無窓居室の主要構造部とは?耐火構造が必要な条件と緩和【建築基準法第35条の3】

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
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結論(まずはここだけ)

法35条の3により、令111条の無窓居室は、居室を区画する主要構造部を『耐火構造』又は『不燃材料』で造らなければならない。対象になるのは、採光上有効な開口部(床面積の1/20以上)と避難上有効な開口部の『両方がない』居室。間仕切壁も区画する部分に含まれ、パブリックコメント上は天井裏まで立ち上げることが求められている。告示249号の基準を満たせば、区画は不要になる。

この記事でわかること

  • 法35条の3の対象になる無窓居室の判定方法(令111条)
  • 耐火構造・不燃材料で区画する『範囲』と注意点
  • 区画が不要になる緩和(告示249号)の全体像
そぞろ

窓のない居室をつくると、建築基準法の規制が一気に厳しくなります!
中でも法35条の3の『区画』は、木造だと特に適合が難しい規制です。今回の記事では、法35条の3をわかりやすく解説します!

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法35条の3とは?(無窓の居室等の主要構造部)

法35条の3は、無窓居室を区画する主要構造部を『耐火構造』又は『不燃材料』で造ることを求める規定

建築基準法35条の3

政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。ただし、別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供するものについては、この限りでない。

項目内容
対象令111条で定める窓その他の開口部を有しない居室
求められる措置居室を区画する主要構造部を耐火構造とするか、不燃材料で造る
適用除外別表1(い)欄(1)項の用途(劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場)
告示249号の基準に適合する居室

なお、無窓居室なら絶対に区画が必要、というわけではなく、令111条の無窓居室に該当する場合です。ここは、間違いがないように、注意しておきましょう。

なぜ無窓居室に区画が必要なのか?

窓のない居室は、火災が起きても気づきにくく、避難に時間がかかります。そのため、通常の居室よりも高い耐火性能(耐火構造又は不燃材料)が求められています。

主要構造部・耐火構造・不燃材料については、下記の記事で解説しています。

対象となる『無窓居室』の判定方法(令111条)

法35条の3の対象は、下の①と②の『両方』を有しない居室。どちらか一方でもあれば対象外

開口部基準
①採光上有効な開口部採光に有効な部分の面積(令20条で計算)の合計が、居室の床面積の1/20以上
②避難上有効な開口部直接外気に接する避難上有効な構造で、直径1m以上の円が内接できるもの、又は幅75cm以上・高さ1.2m以上のもの

採光が1/20に足りなくても、大きい窓があれば対象外ってこと?

その通り!採光が足りなくても、避難上有効な大きさの開口部があれば法35条の3は対象外です。逆に、採光が1/20以上あれば、開口部の大きさに関係なく対象外になります!

要するに、直接外に出られる開口部があればOKということになります。避難のための開口部、と考えるとわかりやすいですね。

ちなみに、②避難上有効な開口部の場合においては、敷地内通路もセットで適用される、としている申請先は多いです。これは、法文には求められていませんが、法の趣旨として必要と判断しているのです。その敷地内通路の幅も、50㎝だったり、75㎝だったり。申請先によって異なります。念のため、押さえておきましょう。

避難上有効な開口部があれば、それだけで法35条の3は対象外になるの?

法文上は対象外。ただし、開口部から道路等に通じる敷地内通路もセットで求める申請先が多い。通路の幅(50cm・75cmなど)も申請先によって異なるので、事前に確認しておくのが安全

ふすま・障子で仕切られた2室は1室とみなす

ふすま・障子その他随時開放できるもので仕切られた2室は、令111条の適用上1室とみなします(令111条2項)。窓のない部屋でも、窓のある部屋と引戸などでつながっていれば、2室を合わせて判定できる場合があります。

Q.納戸やウォークインクローゼットも対象?

窓のない納戸やウォークインクローゼットも、法35条の3の対象になるの?

ならない。法35条の3の対象は『居室』だけ。ただし、納戸と称していても、使い方によっては居室と判断されることがある

あくまでも、居室に対して必要となる検討のため、非居室については対象外となります。詳しくは、下記の記事で解説しています。

『無窓居室』は1種類じゃない(規定ごとの違い)

建築基準法の『無窓居室』は、規定ごとに判定基準と求められる措置が違う。法35条の3の無窓は、そのうちの1つ

種類判定基準(概要)求められる措置根拠
換気上の無窓換気に有効な開口部が床面積の1/20未満換気設備の設置法28条2項
採光上の無窓採光に有効な開口部が床面積の1/20未満非常用の照明装置、直通階段までの歩行距離の強化、敷地内通路 など令116条の2 1項1号
排煙上の無窓開放できる部分(天井から80cm以内)が床面積の1/50未満排煙設備の設置令116条の2 1項2号
内装制限上の無窓排煙上の無窓(床面積50㎡超)など内装制限令128条の3の2
区画上の無窓採光1/20未満、かつ避難上有効な開口部がない区画する主要構造部を耐火構造又は不燃材料法35条の3、令111条

同じ『無窓』でも、どの規定の無窓なのかで、やるべきことが全く違います。採光上の無窓に該当しても、避難上有効な開口部があれば法35条の3は対象外。ここを混同しないようにしましょう!

