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長屋と共同住宅の境界線!排煙や条例などで長屋が不利になるケース

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本記事は、2026年現在、施行中の最新の建築基準法・関係法令に基づいて解説しています。
※当該規定に関して2026年時点で改正がない場合も、現行法令を前提としています。

元・指定確認検査機関員(審査実績5,000件超)、著書2冊(累計1.9万部)
実務者目線で建築法規を解説しています
[▶︎筆者プロフィール(経歴・実績)]

結論(まずはここだけ)

「共同住宅よりも長屋の方が法規制が緩い」という先入観は危険です。 排煙設備の免除条件や自治体の条例(敷地内通路の幅など)においては、長屋の方がかえって基準が厳しくなるケースが多々あります。状況によっては、あえて共用部を設けて「共同住宅」として計画・申請した方が、法規制をクリアしやすい場合があります。

この記事でわかること

  • 長屋と共同住宅の決定的な違い(共用部の有無による分類)
  • 1階と2階でアクセス方法が違うなど、判断が分かれやすい「複合的な建物」の扱われ方
  • 長屋の方が規制が厳しくなるケース①:排煙設備の免除(救済措置)の条件の違い
  • 長屋の方が規制が厳しくなるケース②:地方自治体の条例(敷地内通路の必要幅員)の違い
そぞろ

長屋の方が規制内容が緩いと思っていると、痛い目を見ることに。
今回の記事で詳しく解説していきますね!

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長屋と共同住宅の『形態』の決定的な違い

『長屋』と『共同住宅』の違いは、『共用部分があるかどうか』です

長屋共用部分なし(各住戸へ外部から直接出入り可能)
共同住宅共用部分あり(共用部の廊下、階段)を介して各住戸へ出入りする)

【要注意】申請先によって判断が分かれる「複合形態」

共用部を介さずに出入りする住戸がある場合、申請先によって、下記のいずれかに判断が分かれます

  • 共同住宅
  • 共同住宅+長屋
  • 共同住宅+一戸建て住宅

イラストで示す通り、外部に直接出入りできる住戸がある場合、用途の判断は大きく分かれます。

まぁ、言いたいことはわかるけど、
長屋と共同住宅が混ざっているとか、どうでもよくない?
そんなに重要なこと?

超重要です!
なぜなら、共同住宅と長屋と一戸建て住宅は
適用される規制が全然違います!

そして、共同住宅+長屋のように複合用途になった場合はさらに大変です。長屋と共同住宅の2つの規制内容も遵守する必要があるからです。

これからご紹介しますが、共同住宅と長屋の規制内容は全く異なります。そして、厄介なのは、一概にどちらが厳しい、ということが断言できないことです。

悩ましいケースがあったら、必ず申請先に確認をしましょう!

共同住宅と長屋、厳しいのはどちら?

基本的に、厳しいとされるのは『共同住宅』です
なぜなら、共同住宅は特殊建築物だから

まず、長屋と共同住宅を比較したときに、厳しいとされるのは『共同住宅』です。その理由は、長屋は特殊建築物ではありませんが、共同住宅は特殊建築物だからです。

特殊建築物とは、『不特定かつ多数の者が利用する用途』や『火災の危険性等が高い建築物』ことにより、建築基準法の規制が厳しくなる用途のことです。

具体的には、特殊建築物の場合、下記3つの規制内容について強化されます。

法27条(耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物)

法35条(避難規定)

法35条の2(内装制限)

あと、共同住宅になると、地方公共団体の条例がかなり厳しくなります
路地状敷地の禁止、接道幅や道路の制限など、『敷地』に関する制限がかなり厳しいことがあります。
正直、こっちの方が共同住宅は怖いです。

正直、建築基準法の規定は、共同住宅だからと言って極端に厳しくなることはありません。どちらかと言うと、警戒していただきたいのは、『地方公共団体の条例』の方です。

条例なので、申請ごとに確認をする必要があります。ただ、一例をあげるなら、東京都は共同住宅がかなり厳しいです。正直、条例のせいで、共同住宅の建てることができない、ということが多いです。

noteの方に、東京都の共同住宅の規制内容について解説していますので、確認してみてください。

じゃあ、とりあえず長屋で計画しようかな

戦略としては良いと思います!
でも、一部ですが、共同住宅より長屋の方が厳しい規制もあるので、注意が必要です!
それは、これから解説しますね。

共同住宅より長屋の方が『厳しい法規制』とは?

