に供する部分に面するものに法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で令第百十二条第十九項第一号に規定する構造であるものを、それ以外のものに戸又 は扉を、それぞれ設けたもの
(2) 床面積が百平方メートル以下で、令第百二十六条の二第一項に掲げる防煙壁により区画されたもの
廊下って非居室?
居室でOKな根拠は『建築物の防火避難規定の解説』に記載があります。
廊下については、平12建告第1440号の趣旨をふまえ、室として扱うことができる
『建築物の防火避難規定の解説2025/ぎょうせい』より引用
事前協議で『廊下=非居室』でOKとなった場合であっても、注意していただきたいことがあります。それは、廊下が『100㎡』を超えると排煙設備の告示は告示1436第三号ハ(1)しか原則使えなくなります。
(1)には面積制限がありませんが、(2)は面積制限(100㎡以下)があるからです。
つまり、(1)の適合の為に、防火設備などでしっかり区画しないといけないという事ですね。
法律上では確かにそのように読めるのですが、『建築物の防火避難規定の解説』のQ &Aにそちらの適用が出来ない旨の回答があります。
Q 100 m²を超える廊下について、平成 12 年建 告第 1436 号第四号ニ(二)の規定を適用して、 当該廊下を 100 m²以内ごとに防煙壁で区画することにより、排煙設備の設置を免除するこ とができるか。
A 平成 12 年建告第 1436 号第四号ニ(二)の 規定は、100 m²以下の室に適用できるもので あり、100 m²を超える室(廊下)を 100 m²以内 ごとに防煙壁で区画しても適用できない。
『建築物の防火避難規定の解説2025/ぎょうせい』より引用
要は、防煙区画した程度では別の室としての適用は出来ないという事ですね。
だから、100㎡を超えた廊下を排煙設備の告示で適合させる場合は(1)で適合させましょう。
居室で、31m以下の建築物の部分
高さ31m以下の部分で、下記2つの『居室』については、排煙設備が不要となる(根拠法文:告示1436号三号ハ(4)(5))
(4)下記2つの条件を満たす居室
- 床面積100㎡以内ごとに準耐火構造の壁・床・防火設備※で区画
- 壁・天井の仕上げが準不燃材料であること
※…以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、以下2つのいずれかと連動して自動閉鎖するもの
・煙感知器
・熱煙複合式感知器
(5)下記2つの条件を満たす居室
- 床面積が100㎡以下
- 壁・天井の仕上げ・下地が不燃材料等(告示989号)であること
まず、床面積はどちらも100㎡以下です。違いは、区画と内装制限です。
(4)の方が『区画』の規定が厳しい印象ですが、(5)は『内装制限』が結構厳しいです。だから、結構どっこいどっこいです。
少し前までは、(5)の緩和に関しては、木造建築物だと使えなかったのです。なぜなら、木造建築物は下地を不燃材料とすることができなかったから。でも、法改正によって、不燃材料と同等のものが登場したので、こちらを用いれば、木造建築物でも(5)の緩和が使えるようになりました。その告示は989号です。併せて確認ください。
(4) 床面積百平方メートル以内ごとに準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で令第百十二条第十九項第一号に規定する構造であるものによって区画され、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたもの
(5) 床面積が百平方メートル以下で、令和七年国土交通省告示第989号に規定する基準に従い、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ることその他これに準ずる措置が講じられたもの
建築基準法施行令第百十二条第九項及び第十一項第一号並びに第百二十三条第一項第二号及び第三項第四号に規定する壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ることその他これに準ずる措置の基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 仕上げを厚さが二十五ミリメートル以上のコンクリートですること。
二 仕上げを厚さが三十ミリメートル以上のれんがですること。
三 仕上げを厚さが五ミリメートル以上の陶磁器質タイルでし、かつ、その下地を厚さが十二ミリメートル以上の窯業系サイディングで造ること。
四 仕上げを繊維強化セメント板(日本産業規格(以下「JIS」という。)A五四三〇(繊維強化セメント板)に規定する一・〇けい酸カルシウム板又は〇・八けい酸カルシウム板に適合する材料に限る。)を二枚以上張ったものでし、その厚さの合計を二十二ミリメートル以上とすること。
構造
五 仕上げを厚さが三十五ミリメートル以上の繊維強化セメント板(JIS A五四三〇(繊維強化セメント板)に規定する〇・五けい酸カルシウム板に適合するものに限る。)ですること。
六 仕上げを厚さが二十五ミリメートル以上の繊維強化セメント板(JIS A五四三〇(繊維強化セメント板)に規定する〇・二けい酸カルシウム板に適合するものに限る。)ですること。
七 仕上げをガラス繊維混入セメント板を二枚以上張ったものでし、その厚さの合計を十八ミリメートル以上とすること。
八 仕上げを厚さが二十五ミリメートル以上のモルタルですること。
