どんな建築物・敷地が接道義務を満たなければいけないの?
なぜ接道をしなければならないの?
敷地が接道出来ていないんだけど、例外はあるの?
こんなお悩みにお答えします!
まずは結論から…
✔️接道義務とは、幅員4m以上の建築基準法上の道路に、敷地が2m以上有効に接していること
✔️接道義務を満たさなくてはならない敷地は、『都市計画区域若しくは準都市計画区域』のみ
✔️接道義務の目的は…
・火災などの災害時に消火活動・救命活動を円滑にすること
・建築物からの避難経路を確保すること…etc
✔️接道義務を満たさなくても例外のケース大きく2つ。ただし、どちらも一筋縄では行かない…。
この記事を読めば、接道義務の適合方法、法文等をマスターすることが出来ますよ!
では、早速詳細を確認していきましょう。
書いている人 |
指定確認検査機関にて、過去に5000件以上の物件の相談や審査業務を行っていた経験を生かし、ブログやSNSで建築法規に関する発信を行っている。 Instagram、X、LINE@などのSNSのフォロワーは延べ4万人以上。 詳しいプロフィールはこちらから 著書:用途と規模で逆引き! 住宅設計のための建築法規/学芸出版社 |
接道義務とは?
✔️接道義務は、幅員4m以上の建築基準法上の道路に、敷地が2m以上有効に接してしてれば、適合する
内容としては、これだけです。ややこしい部分を2点だけ補足させていただきます。
その1、幅員4m以上の『建築基準法上の道路』に接道しなければならない
要するに、道路っぽいものならなんでも良いということではなく、建築基準法上で定められた道路でなければならないということです。
建築基準法上で定められた道路とは、ズバリ建築基準法第42条に定められている道路のことです。
以下、どのような道路かまとめます。
適用条項 | 道路種別 | 内容 |
道路幅員(W)
|
法42条1項一号 | 道路法による道路 | 公道(国道・県道・市町村道) |
W≧4m
|
法42条1項二号 | 都市計画法、土地区画整理法等による道路 | 都市計画法、土地区画整理法等の行為により整備・築造された道路 | |
法42条1項三号 | 既存道路 | 建築基準法施行時にあった道で、現に一般交通の用に供しているもの | |
法42条1項四号 | 計画道路 | 都市計画道路、土地区画整理法等で2年以内に事業が執行される予定で、特定行政庁が指定したもの | |
法42条1項五号 | 位置指定道路 | 私人(一般の個人や法人)が築造した私道で、特定行政庁がその位置を指定 したもの | |
法42条2項 | 2項道路 | 建築基準法の施行日現在既に建築物が立ち並んでいた幅員4m 未満の道路で、特定行政庁が指定したもの |
W<4m
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法42条3項 | 3項道路 | 特定行政庁指定道路(2項道路のうち、土地の状況によりやむを得ない理由により幅員2.7mまで緩和した道路) |
2.7m≦W<4m
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法42条4項 | 4項道路 | 幅員6m未満の道で、特定行政庁が指定して認めたもの |
W<6m
|
建築基準法上の道路であることをしっかり確認しないと、以下のSNSの発信のような事故を起こすことがあるので注意してください。
過去の大失敗…
『道路課』に
これって道路ですか?って聞いて
道路です!って言われたから
接道okで進めたら後から
『建築指導課』に
そこは、建築基準法上では道路じゃないです!
って言われて大騒ぎになった事がある。それ以来、
道路については
必ず建築指導課に確認を取ると心に誓った…— そぞろ (@sozooro) January 13, 2022
その2、敷地は道路に『有効に』に接していなければならない
ここで言う、『有効に』と言うのはどういうことでしょうか?
有効に接するとは、
・大きな高低差などが無く、人が歩いて敷地と道路を行き来できること
・連続で2m以上接道していること
後ほどご紹介しますが、建築基準法では、道路を建築物の非常時の避難場所と考えています。その道路の行き来出来ない計画や、連続して2m接道していない敷地は、有効に接道しているとは言えないでしょう。
これらの内容は、以下の投稿を参考にしてください。
法文で確認する
この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員4メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、6メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
どんな建築物・敷地が接道義務が必要?
✔️接道義務が必要になるのは、都市計画区域及び準都市計画区域内の敷地・建築物です
接道義務は、集団規定という『都市全体の安全性を高める為の規定』の一つとして定められています。集団規定はそもそも、都市計画区域及び準都市計画区域内のみに適用される規定です。
だから、都市計画区域や準都市計画区域ではない敷地・建築物は接道義務を満たす必要はありません。
都市計画区域外、準都市計画区域外って、集団規定かからないんですよ!(法41条の2)
つまり、接道取れてなくても
建築基準法上、okって事!そうはわかってても接道取れてない敷地で申請が実際にあると動揺する…
接道取れてなくても適合になる違和感が半端じゃない…。— そぞろ (@sozooro) November 30, 2021
法文で確認する
建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
接道義務の目的は何?
接道義務の目的は…
✔️建築物からの避難経路を確保するため
✔️火災などの災害時に消火活動・救命活動を円滑にするため
建築物の火災などの非常時の避難場所は『道路』です。
あくまでも道路で、隣地ではダメです。なぜなら、隣地から火災が発生していて、避難出来ないかもしれません。建築基準法では、最終的には人を道路まで逃すことができるように規定が定められています。(避難規定など)
だから、敷地から道路に逃げられなければ話にならないのです。
また、道路に接道していないと、消防車が敷地の前に到着することが出来ない為、消火活動、救命活動支障が出てしまうこともあるでしょう。
接道義務は、火災などの非常時に、建築物の利用者を守る為に定められています。
接道義務を満たさなくても良い例外2つ
どうしたらいいの?
✔️接道義務を満たさなくても良い例外2つは以下の通り
・建築審査会の同意を得た上で、特定行政庁が許可をした場合
・幅員4m以上の道(建築基準法上の道路以外)に2m以上接する敷地で、所定基準(規則10条の3第1項~3項)に適合するもので、特定行政庁が許可した場合
要するに、特定行政庁が許可した場合に接道義務が満たされていなくても良いとされます。ここで注目したいところは、単なる許可だけではなく、『①建築審査会の同意を得る』又は『②4m以上の基準法以外の道の接道その他条件』が必要になるということです。
これら2つはどちらも厳しく、一筋縄ではいきません。接道義務を満たさず、建築物を計画するのはかなり難易度が高いということは覚えておきましょう。
法文で確認する
法第43条第2項第一号の国土交通省令で定める道の基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
まとめ
✔️接道義務とは、幅員4m以上の建築基準法上の道路に、敷地が2m以上有効に接していること
▶︎建築基準法上の道路とは、法42条に定められた道路でなければならない
▶︎有効に接道とは、2m以上連続して、人の出入りが出来るようにすること
✔️接道義務を満たさなくてはならない敷地は、『都市計画区域若しくは準都市計画区域』のみの為、これらの区域以外は接道義務は無い
✔️接道義務の目的は…
・火災などの災害時に消火活動・救命活動を円滑にすること
・建築物からの避難経路を確保すること
✔️接道義務を満たさなくても例外のケース2つ。
『①建築審査会の同意を得る』又は『②4m以上の基準法以外の道の接道その他条件』を満たした上で、特定行政庁の許可を得ること