今回は『4号特例、型式特例』についての記事です。
建築物を建てる時は必ず『建築基準法』に適合させなければならない、という事は当然の事ですよね。
そして、建築基準法の中には『特例』というものがあります。
特例と言われると、
という、誤解を招きますが、これは間違っています。
今回ご紹介する『4号特例、型式特例』というのは、建築基準法に適合させる、という意味では他の建築物と変わりません。
確認申請の手続きを特例で容易にする事を『4号特例、型式特例』としています。
だから、特例の建物でも、すべての建築基準法への適合は必要です。
今回は、そんな『特例の話』について解説していきます。
確認申請の特例ってどういことか?特例の条文の読み方、特例の内容を確認してみましょう!
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
特例を使って確認申請するってどういう事?
確認申請の手続きを容易にする為の特例ってどういうことでしょうか?
例えば今回、貴方が計画をするのは、『木造2階建100㎡程度の一戸建て住宅』です。
これは、確認申請の特例が使えます(四号特例)。よって、『法第28条の採光検討』や『法第20条の構造計算』は特例になります。
だから、確認申請には構造計算や採光検討式は法的には添付不要です。
もう一度言います。添付不要なだけです。
あくまで、確認申請に添付不要というだけで、建築基準法に適合させなくていいという訳ではありません。
確認申請に出していない採光検討、構造計算は建築士が責任を持って確認しなければなりません。
だから、確認申請の特例というのは、原則建築士しか受ける事ができません。
建築士免許を持っていない方だと、採光検討?構造計算?になりかねません。そんな建築の知識が無い方に責任持って法適合させてね!なんて言えませんよね。
『確認申請で特例を使う』=『特例で省略の部分は建築士が責任を持って法適合させる』
という前提条件の元、確認申請の特例は成り立っているのです。
特例が使える建築物は?
特例が使える建築物は大きく分けて2つあります。
①法第6条第1項第四号の建築物(四号特例)で建築士の設計によるもの
②型式認定を受けた建築物(型式特例)
①は先ほどお話した、建築士の設計でないと受ける事が出来ない特例です。四号特例といい、特例の中でも一番よく使われているものです。
一方、②は実は建築士の設計で無くても、特例を受ける事が出来ます。それは何故かというと、指定認定機関お墨付きの認定をもらっている特別な工法だから。
特例が使える条文は?
特例が使える条文は、『建築基準法施行令第10条』に記載があります。
代表的なものだと、『構造耐力(法第20条)』や、『採光計算(法第28条)』などが特例の対象です。
特例の条文を読み解くコツ
確認申請の特例については、そういうものがある!と知っている方が多い一方、法文を読み込めていない方が多いように感じます。
それはなぜかというと、特例の条文は意外と読みにくいからです。
どうして読みにくいのか?それは、様々な条文が混ざっているからです。
具体的には、法第6条、法第6条の4、令第10条この3つを確認しなければなりません。
その中でも、特に様々な条文の『○号』が入り混じるから難しいです。
だから、特例の法文を読む時は、『これは何条の○号の条文なのか?』をしっかり把握する事が大切です。
特例の法文を確認
建築基準法第6条の4 建築物の建築に関する確認の特例 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第6条及び第6条の2の規定の適用については、第6条第1項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。
一 第68条の10第1項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
三 第6条第1項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
2 前項の規定により読み替えて適用される第6条第1項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。
特例の内容をまとめると、
①型式認定に適合する建築物
②型式認定に適合する建築物の部分
③法第6条第1項第四号の建築物で、建築士の設計によるもの
だから、特例には型式特例①②と4号特例③の2つと言えると思います。
条文を読み解く為、それぞれの法文の関係性をまとめた
先程もお伝えした通り、注目すべきは、『これは何条の○号の条文なのか?』です。
ここでそれぞれの法文の事をぐだぐだ説明するよりも、関係性をまとめたものを確認しながら、法文を読んでいただいた方がわかりやすいと思ったので、下の表を参考にしてみてください。
結局、どの建物が特例を使えて、どの条文が特例の対象なの?
それは、指定確認検査機関ERIさんが一覧表をまとめており、そちらが非常にわかりやすいので、そちらで確認しましょう。
書籍で確認する場合も、ERIさんの書籍が非常によくまとまっています。
まとめ:特例を使っても、建築基準法に適合は必須!
特例で確認申請に添付が不要だからと言って、構造検討しない!とか、採光検討しない!というのは、ダメなんです。そんな事、建築基準法には一言も書いてありません。
むしろ特例を使う部分については、審査機関が確認をしない分、気を引き締めて法適合させなきゃいけない、とも言えると思います。
もし、法適合していなかった場合、建築士の責任になります。
特例の意味をしっかり理解して、法適合確認するようにしましょう!