無窓居室の全体像については、下記の記事で解説しています。

耐火構造・不燃材料にする『範囲』

区画するのは無窓居室を囲む主要構造部すべて。間仕切壁も含み、パブリックコメント上は天井裏まで立ち上げることが求められている

間仕切壁は天井裏まで立ち上げる?

パブリックコメントでは、区画の壁は天井面で止めず、上階の床や屋根の裏まで立ち上げることが求められています。天井を不燃材料にしただけでは、区画として扱われないということです。

根拠は、次のパブリックコメントです。

Q.無窓居室を構成する天井は主要構造部ではないため、”居室を区画する…” を満たすためには、間仕切壁は、防火区画のように天井裏 もしくは小屋裏まで達せしめなければならないか。

A.貴見の通り。

建築基準法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集の結果について

正直、これは令和元年の改正時に出てきたパブリックコメントです。それより前はグレーだったので、小屋裏・天井裏の措置については言われたことがない、という方も多いと思います。

実際、私もこのパブリックコメントが出るまで、指摘していませんでした。

この内容をどう捉えるかですけど、基本的には、小屋裏・天井裏まで達せしめた方が安全です。ただ、法文に書かれている内容ではないため、必ずしも守らなくてはならない、とは言えません。それを踏まえ、事前協議をするのも一つの手かと思います。

『不燃材料で造る』は下地も不燃材料

法35条の3は『不燃材料で造る』と規定しています。そのため、木造の下地にせっこうボードを張っただけでは、不燃材料で造ったことにはなりません。軽量鉄骨下地+せっこうボードのように、下地から不燃材料にする必要があります。

木造建築物では不燃材料で造ることができないので、耐火構造にするか、次に解説する告示249号の緩和を使うことになります。なお、告示249号2号の『不燃材料で造り、又は覆われた壁』は、被覆でもよい別の基準です。混同しないようにしましょう。

木造建築物の場合、この法35条の3はかなりの鬼門になります。やむを得ず、居室を諦めた、ということも少なくありません。

劇場・集会場などは適用除外

法35条の3のただし書きにより、別表1(い)欄(1)項の用途(劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場)に供する居室は対象外です。客席など、そもそも窓がないことが前提の用途だからです。

区画が不要になる緩和(告示249号)

告示249号の基準に適合する無窓居室は、耐火構造・不燃材料による区画が不要。基準は1号・2号のいずれか

1号の緩和(令和2年4月1日施行)

次の①と②の両方に該当すること(寝室・宿直室など就寝用の居室は対象外)

  • ①次のいずれかに該当
    • 床面積が30㎡以内の居室
    • 避難階の居室で、屋外への出口までの歩行距離が30m以下
    • 避難階の直上階・直下階の居室で、屋外への出口又は屋外避難階段の出入口までの歩行距離が20m以下
  • ②建築物に自動火災報知設備を設置

2号の緩和(令和5年4月1日施行)

居室の面積や歩行距離の制限がない代わりに、避難経路全体に措置が必要なルートです。次のすべてに該当する必要があります。

項目要件(概要)
対象外の居室就寝用の居室、病院・診療所(患者の収容施設あり)・児童福祉施設等(通所のみを除く)の居室、地階の居室
イ 廊下等居室から直通階段までの廊下等を不燃材料で造り又は覆われた壁・戸で区画、又はスプリンクラー設備等を設置
ロ 直通階段階段室を準耐火構造・防火設備で区画、又は屋外階段とし出入口に防火設備
ハ 避難階の廊下等階段から屋外への出口までの廊下等を準耐火構造・防火設備で区画
ニ 廊下等の内装居室から直通階段までの廊下等を『火災の発生のおそれの少ない室』とする(煙高さの検証による例外あり)
ホ 非常用照明居室と、居室から地上までの廊下等に非常用の照明装置を設置
ヘ 自動火災報知設備建築物に自動火災報知設備を設置

2号は条件が多いですが、木造で無窓居室をつくる場合は積極的に検討したい緩和です!各要件の詳しい解説は、下記の記事を確認してください!

実務で注意したいケース

木造住宅のシアタールーム・音楽室

防音のために窓をなくしたシアタールームや音楽練習室は、法35条の3の対象になりやすい居室です。木造では区画が難しいため、告示249号1号(床面積30㎡以内+自動火災報知設備)で適合させるのが現実的な選択肢になります。

テナント改修・用途変更で無窓居室が生じる

間仕切壁を追加して会議室や個室をつくると、新たに窓のない居室が生まれることがあります。既存建築物の改修でも、区画の要否は必ず確認しておきましょう。

Q.RC造や鉄骨造なら気にしなくていい?

RC造や鉄骨造なら、法35条の3は気にしなくていいの?

