建築基準法

【道路斜線の緩和①】2A、2道路緩和の使い方。水路公園の扱い

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今回は『2A、2道路緩和の使い方、注意点』についての記事です。

2A緩和とは

敷地に2以上の道路が接道している場合、すべての道路が一番広い道路の幅員でものであるものとみなす

(施行令第132条より)

仮に、6m道路と4m道路の2つの道路が接道している場合、4m道路の方も6m道路で道路斜線を検討する事ができるという法文です。

非常に使いやすい2A緩和ですが、1つだけ注意点があります。

それは、『2Aが使える範囲』と『2Aが使えない範囲』に分かれる事です。

 

その範囲を間違えてしまって、すべての敷地を広い方の幅員で検討していると、道路斜線をガッツリ当ててしまうかもしれません。

 

そこで、今回は

①2A緩和が使える範囲、使えない範囲

②2A緩和で必ず検討しなければならない箇所

について解説します。

 

ちなみに、2A緩和は実は緩和ではないというマイナーな解説もしているのでよかったら合わせて確認ください。

 

書いている人
そぞろ

指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。
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著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社

2A緩和が使える範囲、使えない範囲

2Aが使える範囲、使えない範囲の判定は、『2つの作図』をする事で簡単に求める事ができます。

この2つの作図をすれば基本的にどんな敷地形状でも簡単に求める事ができます。

では早速『2つの作図』を意識して、2Aの範囲を確認してみましょう。

 

作図その①:広い道路から『2Aかつ35m以内』のラインを引いて色塗り

図のように、広い道路Aから『2Aかつ35m以内』のラインを引いて、その外側に薄く色を塗ってください。

あくまで薄く塗ってください。後で理由がわかると思います。

この時、基本的には道路に並行にして線を引きます。

 

作図その②:狭い道路から『道路中心から10m』のラインを引いて色塗り

先ほどは広い道路でしたが、次は狭い道路です。

図のように、今度は狭い道路Bから『道路中心から10m』のラインを引いて、その内側を薄く塗ってください。

注目していただきたいのが、『道路の中心から』という事です。このあたり間違えないように。

 

最後に作図した2つを重ねる

2つの図面を重ねると、薄く塗っていた2つが重なり、濃くなっている部分がありますよね。

その濃い部分が『2A緩和が使えない範囲』です。

逆に、その他の部分はすべて『2A緩和が使える範囲』となります。

 

要するに、以下のようになります。

 

公園、広場、水路その他これらに類するもの扱い

それは、施行令第134条第2項より、

道路対岸側に公園、広場、水路がある場合は、

『道路の幅員は公園、広場、水路の幅員との合算としても良い事』になっています。

 

参考例:多分大体はこういう考え方になる

2Aかつ35m以内っていうのは知っていたけど、狭い道路から10mってのは知らなかった!今まで大丈夫だったかな?
大丈夫だと思います!大体の敷地はこうなるので

作図①の段階で、もし敷地の外側にはみ出していた場合は、もうすべての幅員で検討する事ができます。

一般住宅なら、そんなに大きい敷地は無いと思うので、作図②までする必要は無い事が多いです。

 

2A緩和で必ず検討しなければならない箇所

さて、『範囲』がわかったところで、

実務で必ずチェックしなければならない箇所についてご説明します。

 

それは、『2Aが使えない範囲』の建築物の部分です。

先程求めた、Bの幅員(狭い幅員)で検討しなければならない建築物の部分は、道路斜線が厳しい箇所です。

必ず検討するようにしましょう。

まとめ:2A緩和が使える範囲を注意深く確認する事

2A緩和を使える範囲の判断方法は『2つの作図』で確認する(施行令第132条)

  • 作図その①:広い道路から『2Aかつ35m以内』のラインを引いて色塗り
  • 作図その②:狭い道路から『道路中心から10m』のラインを引いて色塗り
  • 最後に、①②の作図を重ねて、濃くなった部分は狭い幅員となる

公園、広場、水路が道路対岸側にあった場合は道路との合算幅員をAとして考えて良い(施行令第134条)

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そぞろ。
このサイトを作成している管理者。建築法規に関わる仕事をしています。難解な建築基準法をわかりやすく、面白く解説して、『実は簡単なんじゃないの?』と勘違いしてもらいたい。著書『用途と規模で逆引き!住宅設計のための建築法規』

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