屋外避難階段はどんな建築物に必要なの?
屋外としてみなされる条件はあるの?
こんなお悩みに、答えます!
まずは結論から…
避難に優れた避難階段の1つ
屋外避難階段とは、3つある避難階段が必要な建築物は以下の3つ
- 5階から14階建ての建築物
- 地下2階の建築物
- 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物
『屋外』としてみなされるために、所定以上外部に開放されている必要がある
屋外避難階段は、※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項一号により)
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
『屋外避難階段』とは?
避難に優れた直通階段である、3つ存在する避難階段の一種 屋外避難階段とは、
建築基準法の避難規定では、直通階段の設置義務があります。その中でも、避難階段とは、その名の通り、避難に優れた直通階段のことで、詳しくは以下の記事で解説しています。
屋外避難階段は、3つある避難階段の一つです。
Q.屋外階段に必要な開放性とは?
屋外階段とみなすために、開放性の条件などはあるのかな?
開放性に関する条件があります。
屋外避難階段は以下2つの- 階段の2面以上、かつ、周長の概ね1/2以上が有効に外気に開放された階段
- 外気に開放された階段の部分が、その面する隣地境界線(公園・水面等を除く)から50㎝以上、かつ、同一敷地内の建築物から1m以上の距離を確保する
まず、屋外避難階段は、頭に『屋外』とついているため、令23条1項ただし書きに規定する屋外階段としなければなりません。屋外階段としてみなすためには、所定の開放性の条件があります。これが、最初の『階段の2面以上、かつ、周長の概ね1/2以上が有効に外気に開放された階段』という条件です。
これに加え、屋外避難階段の場合は2つ目に記載した、周辺の建築物や隣地境界線への離隔距離も定められています。
この2つを満たした階段を、屋外避難階段とすることが出来ます。詳しくは、『建築物の防火避難規定の解説』に記載されていますので、確認してみてください。
特に、概ね1/2以上の判断などは、申請先によって判断がかなり異なる印象があります…
屋外避難階段の『設置義務』とは?
避難階段は、以下の建築物の部分に必要
- 5階から14階建ての建築物
- 地下2階の建築物
- 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物
※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項一号により)
ある程度の階数の建築物になると、屋外避難階段の設置が必要になります。この他にも、2以上の直通階段の緩和を受ける場合や、条例の緩和を受ける場合などに、屋外避難階段の計画がされることがあります。
特別避難階段は、屋外避難階段よりもさらに避難に優れた階段です。15階などの高層建築物になると、特別避難階段の設置がマストになりますので、覚えておきましょう。
屋外避難階段が『設置免除』できる建築物とは?
5階以上の建築物であっても、所定の条件を満たした建築物の場合、屋外避難階段を設置する必要は無くなります。
具体的には、以下のような建築物です。
避難階段の設置免除できる建築物
2つどちらの条件も満たす建築物
以下- 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている建築物
- 5階以上又は地下2階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合
2つどちらの条件も満たす建築物
以下- 主要構造部が耐火構造である建築物
- 床面積100㎡以内ごと(共同住宅の住戸の場合は、200㎡)に耐火構造の床・壁・特定防火設備※で区画されている場合
※…直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる防火設備を含む。
共同住宅で、設置免除の条件が緩和されるケース
共同住宅で、以下2つのケースは設置条件が緩和
階段室型の場合
- 住戸の面積が200㎡以下
- 階段室が直接外気に開放されているもの
- 階段室に面しては特定防火設備の出入口の戸や0.2㎡以下の換気のための窓(両面20分の防火設備)しか設けられていないもの
開放片廊下型の場合
- 住戸の面積が200㎡以下
- 廊下は直接外気に十分開放されていて排煙上支障のないもの
- 廊下に面しては噴出火災に対して避難上支障のない両面20分の防火設備の措置がなされているもの
所定の条件を満たした場合は、防火設備で区画でもOKになるってことです!
こちらは、法文に記載されている内容ではなく、『建築物の防火避難規定の解説』に記載されているものになります。詳しくはこちらを確認するようにしてください。
『屋外避難階段』が満たすべき条件とは?
