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歩行距離とは?距離の測り方・緩和についてわかりやすく解説

本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計2万部)、日経アーキテクチャー「著者に聞く」掲載
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]
歩行距離とは、居室から直通階段(避難階は主要な出入口)までの距離のこと。最短30m・最長60mの範囲で、用途・構造・階数によって数値が変わる。測り方(壁からの離隔・斜め計測)は申請先によって判断が異なるため、ギリギリの計画は必ず事前協議が必要。
この記事でわかること
- 避難階・避難階以外の階それぞれの歩行距離の規制
- 令120条の数値一覧(用途・構造別)
- 歩行距離の測り方と申請先による判断の違い
- 壁からの離隔距離(50cm・1m)の根拠
- 斜め計測が認められるケース・認められないケース
そぞろ歩行距離は、意外とグレーゾーンの巣窟です!
この記事では、グレーの内容の含めて、わかりやすく解説していきます!
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歩行距離の規制とは?
歩行距離は、『避難階』か『避難階以外の階』かで数値が異なる
単純に歩行距離と言っても、避難階なのか、それ以外の階なのかで異なります。避難階の定義については以下の記事を確認してください。

| 避難階 | 避難階以外の階 |
| ・各居室から主要な出入口まで『令120条の歩行距離×2』以下とすること ・直通階段から主要な出入口まで『令120条の歩行距離』以下とすること | 各居室から直通階段まで『令120条の歩行距離』以下とすること |



肝心の令120条の数値は以下の通りになります!
| 構造・居室の種類 | 主要構造部が準耐火構造、または不燃材料で造られている場合 | その他 | ||
| 居室及び階段・廊下の壁と天井を準不燃材料にした場合 | その他 | |||
| (1) | 令116条の2第1項一号にあたる開口部を有しない居室★
または 法別表第一(い)欄(四)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 40m | 30m | 30m |
| (2) | 法別表第一(い)欄(二)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 60m | 50m | 30m |
| (3) | (1)または(2)以外の居室 | 60m | 50m | 40m |
| ※15階以上の居室にあっては、表の数値-10mとなる。(令120条第2項・第3項) ★該当する無窓居室については『【2023.4.1施行】無窓居室の歩行距離の緩和について』で詳しく解説 | ||||

最短でも、30mなので、平面的に小さい建築物であればそこまで意識しなくても適合していることが多いです!
あと、意外と見落としがちなのが、敷地内通路の規定です。避難階の歩行距離については、正直、出入口をたくさん設ければ簡単に適合することが多いです。しかし、歩行距離で出入口とした部分については、道路まで敷地内通路の規定により、原則として、1.5mの幅員が必要になります。意外と見落としがちなので、注意しましょう。敷地内通路については、下記の記事で詳しく解説しています。

その他、表に対してよくあるQAをまとめました。
- 『令116条の2第1項一号にあたる開口部を有しない居室』とは?
-
いわゆる、採光無窓のことで、『居室面積× 1/20』の採光上有効な開口部を有しない居室のこと
詳細は下記の記事で解説
建築基準法とらのまき。
採光無窓を回避せよ!建築基準法「3つの条文」で読み解く居室判定 | 建築基準法とらのまき。 結論(まずはここだけ) 『採光計算がNG=部屋として使えない』と諦めるのはまだ早い。 無窓居室(採光無窓)には「法28条」「法35条」「法35条の3」という3つの異なるハー… - 採光無窓だったら、絶対に(1)の数値となるか?
-
緩和を使うことで採光無窓でも、(2)(3)にすることは可能。居室の面積や非常用の照明装置など、多くの条件があるため、下記の記事を参照
建築基準法とらのまき。
【2023.4.1施行】無窓居室の歩行距離の緩和について | 建築基準法とらのまき。 [jin_icon_calendar]施行日:2023年(令和5年)4月1日 窓がない居室は、建築基準法の規制が厳しくなります。なぜなら、窓がない居室は避難上不利だと考えられているからで…
歩行距離の測り方について
歩行距離は下記2つの内容は申請先によって判断が異なるので、確認が必要となる
- 壁からの離隔距離を設ける場合
- 斜めで距離をとる場合
歩行距離は、かなり申請先によって判断が異なる規定です。したがって、ギリギリの計画となってしまう場合には、必ず事前協議が必要となります。