九 仕上げを厚さが二十七ミリメートル以上のしっくいでし、かつ、その下地を平成十二年建設省告示第千四百三十九号に規定する木材等又は難燃材料で造ること。
十 仕上げを厚さが三十ミリメートル以上の片面塗り又は各面の厚さが二十五ミリメートル以上の両面塗りの壁土でし、かつ、下地を小舞下地で造ること。
十一 仕上げを厚さが二十一ミリメートル以上の強化せっこうボード(JIS A六九〇一(せっこうボード製品)に規定する強化せっこうボードに適合するものに限る。)ですること。
十二 仕上げをせっこうボード(ボード用原紙の厚さが〇・六ミリメートル以下のものに限る。)を二枚以上張ったものでし、その厚さの合計を二十一ミリメートル以上とすること
31m超の建築物の部分
高さ31m超えの部分で、下記2つを満たす『居室』と『非居室』については、排煙設備が不要となる(根拠法文:告示1436号三号ト)
- 床面積100㎡以下の室で、耐火構造の壁・床・防火設備※で区画
- 壁・天井の仕上げが準不燃材料であること
※…以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、以下2つのいずれかと連動して自動閉鎖するもの
・煙感知器
・熱煙複合式感知器
こちらは、高さ31m超えの居室・非居室について使うことができる緩和。31mを超えてくると、火災の危険性も上がるので、他の緩和とも比較して厳しめになっています。
高さ31メートルを超える建築物の床面積100平方メートル以下の室で、耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二に規定する防火設備で令第112条第19項第一号に規定する構造であるもので区画され、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたもの
『特定配慮特殊建築物』以外の建築物で使える排煙設備の緩和・免除
『特定配慮特殊建築物』以外の建築物で使える免除・緩和は下記の通り
- 階数が2以下で延べ面積が500㎡以下の建築物が使える緩和
- 床面積が50㎡以内の居室で使える緩和
特定配慮特殊建築物とは?
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
- 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)
- 児童福祉施設等
- 幼保連携型認定こども園
- 自動車車庫、自動車修理工場
- 地階に設ける居室で法別表第1(い)欄(1)項(2)項(4)項の特殊建築物
では、早速緩和の内容を確認してみましょう。
階数が2以下で延べ面積が500㎡以下の建築物が使える緩和
階数が2以下で述べ面積が500㎡以下の建築物で、下記2つの部分は、排煙設備が不要となる
①下記2つの条件を満たす部分
- 警報設備を設けること
- 各居室に屋外への出口等に容易に避難できる出口が設けられているもの(後述)
②下記4つの条件を満たす部分
- 警報設備を設けること
- 床面積が50㎡(天井の高さが3m以上である場合、100㎡)以内の部分
- その部分が間仕切壁・10分防火設備※1※2で区画されていること
- 各居室の各部分から屋外への出口までの歩行距離が25m以下
※1…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
※2…スプリンクラー設置等の条件を見たせば、10分防火設備ではなく戸でもOK
まず、2階以下で延べ面積500㎡以下でないと、この緩和は使うことができません。だから、結構小規模な建築物向けです。
そして、さらに①又は②の条件を満たすことで、緩和を受けることができます。
1 当該部分の各部分から屋外への出口まで及び屋外への出口から道までの避難上支 障がないものとして必要な要件
(i) 当該部分の各部分から屋外への出口までの歩行距離が 20 メートル以下である こと
(ii) 戸や掃き出し窓である等当該部分の在館者が開口部を通じ屋外へ支障なく出ら れること
(iii) 屋外への出口から道に直接通ずるか、道に通ずる幅員(当該幅員は有効幅員) 50 センチメートル以上の通路その他の空地が設けられていること
(iv) 他の火災のおそれのある建築物の部分の前を通らずに避難できること
2 当該部分の各部分からバルコニーまで及びバルコニーから道までの避難上支障がないものとして必要な要件
(i) 当該部分の各部分からバルコニーへの出口までの歩行距離が 10 メートル以下であること
(ii) 在館者が開口部を通じバルコニーへ支障なく出られること
(iii) バルコニーが十分に外気に開放されていること
(iv) バルコニーから地上へ屋外階段、すべり台、タラップ等の当該部分に存する者の特性を踏まえた避難経路等が確保されており、バルコニーから地上までの避難経 路等について、バルコニーに通ずる各出口から地上までの二方向避難が確保されて いること又は他の火災のおそれのある建築物の部分の前を通らずに避難できること
(v) 車いすを利用する者の利用が想定される施設にあっては、バルコニーと同一階 にある屋上等の安全な一時退避場所を確保すること
(vi) 地上に通ずる部分から道に直接通ずるか、道に通ずる幅員(当該幅員は有効幅 員)50 センチメートル以上の通路その他の空地が設けられていること
3 当該部分の各部分から屋外への出口に近接した出口まで及び屋外への出口に近接した出口から道までの避難上支障がないものとして必要な要件
(i) 当該部分の各部分から屋外への出口に近接した出口までの歩行距離が 20 メー トル以下であること
(ii) 1(ii)と同じ