共同住宅より長屋が厳しくなる規制は下記2つ

  • 排煙設備
  • 地方公共団体の条例

意外だと思いますが、上記の規定については、共同住宅より長屋の方が厳しい場合があります。詳しく内容と、長屋の場合の具体的な解決策を解説していきます。

排煙設備(令128条の2)

長屋にも共同住宅にも排煙設備の緩和規定はありますが、長屋の方が使いにくい

排煙無窓になった場合や、3階建てかつ500㎡を超える場合など、排煙設備が必要になってしまうこともあると思います。排煙設備については、下記の記事で解説しています。

でも、長屋とか共同住宅で、排煙設備つけてるのってみたことないよ?

そうそう、住宅系は緩和が多いから、
緩和を使って、排煙設備を設置しないようにするのが鉄則

じゃあさ、別に共同住宅でも長屋でも変わらないよね?

法文読むとわかるのですが、共同住宅より長屋の方が緩和使いにくいんですよ

共同住宅と長屋の排煙設備の緩和については、下記の通り

長屋(告示1436号三号イ)下記すべての該当する部分は、排煙設備が不要となる

階数が2以下、床面積が200㎡以下の住戸
・居室に床面積の1/20以上の換気上有効な窓が設けられていること
共同住宅(令126条の2第1項一号)200㎡以内に準耐火構造の床・壁・防火設備で区画された部分であること

排煙設備の緩和については、下記の記事でわかりやすく解説しています。

つまり、長屋で3階建ての場合、緩和が使えないってことになるんですよ…

逆に、共同住宅は区画さえしてしまえば、階数は関係無く、排煙計算はOKです。

えええ、3階建ての長屋だときつくない?
解決策を教えて!

まかせてください!万能とはいきませんが、
協議次第で、3階建ての長屋でも、なんかと排煙設備を設けないようにする方法はあります!

その方法というのは、排煙設備の別棟規定を使うことです。令126条の2第2項により、排煙設備を別棟でみることができれば、排煙設備はそもそもかからない!と主張することもできます。(なお、排煙無窓で排煙設備が必要になった場合には、この方法は使えないので要注意

下記のいずれかに該当すれば、排煙設備は別棟とすることができる

  • 建築物が開口部のない準耐火構造の床・壁・防火設備で区画されていること
  • 告示で定めた構造とすること

※…以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、以下2つのいずれかと連動して自動閉鎖するもの
・煙感知器
・熱煙複合式感知器

いいじゃん!いいじゃん!
これで長屋もOKじゃん

と、言いたいところなんですけど…
この排煙設備の別棟規定、増築でしか使えない!としている取扱いをしている場合が多いんですよね。
この排煙別棟規定を使う場合、下記の記事はかなり参考になるので、絶対に確認してください!

地方公共団体の条例(法40条)

地方公共団体の条例により、共同住宅より長屋の方が厳しい場合がある

これは、もちろん条例次第なので一概には言えませんが、地方公共団体の条例は長屋の方が厳しい事があります。

東京都安全条例も、近年、長屋について大幅に強化されました。
(規制が緩いからって、ものすごい計画をする方がいたので、仕方がないのかも…)

例えば、東京都建築安全条例の場合。床面積90㎡の建築物を長屋と共同住宅それぞれを計画した場合、『主要な出入り口までの敷地内通路』について確認してみましょう!

安全条例17条(共同住宅)100㎡以下なので、1.5mの敷地内通路
安全条例5条(長屋)最低でも2mの敷地内通路

このように、長屋の方が厳しくなる事もあります。(※もちろん、他の条文もあるので一概には言えません)

  長屋の東京都安全条例については、下記の記事で解説しているので、よかったら読んでみてください。

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まとめ

長屋と共同住宅の違い:鍵は「共用部(廊下・階段)」の有無。

規制の厳しさ:一般的には特殊建築物である「共同住宅」が厳しいが、一概には言えない。

長屋の落とし穴①:3階建ての長屋は、共同住宅よりも排煙設備の緩和が受けにくい。

長屋の落とし穴②:自治体の条例により、敷地内通路の幅などが長屋の方が厳しくなるケースがある。

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この記事を書いた人

元・指定確認検査機関員
5,000件超の審査実績。著書2冊(学芸出版社)は累計1.9万部、SNSフォロワー4万人超。実務者目線で建築法規を解説。