こんなお悩みに対して法的根拠を元に解説していきます。
まずは結論を整理すると、
✔️以下の建築物は確認申請不要
①都市計画区域外の四号建築物の建築
②四号建築物の大規模な修繕、大規模な模様替
③防火地域、準防火地域外の10㎡以内の増築
④建築基準法上の建築物扱いにならない建物
⑤建築基準法の適用を受けない特殊な建築物
⑥仮設建築物(一部を除く)
そこで、今回がまるっとわかりやすくまとめました。
法文も合わせて記載してあるので、合わせて確認してみてください。
では、早速解説していきます!
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
確認申請とは?
確認申請とは、工事を着工する前に建築物とその敷地が建築基準法その他関係法令に適合しているかどうかチェックを受ける事です。(建築基準法第6条)
確認申請は特定行政庁または指定確認検査機関などの第3者からチェックを受ける必要があります。
どんなベエラン建築士の設計計画でも、小規模で建築基準法の適用をあまり受けない建築物の計画でも、確認申請が必要なのであれば第3者からのチェックは必須です。確認申請が必要な建築物は、以下の記事で詳しく解説しています。
しかし、費用も時間もかかります。出来ればやりたく無いですよね。
確認申請は全ての建築物に必要な訳ではありません。一部建築物は不要になります。今回の本題である確認申請が不要になる6つの建築物を解説します。
建築確認申請をしないで、建築をするとどうなる?
確認申請は、建築基準法で定められている制度です。したがって、確認申請を行なっていない建築物は、違反建築物となります。したがって、最悪の場合は、取り壊しを命じられることもあります。
確認申請が必要と判明した場合は、必ず確認申請を行うようにしましょう。
①都市計画区域外の四号建築物の建築
以下の区域以外の四号建築物の建築は確認申請不要
◆都市計画区域
◆準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)
◆景観法第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内
◆都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域
そもそも、建築基準法は都市が発展した事で出来た法律です。だから、都市計画区域外は建築基準法の規制は緩かったりします。その為、四号建築物に限りますが、都市計画区域外は確認申請不要です。
四号建築物とは?
以下2つ全て満たすもの
①用途が原則、特殊建築物ではない事
(特殊建築物だった場合、200㎡以下である事)
②規模が以下のいずれかに該当する事
◆木造建築物で階数2以下、延べ面積500㎡以下、最高高さ13m以下、軒高9m以下(全て満たす)
◆木造以外の建築物で階数1階、延べ面積200㎡以下(全て満たす)
その他、四号建築物はさまざまな部分で特別扱いされる建築物です。当サイトで詳しく解説しているので参考にして見てください。
建築とは?
◆新築
◆増築
◆改築
◆移転
法文で根拠確認
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
建築主は、(省略)その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(省略)第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
(一〜三号省略)
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
②四号建築物の大規模の修繕、大規模の模様替
四号建築物の大規模の修繕、大規模の模様替は確認申請不要
大規模の修繕、大規模の模様替えとは?
主要構造部の過半を修繕や模様替をすること
法文で根拠確認
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(省略)これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合(以下省略)
四号建築物は含まれていない!
③防火地域、準防火地域外の10㎡以内の増築
防火地域、準防火地域外の合計10㎡以内の増築、改築、移転は確認申請不要
例えば、防火指定の無い区域(法第22条区域など)で10㎡以内の増築は、確認申請が不要です。しかし、防火地域、準防火地域内は1㎡でも増築したら確認申請が必要です。意外と見落としやすいので注意したいですね。
法文で根拠確認
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
(第一項省略)
2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、適用しない。
④建築基準法上の建築物扱いにならない建物
そもそも建築物に該当しないなら、建築基準法の適用を受けないから確認申請不要
建築基準法で定義されている建築物とは?
以下のいずれか1つに該当する事
◆土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの
◆建築物に附属する門若しくは塀
◆観覧のための工作物
◆地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
◆建築設備
小規模な倉庫は建築物に該当しない??