(iii) 縁側を通じた屋外への避難のように、当該部分の出口から屋外への出口が容易に把握でき、当該部分の出口から屋外への出口まで安全かつ容易に到達できる距離にあること
(iv) 屋外への出口から道に直接通ずるか、道に通ずる幅員(当該幅員は有効幅員)
50 センチメートル以上の通路その他の空地が設けられていること
(v) 他の火災のおそれのある建築物の部分の前を通らずに避難できること
元の告示についても、下記で確認ください。
ロ 階数が二以下で、かつ、延べ面積が五百平方メートル以下の建築物(令第百十条の五に規定する技術的基準に従って警報設備を設けたものに限り、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するもの(以下「特定配慮特殊建築物」という。)を除く。)の部分であって、各居室に屋外への出口等(屋外への出口、バルコニー又は屋外への出口に近接した出口をいう。以下同じ。)(当該各居室の各部分から当該屋外への出口等まで及び当該屋外への出口等から道までの避難上支障がないものに限る。)その他当該各居室に存する者が容易に道に避難することができる出口が設けられているもの
(1) 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号。以下「法」という。)別表第一(い)欄?項に掲げる用途又は病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)若しくは児童福祉施設等(令第百十五条の三第一号に規定する児童福祉施設等をいう。以下同じ。)(入所する者の使用するものに限る。)の用途に供するもの
(2) 令第百二十八条の四第一項第二号又は第三号に掲げる用途に供するもの
ハ 階数が二以下で、かつ、延べ面積が五百平方メートル以下の建築物(令第百十条の五に規定する技術的基準に従って警報設備を設けたものに限り、特定配慮特殊建築物を除く。)の部分(当該部分以外の部分と間仕切壁又は令第百十二条第十二項に規定する十分間防火設備(当該部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設け、若しくは消火上有効な措置が講じられている場合又は当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした場合にあっては、戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。))で同条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されているものに限る。)で、次に掲げる基準に適合する部分
(1) 床面積が五十平方メートル(天井の高さが三メートル以上である場合にあつては、百平方メートル)以内であること。
(2) 各居室の各部分から避難階における屋外への出口又は令第百二十三条第二項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口の一に至る歩行距離が二十五メートル以下であること。
床面積が50㎡以内の居室で使える緩和
高さ31m以下の部分で、下記2つどちらも満たす『居室』については、排煙設備が不要となる
- 床面積が50㎡以内(天井の高さが3m以上である場合、100㎡以内)
- 準耐火構造の間仕切壁※1・防火設備※2※3で区画されていること
※1…所定の条件を満たした場合、ただの間仕切壁でOKとなる(条件→当該部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設け、若しくは消火上有効な措置が講じられている場合又は当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合)
※2…所定の条件を満たした場合、10分防火設備でOKとなる(条件→当該部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設け、若しくは消火上有効な措置が講じられている場合又は当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合)
※3…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
比較的最近になって追加された緩和です。
(3) 床面積が五十平方メートル(天井の高さが三メートル以上である場合にあつては、百平方メートル)以内で、当該部分以外の部分と準耐火 構造の間仕切壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備(当該部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設け、若しくは消火上有効な措置が講じられている場合又は当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合にあっては、間仕切壁又は令第百十二条第十二項に規定する十分間防火設備)で同条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されていること。
その他、特定の用途で使える排煙設備の緩和・免除
下記の用途に該当した場合、所定の条件を満たすことで、排煙設備の緩和・免除を受けることが可能
- 法別表1(2)項の特殊建築物
- 学校等
- 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫等
- 一戸建て住宅・長屋
