ルートBとルートCって何が違うの?どっちでやるべき?
ルートBには『B1とB2』の2つがあるみたいだけど、何が違うの?
今回の記事ではこんな疑問に法的根拠を元に答えます。
ざっくりまとめると、
それぞれの違いは以下の通り
- ルートA➡︎仕様規定
- ルートB➡︎性能規定(告示で定められた計算式によって安全性を検証する方法・大臣認定不要)
- ルートC➡︎性能規定(告示で定められた計算式以外によって安全性を検証する方法・大臣認定必要)
柔軟な対応が出来るかどうか。
ルートBとルートCの違いは、告示で定められた式が異なること。それ以外は一緒
ルートB1とB2の違いは、それぞれのルートの違いを理解することが重要だと思いますので、今回はわかりやすく解説していきます!sozooro)
避難安全検証法の基本的な内容については以下の記事で詳しく解説しているので合わせて確認してみてください。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
ルートA・ルートB・ルートCの違いとは?
ルートA・ルートB・ルートCの違いについて
ルートA | 仕様規定 | / | / |
ルートB | 性能規定(避難安全性能を有するもの) | 告示で定められた計算式によって安全性を検証する方法 | 大臣認定不要 |
ルートC | 性能規定(避難安全性能を有するもの) | 告示で定められた計算式以外によって安全性を検証する方法 | 大臣認定必要 |
まず、ルートAは仕様規定。ルートB・Cは性能規定という大きな違いがあります。
仕様規定は、法文に書いてある具体的な内容をそのまま適用させればok。一方、性能規定は法文に書いてある『性能』を満たしていることを検討する代わりに、建築基準法一部の規制を適用除外することが出来ます。
斜線制限で、普通に検討するのが『仕様規定』で、天空率で斜線制限を適用除外するのが『性能規定』です!
当たり前ですが、防火区画(令112条)や避難規定(法35条)は法文に記載されている通りに適合させなくてはなりません。これが仕様規定です。
ただし、性能規定で避難安全性能を有するものと確かめることで、防火区画(令112条)や避難規定(法35条)の一部の適用を除外することが出来ます。
じゃあ、同じ性能規定で『避難安全性能を有するもの』でもBとCは何が違うの?
ルートBは告示に書いてある検討式で行えばいいのです。一方、ルートCは式を用いず、自分で考えた方法で検討を行う必要があります。
なんとなく想像できると思うのですが、ルートCの方が検討は難しいです。なんせ、手探りで所定の性能が確保できていることを証明しないといけませんから。
それに、所定の性能が確保できるかどうかって、どうやって判断するの?
だから、先ほどの表の通りにルートBとルートCには国土交通大臣の認定の有無の違いがあるのです。そういった面でも、ルートCの方が手間と時間がかかり、検討が難しいと言えるでしょう。
法文で確認する
例として区画避難安全検証法の法文を出しますが、階避難も全館避難も一緒です!
建築基準法施行令128条6
居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたもの(2以上の階にわたつて区画されたものを除く。以下この条において「区画部分」という。)のうち、当該区画部分が区画避難安全性能を有するものであることについて、区画避難安全検証法により確かめられたもの(主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られた建築物の区画部分に限る。)又は国土交通大臣の認定を受けたものについては、第126条の2、第126条の3及び前条(第2項、第6項及び第7項並びに階段に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。
青色でマーカーした部分がルートBのことで、赤色でマーカーした部分がルートCのことです。
ルートBとルートCの実務的な違いは?
わざわざ難しいルートCをやるメリットってなんだろう?
あ!もしかして、ルートCの方が、適用除外できる項目が多いんじゃない?
勘違いされがちなのですが、ルートBでもルートCでも、建築基準法の適用除外できる項目は全く一緒です。
ここまで聞いて見るとルートCをわざわざ行うメリットが無いように感じてしまうのは当然です。しかし、ルートCで検討した場合のメリットも当然あります。
柔軟な計画が可能となる
ルートCで検討した方が、ルートBより例をあげると、ルートBでは自力避難が困難と考えられる用途(病院、診療所、児童福祉施設、老人ホームなど)では原則として適用することが出来ません。
これは、施行令ではなく、告示に記載されていることです。
一方、ルートCは告示による計算ではない為、自力避難が困難と考えられる用途であっても適用することが出来ます。(もちろん、認定のハードルが上がりますが…)
以上にあげた以外にも、ルートBで行う場合は出来ないことが、ルートCになったら出来るということも多くあります。
このように、ルートCの場合は告示というのは良くも悪くも告示による縛りが無いので、比較的自由に検証を行うことが出来ます。
ルートB1とルートB2の違いは?
告示で定められた式が異なる
ルートB1とB2の違いは、ルートBは、告示で定められた計算式によって安全性を検証する方法です。ルートB1とB2の違いは、その告示で定められた計算式のみの違いです。
以下にまとめます。
区画避難安全検証法 | ルートB1 | 告示509号 |
ルートB2 | 告示474号 | |
階画避難安全検証法 | ルートB1 | 告示510号 |
ルートB2 | 告示475号 | |
全館画避難安全検証法 | ルートB1 | 告示511号 |
ルートB2 | 告示476号 |
例えば、ルートB1は天井高さが高く、床面積が広い居室等で成立がしやすいです。一方、ルートB2は部屋の形状が整形だと成立しやすいです。
このように、成立しやすい室の違いがありますので、計画によって使い分けるようにしましょう。
まとめ
✔️ルートA・B・Cの違いは以下の通り
ルートA | 仕様規定 | / | / |
ルートB | 性能規定(避難安全性能を有するもの) | 告示で定められた計算式によって安全性を検証する方法 | 大臣認定不要 |
ルートC | 性能規定(避難安全性能を有するもの) | 告示で定められた計算式以外によって安全性を検証する方法 | 大臣認定必要 |
✔️ルートCは、ルートBに比べて検討が難解にあるが、自由な計画が可能
✔️ルートB1とB2の違いは、告示で定められた式が異なり、成立しやすい室の違いがある