屋外避難階段の条件
以下3つ全ての条件を満たす屋内階段(令123条2項)
部位 | 条件 | |
① | 階段と開口部の離隔 | 階段から2mの距離には、②以外の開口部を設けないこと(ただし、開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸は除く) |
② | 階段に通ずる出入口 | 防火設備で所定の構造※であるものを設ける
※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造 |
③ | 階段の構造 | 耐火構造とし、避難階まで直通する |
階段と開口部の2mの離隔について
には、階段に通ずる出入口以外の 階段から2mの距離開口部を設けないこと(ただし、開口面積が各々1㎡以内の防火設備ではめごろし戸は除く)
階段から2mの範囲には、原則として、開口部を設けることが出来ません。しかし、1㎡以内のはめ殺し防火設備であれば、例外として、2mの範囲内であっても設けることが出来ます。
これは、階段から開口部を離し、火災による煙等の噴出の影響を受けないようにすることで、火災発生時であっても避難利用できるようにする為の規定です。
Q,2mの距離の測り方は?
2mの離隔距離の算定方法は以下の通り
- 2mの離隔距離は、鉛直方向の場合、階段の床面から測る
- 耐火構造の壁があった場合には、回り込みも検討しなくてはならない
2mの離隔距離については、『建築物の防火避難規定の解説』により明示されていますので、そちらを確認してみてください。
他に、行政の取り扱いで参考になる図解を合わせてご紹介します。
大阪市建築基準法取扱いより引用
福岡市建築基準法取扱いより引用
Q.2mの範囲内に設備開口を設けることはできるか?
やむをえない場合は認められる可能性があります。
原則として、設けることはできませんが、2mの範囲内は、原則として、1㎡のはめ殺し窓以外の設置は認められていません。しかし、やむをえない場合は審査先に確認をした上で認められる可能性もあります。参考になる助言を以下にまとめますので、こちらを根拠に審査先に相談をしてみてください。
【給排水設備について】
Q.屋外避難階段から2m未満の部分又は延焼のおそれのある部分を管が貫通する場合の制限はあるのか。
A.管の貫通部は開口部に該当しないので、当該部分を貫通しても差し支えありませんが、貫通部の隙間の塞ぎなどは適切に行う必要があります。詳しくは、建築主事等に確認してください。
【換気設備について】
Q.ダクトを板厚0.8mm以上の鉄板製とし、吹出し口等を屋外避難階段から2m以上離した位 置に設けた場合でも、外壁貫通部分に防火ダンパーは必要か。
A.屋外避難階段の周囲より2m未満の範囲については、防火設備である1m²以内のはめご ろし戸以外は設けることがで きません。しかし、やむを得ない場合は、室内において火 災が発生した際に火炎・煙に より避難に支障をきたさないよう躯体貫通部にFDを設け るとともに、ダクトを板厚 0.8mm以上の鉄板製とし、屋 外避難階段から2m以上離し た位置に吹出し口等を設ける 必要があります。 なお、取扱いについては建築 主事等に確認してください。
階段に通ずる出入口について
防火設備で所定の構造※であるものを設ける必要がある
階段に通ずる出入口は、※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの
階段に通ずる出入口は、単なる開口部では、屋外避難階段の条件に該当しません。防火設備で、さらに遮煙性能や、閉鎖方式の指定があります。具体的には、以下のいずれかに適合しているものにしなくてはなりません。
- 告示仕様(告示2564号)に適用していること
- 大臣認定(CAS-⚫︎⚫︎⚫︎)を取得しているものであること
Q.扉に必要な幅とは?
出入口の幅については以下の通り
- 一般の建築物→75㎝以上
- 物品販売店舗※→階の床面積100m2につき、地上階には27cm、地階には36cmの割合で計算した数値以上
※1500㎡を超えるものに限る
一般的な階段は75㎝でOKですが、物品販売業を営む店舗の場合は、階の床面積により、必要になる数値が変わりますので、ご注意ください。(令124条1項二号)
階段の構造について
耐火構造とし、避難階まで直通させること
階段の構造は、この条件はそんなに難しいものではなく、文字通りの内容になります。
1つ補足すると直通階段なので、階段の途中で扉を設けることなく、避難階に直通させる必要がありますのでご注意ください。
『耐火構造』と『避難階』の定義については、以下を確認ください。
建築基準法で『屋外避難階段』を確認する
まとめ
✔️屋外避難階段とは、以下の条件を満たす階段のこと
部位 | 条件 | |
① | 階段と開口部の離隔 | 階段から2mの距離には、①以外の開口部を設けないこと(ただし、開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸は除く) |
② | 階段に通ずる出入口 | 防火設備で所定の構造※であるものを設ける
※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造 |
③ | 階段の構造 | 耐火構造とし、避難階まで直通する |
✔️屋外避難階段は、2面以上の開放性が必要になるなど、開放性についての条件がある