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非常用照明の設置基準と検討方法【建築基準法の基準を解説】

本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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非常用照明とは予備電源を備えた照明装置のこと。特殊建築物の居室・3階以上500㎡超の居室・採光無窓居室・延べ1,000㎡超の居室と、その避難経路に設置が必要。小さな飲食店でも特殊建築物なら対象になる点は見落とし注意。
この記事でわかること
- 非常用照明の定義と設置目的
- 設置が必要な居室の種類と条件
- 特定居室がなければ避難経路も不要な点
- 設置基準(仕様適合か大臣認定品か)
- 実際の検討手順(2ステップ)
- 緩和規定の一覧と注意点(居室限定で避難経路には使えないケースが多い)
そぞろ非常用照明は、結構いろんな建築物で必要になってしまいますが、まぁわりと適合させやすいんじゃないかなと思います!
詳しく解説していきますね。
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非常用照明とは?
非常用照明とは、予備電源を備えている照明装置のことです。
予備電源を備えている理由は、非常時に電源が機能しなくなった場合でも照度を確保し、避難や消防活動を円滑にできるようにする為です。照度を確保する事によって、非常時の心理的動揺を抑制、パニックを防止する狙いもあります。
非常用照明が『必要になる部分』とは?
非常用照明の設置が必要なのは『特定の居室』と『その避難経路』です。
非常用照明が必要となる部分は、建築物全体ではなく、所定の居室とその避難経路です。したがって、どんな居室が非常用照明が必要になるのか判断することが非常に重要です。
| 〈非常用照明が必要な建築物の部分〉 | ||
| 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室 | + | その避難経路(廊下、階段) |
| 階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物の居室 | ||
| 令116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室 | ||
| 延べ面積が1000㎡を超える建築物の居室 | ||

非常用照明は、小規模な建築物にも設置が必要になることあるので、注意が必要です!

小規模な建築物?例えばどんなもの?

特殊建築物の場合、面積制限がありません!だから、小さな飲食店などであっても、非常用照明が必要になってしまうんです。
住宅に兼用として計画されるような、小さな飲食店などの計画であっても、非常用照明が必要になることがあります。なぜなら、飲食店なども一応特殊建築物だからです。数多くの確認申請を審査していると、意外とこういった小さな特殊建築物は、うっかり非常用照明を忘れてしまうことが多かったです。注意しましょう。
Q.特定の居室がなければ、避難経路も非常用照明は不要か?
- 特定の居室がないなら、避難経路についても非常用照明は不要となるか?
-
不要。あくまでも、特定の居室があるかどうかが最重要
非常用照明は、あくまでも特定の居室があるかどうかが重要です。特定の居室がなければ、もちろん避難経路も非常用照明の設置はなしでOKです。
非常用照明の『設置基準』とは?
非常用照明に求められる性能は『指定された仕様に適合』か『大臣の認定品』いずれかに適合させる
実務においては、圧倒的に『大臣の認定品』を使うことが多かったです。それぞれの内容を確認していきましょう。
指定された仕様に適合
以下、全てに適合させる事
①照明は直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度が確保可能
②火災時に温度の上昇があっても、光度が低下しずらい
③予備電源を設ける
④告示第1830号に適合させる事
告示1830号については、下記から確認をしてください。
クリックで告示1830号を確認
第一 照明器具
一 照明器具は、耐熱性及び即時点灯性を有するものとして、次のイからハまでのいずれかに掲げるものとしなければならない。
イ 白熱灯(そのソケットの材料がセラミックス、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂であるものに限る。)
ロ 蛍光灯(即時点灯性回路に接続していないスターター型蛍光ランプを除き、そのソケットの材料がフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂又はユリア樹脂であるものに限る。)
ハ LEDランプ(次の(1)又は(2)に掲げるものに限る。)
(1) 日本産業規格C八一五九―一(一般照明用GX一六t―五口金付直管LEDランプ―第一部:安全仕様)―二〇一三に規定するGX一六t―五口金付直管LEDランプを用いるもの(そのソケットの材料がフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂又はユリア樹脂であるものに限る。)
(2) 日本産業規格C八一五四(一般照明用LEDモジュール―安全仕様)―二〇一五に規定するLEDモジュールで難燃材料で覆われたものを用い、かつ、口金を有しないもの(その接続端子部(当該LEDモジュールの受け口をいう。第三号ロにおいて同じ。)の材料がセラミックス、銅、銅合金、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂又はユリア樹脂であるものに限る。)
二 照明器具内の電線(次号ロに掲げる電線を除く。)は、二種ビニル絶縁電線、架橋ポリエチレン絶縁電線、けい素ゴム絶縁電線又はふっ素樹脂絶縁電線としなければならない。
三 照明器具内に予備電源を有し、かつ、差込みプラグにより常用の電源に接続するもの(ハにおいて「予備電源内蔵コンセント型照明器具」という。)である場合は、次のイからハまでに掲げるものとしなければならない。
イ 差込みプラグを壁等に固定されたコンセントに直接接続し、かつ、コンセントから容易に抜けない措置を講じること。
ロ ソケット(第一号ハ(2)に掲げるLEDランプにあつては、接続端子部)から差込みプラグまでの電線は、前号に規定する電線その他これらと同等以上の耐熱性を有するものとすること。
ハ 予備電源内蔵コンセント型照明器具である旨を表示すること。
四 照明器具(照明カバーその他照明器具に付属するものを含む。)のうち主要な部分は、難燃材料で造り、又は覆うこと。
第二 電気配線
一 電気配線は、他の電気回路(電源又は消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第七条第四項第二号に規定する誘導灯に接続する部分を除く。)に接続しないものとし、かつ、その途中に一般の者が、容易に電源を遮断することのできる開閉器を設けてはならない。
二 照明器具の口出線と電気配線は、直接接続するものとし、その途中にコンセント、スイッチその他これらに類するものを設けてはならない。
三 電気配線は、耐火構造の主要構造部に埋設した配線、次のイからニまでのいずれかに該当する配線又はこれらと同等以上の防火措置を講じたものとしなければならない。
イ 下地を不燃材料で造り、かつ、仕上げを不燃材料でした天井の裏面に鋼製電線管を用いて行う配線
ロ 準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されたダクトスペースその他これに類する部分に行う配線
ハ 裸導体バスダクト又は耐火バスダクトを用いて行う配線
ニ MIケーブルを用いて行う配線
四 電線は、六百ボルト二種ビニル絶縁電線その他これと同等以上の耐熱性を有するものとしなければならない。
五 照明器具内に予備電源を有する場合は、電気配線の途中にスイッチを設けてはならない。この場合において、前各号の規定は適用しない。
第三 電源
一 常用の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線によるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。ただし、照明器具内に予備電源を有する場合は、この限りでない。
二 予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなければならない。
三 予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用の照明装置を点灯させるものに限る。)で充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによるものとし、その開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。
第四 その他
一 非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で一ルクス(蛍光灯又はLEDランプを用いる場合にあつては、二ルクス)以上を確保することができるものとしなければならない。
二 前号の水平面照度は、十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測定方法によつて測定されたものとする。
大臣の認定品
建築基準法及び工業会規格JIL5501「非常用照明器具技術基準」に適合していること
実際に検討してみる
さて、では実際に非常用照明の検討をしてみましょう。
手順は大きく2つです。
どの居室に必要か、その避難経路はどこかを確認する
認定書等により、1lxが確保できる範囲を確認して、その大きさの円を作図する