実は、小規模な倉庫は建築物扱いにならない場合もあります。根拠は『建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例』です。
土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含)のうち、奥行きが1m以内のもの又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない。
建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2017年度版 より
詳しくは、当サイトで解説しているので合わせて確認ください。
⑤建築基準法の適用を受けない特殊な建築物
以下の建築物は、建築基準法の適用を受けないので確認申請不要
◆文化財保護法の規定によつて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物
◆旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物
◆文化財保護法第百八十二条第二項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの
◆第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの
確認申請ももちろん不要です!
法文で根拠確認
(適用の除外)
この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によつて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物
二 旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物
三 文化財保護法第百八十二条第二項の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの
四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの
⑥仮設建築物(一部を除く)
以下の仮設建築物は確認申請の規定の緩和があるので確認申請不要
◆非常災害があった場合に、非常災害区域等内においては、災害により破損した建築物の応急の修繕(防火地域内を除く)
◆非常災害があった場合において、次の各号のいずれかに該当する応急仮設建築物の建築物(防火地域内を除く)
一 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの
二 被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が30㎡以内のもの
◆災害があった場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物
◆工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物
建築基準法の一部の緩和があります。
その中に、確認申請も含めています!
一部を除くとは?
除くってどういう事?
仮設建築物の緩和の規制は、建築基準法第85条に記載がありますが、一部仮設建築物は確認申請の規定(法第6条の規定)の緩和がありません。つまり、いくら仮設建築物でも、確認申請の手続きが必要という事です。
仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物で、特定行政庁の許可を得たものは建築基準法の緩和を受ける事が可能ですが、
これらの仮設建築物は確認申請が必要です。
このあたり混在している方が多いので、念の為の確認してください。
法文で根拠確認
(仮設建築物に対する制限の緩和)
非常災害があつた場合において、非常災害区域等(非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政庁が指定するものをいう。第八十七条の三第一項において同じ。)内においては、災害により破損した建築物の応急の修繕又は次の各号のいずれかに該当する応急仮設建築物の建築でその災害が発生した日から一月以内にその工事に着手するものについては、建築基準法令の規定は、適用しない。ただし、防火地域内に建築する場合については、この限りでない。
一 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの
二 被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が三十平方メートル以内のもの
2 災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第六条から第七条の六まで、第十二条第一項から第四項まで、第十五条、第十八条(第二十五項を除く。)、第十九条、第二十一条から第二十三条まで、第二十六条、第三十一条、第三十三条、第三十四条第二項、第三十五条、第三十六条(第十九条、第二十一条、第二十六条、第三十一条、第三十三条、第三十四条第二項及び第三十五条に係る部分に限る。)、第三十七条、第三十九条及び第四十条の規定並びに第三章の規定は、適用しない。ただし、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が五十平方メートルを超えるものについては、第六十二条の規定の適用があるものとする。
(第3項〜第4項省略)
5 特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(次項及び第百一条第一項第十号において「仮設興行場等」という。)について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、一年以内の期間(建築物の工事を施工するためその工事期間中当該従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗その他の仮設建築物については、特定行政庁が当該工事の施工上必要と認める期間)を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第十二条第一項から第四項まで、第二十一条から第二十七条まで、第三十一条、第三十四条第二項、第三十五条の二、第三十五条の三及び第三十七条の規定並びに第三章の規定は、適用しない。
まとめ:確認申請が不要になるのは6つの建築物
最後に、確認申請が不要になる建築物を並べたので、再度確認してみてください。
✔️以下の建築物は確認申請不要
①都市計画区域外の四号建築物の建築
②四号建築物の大規模の修繕、大規模の模様替え
③防火地域、準防火地域外の10㎡以内の増築
④建築基準法上の建築物扱いにならない建物
⑤建築基準法の適用を受けない特殊な建築物
⑥仮設建築物(一部を除く)
最後までありがとうございました!