今回は、『2020.4.1施行の建築基準法改正』についてです。
と既に法改正しています。
内容がかなり多いので、いざ確認してみると吃驚する方もいるかもしれません。
でも、そんな方に最初にお伝えしておきたいのが、今回の内容は殆ど『合理化』です。(構造基準を除く)
『合理化』ってどういうことかというと、『緩和』だという事です。
要は、今まで通りの設計をするぶんには、改正後も建築基準法違反にはなりません。
だから、そんなに慌てて建築基準法の改正内容をガッツリ把握する必要は無いと思います。
必要になった時に調べる、くらいでも十分ではないでしょうか。
だから、あまり肩の力を入れずに読んでみましょう。
それでは早速いってみましょう!
はじめに
今回の建築基準法の改正は大きく分けると2つあります。
①防火・避難関係規定の合理化(合理化=緩和)
②遊戯施設の客室部分に係る構造基準の具体化(こちらは緩和ではありません)
今回は①の『防火・避難関係規定の合理化』についてのみ解説します。
そして、個人的に重要な内容順に変更していますので法文通りの順番にはなっていません。
ご了承ください。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
令第128条の2:敷地内通路の幅員の緩和
建築基準法施行令第128条 敷地内の通路
敷地内には、第123条第2項の屋外に設ける避難階段及び第125条第1項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3 以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあつては、90㎝)以上の通路を設けなければならない。
- 階数3階建以下 かつ 延べ面積200㎡未満の建築物は敷地内通路が90㎝へ緩和
- 今回の法改正の大目玉
施行令第128条の5:内装制限の緩和の拡大
建築基準法施行令第128条の5 特殊建築物等の内装
(省略)
7 前各項の規定は、火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、床面積、天井の高さ並びに消火設備及び排煙設備の設置の状況及び構造を考慮して国土交通大臣が定めるものについては、適用しない。
- 改正までは、スプリンクラー設置+排煙設備設置で内装制限の緩和が可能でしたが、そちらの内容が追加
告示が出たので詳細は以下の記事
施行令第111条:採光無窓居室の緩和
建築基準法第111条 窓その他の開口部を有しない居室等
法第35 条の3(法第87 条第3 項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室(避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室その他の居室であつて、当該居室の床面積、当該居室の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離並びに警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)とする。
-
- 採光無窓の検討3つに中の1つである法第35条の3が緩和に(3つの採光無窓についての記事はこちら)
- 避難階又は直上階、直下階に限り緩和可能
告示の内容が出たので、詳しくは、以下の記事へ。
施行令第112条第18項:異種用途区画の緩和
建築基準法施行令第112条第18項
(省略)
18 建築物の一部が法第27条第1項各号、第2項各号又は第3 項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。
- 緩和が追加された事によって、告示に定めた内容に適合させれば、異種用途区画が不要
- 告示が出たので、以下の記事確認ください。
施行令第112条第1項:面積区画の開放部分のみなし緩和
建築基準法施行令第112条
(省略)
3 主要構造部を耐火構造とした建築物の2 以上の部分が当該建築物の吹抜きとなつている部分その他の一定の規模以上の空間が確保されている部分(以下この項において「空間部分」という。)に接する場合において、当該2以上の部分の構造が通常の火災時において相互に火熱による防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、当該2以上の部分と当該空間部分とが特定防火設備で区画されているものとみなして、第1項の規定を適用する。
- 開放された空間、『空間部分』があれば、面積区画されたものとみなす内容
- 耐火構造の壁や、特定防火設備で区画する代わりに、告示に合致させる空間部分を設ける事で面積区画適合となる
施行令第126条の2第2項:排煙上別棟扱いの拡大
建築基準法施行令第126条の2 排煙設備
(省略)
2 次に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
一 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9号の二ロに規定する防火設備でその構造が第112条第19項第一号イ及びロ並びに第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの若しくは国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合における当該区画された部分
二 建築物の2以上の部分の構造が通常の火災時において相互に煙又はガスによる避難上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合における当該部分
- 排煙設備の検討を別棟扱いにする内容が追加(第二号の部分追加)
施行令第121条第4項:3階建以下200㎡以下の2直階段の緩和
建築基準法施行令第121条 2以上の直通階段を設ける場合
4 第1項(第四号及び第五号(第2項の規定が適用される場合にあつては、第4号)に係る部分に限る。)の規定は、階数が3以下で延べ面積が200 ㎡未満の建築物の避難階以外の階(以下この項において「特定階」という。)(階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)と当該階段の部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とが間仕切壁若しくは次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されている建築物又は同条第15項の国土交通大臣が定める建築物の特定階に限る。)については、適用しない。
一 特定階を第1項第四号に規定する用途(児童福祉施設等については入所する者の寝室があるものに限る。)に供する場合法第2条第9号の二ロに規定する防火設備(当該特定階がある建築物の居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた場合にあつては、10分間防火設備)
二 特定階を児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものを除く。)の用途又は第1項第五号に規定する用途に供する場合戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)
- この緩和は、3階建以下かつ200㎡以下の用途変更促進の為の改正
- 『特定階=避難階以外の階』という新ワード出現
- 3階建以下かつ200㎡以下で竪穴区画の免除をしたもの(詳細内容についてはこちらの記事で)であれば2直が不要
避難安全検証法『区画避難安全検証法』の追加
今回の改正法文はかなりのボリュームになるので、国土交通省のHPより確認ください。
避難安全検証法の改正を確認する(該当33ページから)
- 全館、各階に加えて区画毎の避難検証法である『区画避難安全検証法』の追加
- その他、計算方法の見直し