それぞれの内容を確認してみましょう!
Step1.非常用照明が必要な『建築物の部分』を確認する
では、非常用照明が必要な建築物の部分を確認してみましょう。今回は『保育園』の用途で考えてみましょう。
保育園は別表(2)項の特殊建築物なので、原則として、すべての居室について、非常用照明が必要となります。

Step2.必要な建築物の部分に隙間無く1lxの照度の円を書く
非常用照明の製品カタログには、『1lxを照らせる照度範囲が確認できるもの』があると思います。そちらを確認して、『室』をすべて隙間無く埋めるように、非常用照明の設置をするだけです。
例としては、下記のような感じです。
手順②必要な建築物の部分に隙間無く1lxの照度の円を書く
非常用照明の製品カタログには、1lxを照らせる照度範囲が確認できるものがあると思います。そちらを確認して、『室』をすべて隙間無く埋めるように、非常用照明の設置をするだけです。
例としては、以下のような感じ。


これだけです。難しくありませんよね?だから、非常用照明が必要になったとしても、そんなに苦労はしないと思います!
非常用照明の『緩和』とは?
非常用照明には、下記の緩和が適用可能
- 採光上外気に開放された廊下、階段その他の通路
- 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
- 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
- 学校等
- 無窓居室で、歩行距離などの所定の条件を満たした居室
- 床面積が30m2以下の居室で、避難経路等には非常用照明が設置されている場合
非常用照明は、手軽に使える緩和がとても多いことが特徴として挙げられます。だからこそ、緩和も駆使して計画することがとても重要です。

ただし、見てもらうとわかりますが、緩和が使えるのは居室ばかり!
避難経路では緩和使えないことが多いので、そこだけは注意してください!
緩和については、下記の記事で詳しく解説しています。

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まとめ
• 非常用照明:予備電源付きの照明装置、避難・消防活動・パニック防止が目的
• 設置対象:特殊建築物・3階以上500㎡超・採光無窓居室・延べ1,000㎡超の各居室とその避難経路
• 特定居室がなければ避難経路も不要
• 設置基準:①仕様規定(告示1830号等)or ②大臣認定品(JIL5501準拠)
• 緩和あり(住宅・学校・病室など)。ただし緩和は居室が中心で避難経路には使えないことが多い