事前協議でどんな内容を確認してほしいか、解説していきます!
壁から数㎝離すことは可能か?
歩行距離を測るとき、スタートの部分を壁面から数㎝離すのは認められる可能性が高いです。なぜなら、『居室の仕上げ面人が建てる範囲』とはならないからです。人間には、厚みが存在するからです。
では具体的に何㎝離すことができるのか。ここでは、50㎝と1mの根拠をお伝えします。
50㎝の根拠としては、『建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕』に記載されている為です。こちらの取扱いでは、壁面から50㎝離すことが可能との記載があります。
『建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕』より引用
1mの根拠としては、『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』の解説書になります。避難安全検証法では、歩行距離の数値を用いて検討を行います。その歩行距離の距離は、壁面から1mを起点として良い旨が明記されています。

ただし、1mが認められるケースはかなり稀です。『避難安全検証法の算定に用いる歩行距離』と『通常の歩行距離』は全くの別物と解釈されることが多いからです。
斜めに測ることは可能か?
歩行距離を斜めに測ることは原則としては可能です。しかし、取り扱いなどでは斜めでは出来ないとしている場合もありますので、念の為に申請先に確認をした方がいいでしょう。
斜めの歩行距離を認めていない2つのケースについてご紹介します。
1つ目は、『建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕』に記載されている内容です。原則として、家具等を考慮して垂直・水平に移動しなくてはなりません。ただし、以下を確認していただくとわかりますが、家具等の配置によっては斜め歩行でもやむをえない場合があるとされているので、絶対では無いようです。
『建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕』より引用
2つ目は、『避難安全検証法(時間判定法)の解説及び計算例とその解説』に記載されています。先ほどもご紹介しましたが、避難安全検証法では、歩行距離の数値を用いて検討を行います。その歩行距離は斜めの移動は認められず、垂直・水平に移動しなくてはなりません。
歩行距離の緩和について
歩行距離は、『居室及び階段・廊下の壁と天井を準不燃材料にした場合』には、-10mされる
こちらは表で示した通りですが、内装制限をすることで、歩行距離の緩和を受けることが可能です。
居室だけでなく、その避難経路でもある階段・廊下についても内装制限の対象となりますので、注意するようにしましょう。
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まとめ
- 歩行距離は避難階と避難階以外の階で規制が異なる
- 数値は最短30m・最長60m(15階以上は-10m)
- 壁からの離隔は50cm(大阪府条例QA根拠)が認められやすい。1mはかなり稀
- 斜め計測は原則可だが申請先によっては不可のケースあり
- 準不燃材料で内装制限をすれば10m緩和が使える(15階以上は不可)
- ギリギリの計画は必ず事前協議
根拠法文
記事内では正確な情報発信を心がけていますが、最終的な判断は必ず原文(法令)を確認してください。実務で役立つ主要な条文を抜粋して掲載します。
令120条
根拠法文を確認する(クリックで展開)
建築物の避難階以外の階(地下街におけるものを除く。次条第一項において同じ。)においては、避難階又は地上に通ずる直通階段(傾斜路を含む。以下同じ。)を次の表の上欄に掲げる居室の種類の区分に応じ当該各居室からその一に至る歩行距離が同表の中欄又は下欄に掲げる場合の区分に応じそれぞれ同表の中欄又は下欄に掲げる数値以下となるように設けなければならない。
| 居室の種類 | 構造 | 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られている場合 | その他の場合 | |
| (単位 メートル) | (単位 メートル) | |||
| (一) | 第百十六条の二第一項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室(当該居室の床面積、当該居室からの避難の用に供する廊下その他の通路の構造並びに消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び警報設備の設置の状況及び構造に関し避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものを除く。)又は法別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 三〇 | 三〇 | |
| (二) | 法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 五〇 | 三〇 | |
| (三) | (一)の項又は(二)の項に掲げる居室以外の居室 | 五〇 | 四〇 | |
2 主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られている建築物の居室で、当該居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁(床面からの高さが一・二メートル以下の部分を除く。)及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料でしたものについては、前項の表の数値に十を加えた数値を同項の表の数値とする。ただし、十五階以上の階の居室については、この限りでない。
3 十五階以上の階の居室については、前項本文の規定に該当するものを除き、第一項の表の数値から十を減じた数値を同項の表の数値とする。
4 第一項の規定は、主要構造部を準耐火構造とした共同住宅の住戸でその階数が二又は三であり、かつ、出入口が一の階のみにあるものの当該出入口のある階以外の階については、その居室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離が四十メートル以下である場合においては、適用しない。
令125条
根拠法文を確認する(クリックで展開)
避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第百二十条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の二倍以下としなければならない。