躯体は適合しやすいが、間仕切壁の仕様と立ち上げは別途確認が必要。木下地の間仕切壁は区画にならず、天井止めの間仕切壁もパブリックコメント上は区画として扱われない点に注意

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まとめ

  • 法35条の3は、無窓居室を区画する主要構造部を耐火構造又は不燃材料で造ることを求める規定
  • 対象は、採光1/20以上の開口部と避難上有効な開口部の『両方がない』居室(令111条)
  • 避難上有効な開口部で対象外にする場合、敷地内通路を求める申請先が多い
  • 『無窓居室』は規定ごとに判定基準と措置が違う。法35条の3の無窓はその1つ
  • 間仕切壁も区画に含まれ、パブリックコメント上は天井裏まで立ち上げる扱い。『不燃材料で造る』は下地も不燃材料
  • 劇場・集会場などの(1)項用途は適用除外
  • 告示249号の1号・2号のいずれかに適合すれば、区画は不要

根拠法文

記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。

法35条の3

根拠法文を確認する(クリックで展開)

(無窓の居室等の主要構造部)
第三十五条の三 政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。ただし、別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供するものについては、この限りでない。

令111条

根拠法文を確認する(クリックで展開)

(窓その他の開口部を有しない居室等)
第百十一条 法第三十五条の三(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当する窓その他の開口部を有しない居室(避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室その他の居室であつて、当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)とする。
一 面積(第二十条の規定により計算した採光に有効な部分の面積に限る。)の合計が、当該居室の床面積の二十分の一以上のもの
二 直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径一メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上及び一・二メートル以上のもの
2 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前項の規定の適用については、一室とみなす。

告示249号

根拠法文を確認する(クリックで展開)

建築基準法施行令(以下「令」という。)第百十一条第一項に規定する避難上支障がない居室の基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 次のイからハまでのいずれか及び第二号ヘに該当すること。
イ 床面積が三十平方メートル以内の居室(寝室、宿直室その他の人の就寝の用に供するものを除く。以下この号において同じ。)であること。
ロ 避難階の居室で、当該居室の各部分から当該階における屋外への出口の一に至る歩行距離が三十メートル以下のものであること。
ハ 避難階の直上階又は直下階の居室で、当該居室の各部分から避難階における屋外への出口又は令第百二十三条第二項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口の一に至る歩行距離が二十メートル以下のものであること。
二 次のいずれにも該当するものであること。
イ 次の(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 居室(寝室、宿直室その他の人の就寝の用に供するもの、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)若しくは児童福祉施設等(令第百十五条の三第一号に規定する児童福祉施設等をいい、通所のみにより利用されるものを除く。)の用に供するもの及び地階に存するものを除く。以下同じ。)から令第百二十条の規定による直通階段(以下単に「直通階段」という。)に通ずる廊下等(廊下その他の避難の用に供する建築物の部分をいう。以下同じ。)が、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。以下同じ。)で令第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。
(2) 当該居室から直通階段に通ずる廊下等が、スプリンクラー設備(水源として、水道の用に供する水管を当該スプリンクラー設備に連結したものを除く。)、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの(以下「スプリンクラー設備等」という。)を設けた室以外の室(令第百二十八条の六第二項に規定する火災の発生のおそれの少ない室(以下単に「火災の発生のおそれの少ない室」という。)を除く。)に面しないものであり、かつ、火災の発生のおそれの少ない室に該当する場合を除き、スプリンクラー設備等を設けたものであること。
ロ 直通階段が、次のいずれかに該当すること。
(1) 直通階段の階段室が、その他の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号。以下「法」という。)第二条第九号の二ロに規定する防火設備で令第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。
(2) 直通階段が屋外に設けられ、かつ、屋内から当該直通階段に通ずる出入口に(1)に規定する防火設備を設けたものであること。
ハ 避難階における階段から屋外への出口に通ずる廊下等(火災の発生のおそれの少ない室に該当するものに限る。ただし、当該廊下等にスプリンクラー設備等を設けた場合においては、この限りでない。)が、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で令第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されたものであること。
ニ 居室から直通階段に通ずる廊下等が、火災の発生のおそれの少ない室に該当すること。ただし、不燃材料で造り、又は覆われた壁又は戸で令第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画された居室に該当する場合において、次の(1)から(3)までに定めるところにより、当該居室で火災が発生した場合においても当該居室からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙又はガスの高さに基づき検証する方法により確かめられたときは、この限りでない。
(1) 当該居室に存する者(当該居室を通らなければ避難することができない者を含む。)の全てが当該居室において火災が発生してから当該居室からの避難を終了するまでの時間を、令和三年国土交通省告示第四百七十五号第一号イ及びロに掲げる式に基づき計算した時間を合計することにより計算すること。
(2) (1)の規定によって計算した時間が経過したときにおける当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスの高さを、令和三年国土交通省告示第四百七十五号第二号に掲げる式に基づき計算すること。
(3) (2)の規定によって計算した高さが、一・八メートルを下回らないことを確かめること。
ホ 居室及び当該居室から地上に通ずる廊下等(採光上有効に直接外気に開放された部分を除く。)が、令第百二十六条の五に規定する構造の非常用の照明装置を設けたものであること。
ヘ 令第百十条の五に規定する基準に従つて警報設備(自動火災報知設備に限る。)を設けた建築物の居室であること。

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この記事を書いた人

そぞろのアバター そぞろ 建築法規作家

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。