- 特殊建築物以外(ただし所定の保育所、博物館・飲食店はOK)
- 危険物の貯蔵場又は処理場、自動車車庫、通信機械室、繊維工場その他これらに類する用途
続けてご紹介するのは、特定の用途に該当した場合に使える緩和・免除の規定です。該当する用途があった場合に、確認するようにしてください。
法別表1(2)項の特殊建築物
下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる
- 法別表第一(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物であること
- 100㎡※以内に準耐火構造の床・壁・防火設備で区画された部分であること
※…共同住宅の住戸の場合は200㎡
今回重要となる、法別表1(2)項にの特殊建築物は主として下記の通りです。
法別表1(2)項にの特殊建築物
- 病院
- 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)
- ホテル
- 旅館
- 下宿
- 共同住宅
- 寄宿舎
- 児童福祉施設等
詳しくは特殊建築物のページに記載していますので確認してください。
法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあつては、二百平方メートル)以内のもの
学校等
学校等は、排煙設備が不要となる
こちらは至ってシンプル。学校等であれば、排煙設備は不要となります。
学校等とは?
- 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)
- 体育館
- ボーリング場
- スキー場
- スケート場
- 水泳場
- スポーツの練習場
学校等の定義について下記の記事を参考にしてみてください、
学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫等
下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる
- 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途であること
- 主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造であること
こちらは、単純に『用途』に該当させるだけでなく、『主要構造部』に関する制限もあります。
機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
一戸建て住宅・長屋
下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる
- 『一戸建て住宅で階数が2以下延べ面積が200㎡以下の建築物』又は『長屋で階数が2以下床面積が200㎡以下の住戸』であること
- 居室に床面積の1/20以上の換気上有効な窓が設けられていること
階数が2以下、床面積が200㎡以内という、小規模な一戸建て住宅や長屋だったらかなり使いやすいです。換気上有効な開口部は必要になりますが、これは換気無窓の検討と同じ開口部なので、そんなに苦労もしないはずです。換気無窓については下記の記事でまとめています。
階数が2以下で、延べ面積が200平方メートル以下の住宅又は床面積の合計が200平方メートル以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の20分の1以上の換気上有効な窓その他の開口部を有するもの
特殊建築物以外(ただし所定の保育所、博物館・飲食店はOK)
下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる
- 原則として、特殊建築物ではないこと(ただし、特殊建築物でも例外として、児童福祉施設等※、博物館、美術館、図書館、展示場、飲食店は緩和が使える)
- 『避難階』又は『避難階の直上階』であること
- 準耐火構造の壁・床・防火設備で区画された部分であること
※…入所する者の利用するものを除く。
避難階又は避難階の直上階で、次に掲げる基準に適合する部分(当該基準に適合する当該階の部分(以下「適合部分」という。)以外の建築物の部分の全てが令第百二十六条の二第一項第一号から第三号までのいずれか、前各号に掲げるもののいずれか若しくはイからハまで及びホからトまでのいずれかに該当する場合又は適合部分と適合部分以外の建築物の部分とが準耐火構造の床若しくは壁若しくは同条第二項に規定する防火設備で区画されている場合に限る。)
(1) 次の(一)又は(二)のいずれかに該当するものであること。
(一) 法別表第一(い)欄に掲げる用途以外の用途に供するもの
(二) 児童福祉施設等(入所する者の利用するものを除く。)、博物館、美術館、図書館、展示場又は飲食店の用途に供するもの
危険物の貯蔵場又は処理場、自動車車庫、通信機械室、繊維工場その他これらに類する用途
下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる
- 危険物の貯蔵場又は処理場、自動車車庫、通信機械室、繊維工場その他これらに類する用途であること
- 不燃性ガス消火設備又は粉末消火設備を設けたもの
こちらは、かなり特殊な例ですが、特定の用途に対して、特定の消火方法を行う部分については、排煙設備が不要となります。
法第27条第3項第二号の危険物の貯蔵場又は処理場、自動車車庫、通信機械室、繊維工場その他これらに類する建築物の部分で、法令の規定に基づき、不燃性ガス消火設備又は粉末消火設備を設けたもの